グレン・ティルブルック率いるスクイーズがアンドリュー・マーのTVショウにデヴィット・キャメロン首相と一緒に出演しましたが、その時に「Cardle to Grave」の歌詞を一部キャメロン批判の内容に変更して歌ったことを英国のガーディアン紙が伝えました。
そしてそのことについて、グレンのインタビューが今日、またガーディアンにアップされたので、その一部をご紹介したいと思います。
前の記事ではBBC側は「彼らが歌詞を変えようとしているのは知っていた」と報じていましたが、グレンいわく「僕は誰にもそのことは話していなかった」としています。
「確かに数日前にキャメロンも同じ番組に出るという事を知った時は、“歌詞を全部変えて歌ってやろうか”と考えた」といいますが、「“いやいや、馬鹿なことは辞めてこう”と思い直した」のだそうです。
「だから僕は事前に歌詞など準備していなかった。でも僕らの出演の10分くらい前にキャメロンが住宅政策に関する発言をしていて、それを聞いていたら“何か言わなくちゃ”って思いはじめたのさ」
「他の誰かを神経質にさせたくなかったから、このことは誰にも言わなかった。でも僕はここで何か言わないと、後でものすごく後悔し自分を憎むことになる、と思ったのさ」
「4人の子供を持つ父親として、英国の不動産価格や経済については常に注目してきた。今や経済的な援助がないかぎり、多くの人々が自分たちの育ったエリアに住み続けることが不可能になっている。これは現政府の間違った住宅政策の結果だと僕は考えている。1つ前の政府の方針もひどかった」
「僕は子供のころとても良い公団住宅に住んでおり、そこでは居住が保障されていた。僕の母はそこで1954年から亡くなる1997年まで住む事ができた。でも現在の政府の人たちはこういった住宅政策が必要でないと考えているらしい」
「この歌“Cradle to the grave”が、歌自体を自然とそういう風に別の歌詞に導いていったのだと思う。スタジオの中では特にこの演奏についての反応はなかった。キャメロンは拍手をし、彼はとてもプロフェッショナルだったよ。けっきょく技術関係のスタッフと僕のバンドだけが、僕が歌詞を変えたことに気付いた。キャメロンとマーは歌詞をまったく聞いていなかったと思うし、演奏が終わったあと彼らと会話することもなく、僕らは挨拶をして場を離れた」
「だから正直そのあと新聞で紹介されたりして、多くの人の反応にびっくりしている。僕は何も期待はしてなかった。ただ自分のことを表現するチャンスに動かされただけで、それにたいする反応が僕が予想したよりも強かったということだ。僕が知るかぎり、多くの良い反応をもらって嬉しく思っている。反対したり揶揄されたりするかもしれないと思ったけど、多くの反応はとてもポジティブなものだった」
「僕のキャリアを通して、僕は人が僕のやることをどう思うかということを心配する必要がなかった。そしてそれはとても幸運なことだと言える。自分が信じることをやるべきだ。58歳の男の視点からそう言えるよ。これは小さな水面のさざなみみたいなことだけど、僕はとても誇りに思っている」
確かに映像を見ると、グレンがちらっとクリスの方を見たりしていますね。1:35くらいのところ。
グレンが変えた3番の歌詞
I grew up in council housing,
Part of what made Britain great,
There are some here who are hellbent,
On the destruction of the welfare state.
もともとの歌詞
They say time will wait for no man,
They say time is on my side,
I could never make my mind up,As it all goes whizzing by.
Cradle to Grave=ゆりかごから墓場まで。かつて英国にあった手厚い福祉を形容する言葉です。それにしてもグレン。よくやった! イギリスのワーキングクラスのバンドは、こうでなくっちゃね。
そういや前回の来日時にも、どんどん世の中が右傾化していくのをグレンはとても心配していました。あぁみえてグレンはとっても政治に感心があり、新聞とかも本当によく読んでいます。