ブログを書くのはいいね。読み返すと当時の気持ちが蘇ってくる。2011年4月の日記より。
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全文はここ。
5年か…と思うけど、たった5年かって思う。10年くらい前の話みたいだけど…
マーティンとデニスがやってくる直前まで、ずっとエモーショナル感情を押さえられなかった。震災が起きてから、友達と飲んでご飯食べてしゃべってばかりいた。それしかすることがなかった。そしてどういう気持ちでツアーをしたらよいものかとずっと悩んでいた。でも2人が到着しツアーが始ったとたん、すべてが普通の、いつもの通りのツアーの空気に戻った。それが私を震災後のエクストリームな環境から、日常の平静な状況に引っぱり戻した。
ツアー中、震災のことを思い出したのは、ラジオで彼らがコメントを求められ「日本は大丈夫」的なことを2人が言った時。そしてお客さんに「こんな時に音楽を聞くなんてどうかと思ったけど、コンサートに来て本当に良かった」って言われた時くらいだった。マーティンとデニス、ありがとう。声をかけてくれたお客さん、ありがとう。コンサートをやることに迷いはなかったけど、ホントにやって良かった。私は、この仕事の現場が、私のいるべき場所なんだなと強く思った。
そのあとは5月のフィンランド・フェスト(ヴァルティナとアラマーイルマン・ヴァサラット)もキャンセルされることなく無事に終了し、その年の11月にはヴェーセンとマーティン&デニスの共演という公演を組んで、トッパンホールをソールドアウトにするという成功へつながって行く。最終的に仕事への影響もなく、私は日常を取り戻した。
あの震災で人生がくるってしまった人がたくさんいる中、現在の自分にはラッキーにも完全に平和な日常が戻ってきている。板橋の高速の側に住んでいた時と違って、今は荒川土手の空気がきれいな場所に住み、運動するようになって、あのころよりさらに健康になった気がする。仕事もなんとか続いている。
それにしても、あの頃は毎週のように友達に会い、将来がどうなっちゃうのか不安につつまれながら、友達としゃべってばかりいた。そうやって、何とか自分の生活の中に日常を取り戻す必要があった。今は… 逆に平和な毎日が戻ったからこそ,あの時の気持ちを絶対に忘れないように、と強く思う。あの日から、間違いなく自分は変わったと思いたい。日本はどうなんだろう。原発はまだ動いているし…
今だ避難している人、人生を狂わせされてしまった人もたくさんいる中で、自分に出来ることはなんだろうと思う。すべての人が幸せに暮らすことは出来ないのか。何も悪いことなどしていないのに。