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2016年3月18日金曜日

映画「アーサー・フォーゲル〜ショービズ界の帝王」を観ました

観て来ました。LIVE NATIONの会長を追ったドキュメンタリー「アーサー・フォーゲル」。一応音楽業界の隅っこにいるからには、こういうのも見ておかなくちゃ!

あと実はウチのアーティストも1人、最近LIVE NATIONと契約したのよ。もっともその子は日本はウチで継続って言ってくれているわけなんだけど、そんなこともあって一応会長さんの顔を見ておこうと思ったのさ。

今でこそ、ウチみたいな規模だったら、私以外は誰も手を伸ばさない小ビジネスだけど、将来は分からないよ。LIVE NATIONだって今でこそスタジアム級のものしかやってないけど、そのうち全国の大小のコンサートホール、ライヴハウスクラスの小屋をも占拠するかもしれないではないか。100人しか集められないアーティストに、ウチでやれば10ケ国でツアーが組めるよ…と言えば,アーティストはそっちを取ってしまうかもしれないではないか。まったく、私もウカウカしてられない(爆)

この映画、自分のFBのウォールを見る限り、音楽業界内での評判は良いようだ。が、正直、私にはよく理解できなかった。次々と音楽ビジネス界の重鎮が出て来て証言するんだけど、有名アーティストたちはともかく、裏方さんはいくら有名人だったとしても、私にとっちゃあ顔と名前がよく分からない。次々と画面に流れる、そのおっさんたちの肩書きやら、係ったアーティストの名前の羅列やら、それに加えて字幕も追うとなると、正直文字が追いずらくてしょうがなかった。例えば肩書きが横に出ているところに、字幕が縦に流れたり、とか…さ。せめて、出演者の名前と肩書きとかをプリントアウトしてコピーでいいから配ってほしかったかも?

それにしても、アーティストがなぜフォーゲル会長を選ぶのかという理由が、私には実は見えてこなかった。アーティストのギャンブルに徹底的に付き合うって事? あと現場からの叩き上げだし、もともとミュージシャン(ドラマー)だから、そのヘンのビジネスマン的な連中よりは、音楽家の気持ちによりそえる、ってこと?

それにしても音楽業界がこんなになってしまう時代で、アーティストとの360度契約とか言われるようになってしばらくたつが、もしビックアーティストたちの権利を100%握る者が現れるのであるとすれば、それはきっとレコード会社からでもなく、音楽出版社からでもなく、メディアからでもなく、ライブ業界からだろうなとは、私ですら予想していたよ。有名アーティストまでが巨大レコード会社の悪口を言うことを躊躇しなかったし、レコード会社って先日のR.E.Mのピーター・バックのインタビューにもあったけど、結局のところアーティストの敵にしかなりえないのだろうかとも思う(実際はそんなこともないんだけどね)。結局のところ旅に一緒に出て、同じ釜のメシを喰っている者は、強いのだ。レコード会社とか言って、アルバムが出たときだけやってきて2年後に次の作品が出たときには担当が変わってたりとか……。もっともこの映画にも出て来たけど、レコード会社の援助がなければ、ツアーが出来ないアーティストもいっぱいいたわけで…。

そして一方でライブ業界もプロモーター、エージェント、マネジメント、なんちゃら、なんちゃらと間に入る人がやたら多いから、そこをすっきりさせて直で何でもやれば利幅が大きくなるだろうよ、というのも簡単に想像できる。ブッキングエージェントなんて現場に顔見せもしないのに25%持ってったりするしね。インターネットで誰もが繫がれる時代に、地域地域のなわばり、もっといえば国と国の境ってのが、もう昔みたいに効かなくなって来ている。結局、自分なりの何かをアーティストに示せてない中間業者はどんどん淘汰される状況にあるんだろう。それは音楽だけでなく、CDの配給や、音楽業界以外のいろいろな業界において紛れもない事実なのだ。

それにしても、次々映し出される派手なコンサートの様子には、目がくらくらした。このクラスのアーティストはとにかく頭がおかしい。倒産までしてステージ衣装にお金を費やすGAGA。360度のステージがいいというボノ。それがいったい音楽にどう影響するというのか。そこに価値を見いだせない私には、まったく理解ができない。でも彼らはあのステージを自分のものにするためだったら、おそらく悪魔にだって魂を喜んで差し出すのだろう。

そうしたクレイジーな世界において、U2のボノがツアー中に故障したときのエピソードが流れたりするのを観ていると、これだけの巨大アーティストと膨大な数のファンの信頼関係を、絶対的に信じてあげられる人が、業界にはフォーゲル会長以外いなかったって事なんだろうなと思う。そういったリスクを受け止めてあげる人が、会長以外にいないというの事なんだろうな、と。こうなってくると、誰が大ばくちをギリギリまで打てるか…アーティストと心中する覚悟があるか…そういう問題になってきて、それがフォーゲル会長だった、フォーゲル会長しかいない、ということなのかと思う。

でもこの仕事をしていたら、アーティストとの一体感が何より重要なのである。そこを忘れている人が多いけど…それはビジネスの規模が大きかろうが、小さかろうが一緒である。付き合っているアーティストがクレイジーであれば、それに付き合うしかない。

LIVE NATIONが、どういうビジネスを日本でやっているのかも、私はよくわからない。でも外資がハンドルできるほど日本のマーケットは単純じゃないだろうとも考える。

が、そんな考えも、日本語は他の言語に比べ特別難しい…と思い込みたい日本人特有の偏見かもしれない。

会長の発言で、唯一いいな、と思ったのは、安全策の中で考えたものはダメだ、と断言してたところた。リスクを取らないと駄目だ、って言ってたこと。そういう意味では、アーサー・フォーゲルだろうが、ウチであろうが、気持ちは一緒ということか?(笑) もしかしたら私のビジネスの規模/私の貯金と、あちらのビジネスの規模/あちらの資産は同じくらいのパーセンテージなのかもしれない(爆) 

それにしてもこんなにメジャーな題材を扱っているというのに、夜と朝の時間帯しか上映がなくって、けっこうガラガラだったし、このトレイラーもたった500回しか試聴されてないって、いったいどういうこと? 結局のところ人の成功は他人の共感を呼ばないってことなのかしら? 自分の身近な人の成功ですら喜べないのに、知らないおっさんなら余計観たくもない?(笑)

そう思っている人には、会長の、シュープリームスの失敗談とか笑えるのかもしれない。あのシーンの会長は、確かにちょっと可愛かった。



それにしても、たくさんのビック・プロダクションのライブステージが映されて、正直まぶしすぎるのと同時に、疲れてウトウトしてしまったのも事実。その中でポリスがえらいタイトで演奏上手いなと思ったのと、Rushを一度生で見たかった…というのが私の感想です(トリオ好き)。

あとエンディングが良かったね。大きなスタジアムのU2のセットで、元ドラマーだというフォーゲル会長が1人ドラムを叩くシーン。カメラがずうーーーっと引いて巨大な会場全体が映る。そしてエンディングロール。

ま、でも、どうなんだろう。まだまだ現役の人なんだから、面白いドキュメンタリーを作ること自体に無理があったのかもと思う。そして彼のオフィスは思ったよりたいしたことなく、机は私の方が広かったと思う! でも、そうか、偉い人だから実務や雑用はやらないだろうし、デカい机は必要ないのかも…。移動も自家用ジェットだしぃ〜。ゴールドディスクみたいなのが、バシバシ、ウォールに貼られていたしぃ〜(笑)

この映画、東京では明日までみたいです。新宿シネマカリテにて。

PS
しかしスタジアム級の場所でやる、ってのが、いまいち理解が出来ない。武道館くらいまでなら分かる。っていうか、山下達郎さんが中野サンプラザ( NHKホールだっけ?)でしかやらないのはすっごい理解できる。いったい音楽って何なのか? いや、音楽じゃなくてエンタテイメント・ビジネス、ってことなんだろうけど。そして一体感というのは、やはり人数が多いと大きいくなるものなんだろうか?