本当に悩みどころ。問題は主催者やアーティストではなく、他のお客からのクレームなのよね… RT @mshk: 浜崎あゆみがライブでスマホ撮影を解禁した理由 (SENSORS) - Yahoo!ニュース https://t.co/VPYp3ZRSbn— 野崎洋子 (@mplantyoko) 2016年7月7日
こんなニュースが流れているわけですよ。日本のコンサートも変わったよね。昔はホール公演において通路に出るだけで、いや立ちあがっただけで、警備員が飛んできたもんですが…
コンサート会場での写真撮影について何度かここにも書いていることだけど、本当にこれって主催者としては悩みどころなのである。
というのは、ウチのライブの場合、主催者(ウチの場合,私です)もアーティストも別に撮ってもいいよ、撮りたいなら… というスタンスではあるんですよ。ただクレームというのは、あるとしたら、それは主催者からでもなく、ミュージシャンからでもなく、会場オーナーからでもなく、「他のお客さん」から出て来る。「液晶がまぶしい」「シャッター音がうるさい」などなど文句を言うのは他のお客さんなんです。だから難しい。
クレームってホントびっくりするようなところから飛んで来る。例えばウチの公演には、時々ですが、赤ちゃんや未収額児童を連れてきたいというお客がいます。日本はベビシッターという制度があまり利用されていない。(安価でないからなのか? よく知らないけど)またウチみたいな小さな公演で託児所を設定するほどの余裕はないし、会場も小さいから場所もない。
なので、ウチの場合、だいたいそういうお客さんには「すみません、私も構わないし、ミュージシャンも構わないんですが、クレームはあるとしたら他のお客さんから起こるので、申し訳ないけど隔離(言い方悪いですけど)させていただいて良いでしょうか?」と、他のお客からはうんと離れた場所を案内することで入場オッケーすることが多いのです。
しかしクレームというのは、本当にものすごいところから飛んでくるもんで、そんな状況下にいただいた「あそこにいる赤ちゃんが耳栓をしていない」ってクレームです。これにはビックリ。しかも、そのクレームは、友人の音楽ライターからもらった! 私は本番中で忙しいし、今、それを私に言ってどうする?と思ったが「親がそうしてるんだから仕方ないでしょ」と返事して、そのまま放置しておいた。しかしいったいどうすれば良かったというのだろう。お客さんに「もしもし、それはお子さんの耳にやばいと思いますよ」とでも言えば良かったのか? 今だに分からない。まったくもって悩ましい。
ただ安くないチケットを買ってもらって参加してもらうことになった以上、そこにいるすべての人々(アーティストとお客さん)すべてを満足に近い形に持って行くことについては、主催者である私に責任がある。
さて、話は戻って写真撮影です。ここにも何度か書いていますが、私がこの話題を持ち出された時は、だいたいカナダのロリーナ・マッケニットが言っていた、この言葉を紹介することにしています。2004年だか、2005年だか、ロリーナが10年ぶりくらいにツアーに復活した際、入場するお客さん全員に配っていたパンフレットに書かれていた言葉。
「コンサートは、お客さんとアーティスとは本当に貴重な時間の共有なのです。私はお客さん1人1人に真剣に向き合っている。例えばあなたは誰かがあなたに向って真剣に話している時、その人に向って携帯電話のカメラを向けたりしますか?」
さすが、ロリーナ。「舞台演出のさまたげ」とか、「他のお客からのクレーム」とか、そういう回りくどい説明の仕方はいろいろあれど、「真剣に聞いてほしい」って事をストレートに言っているのだと思います。確かに私もロリーナの言うこれに尽きると思うんだよね。
いつだったかグレン・ティルブルックのアメリカのコンサートを観に行った時、本人があれだけ汗だくで超熱演しているのに、お客のほぼ全員がグレンにカメラを向けており、これはないよなぁ、とちょっと呆れたのでした。
ちなみに海外の事例が良く持ち出されるけど(海外では許可されているとか、なんで日本は厳しいの?的な)、海外は会場によってまちまちだし場所によっては日本よりうんと厳しいところはいくらでもありますよ。
とはいえ、最初の浜崎あゆみさんの記事に戻れば、お客が撮ったブレブレの映像や音声の割れたひどい動画、そして写真が、ツアーの宣伝になるという考え方も分からないでもありません。
が、でもこれもウチの場合、何か理由がないかぎり、ミュージシャンには、お客さんに挨拶するようにしているし、写真撮影をVIP客のみとか言って追加料金をいただいているわけでもない。ほとんどの会場においてサイン会はほぼ100%行われ、会場さえ問題なければ写真撮影にだって応じているわけです。だから、それを使って拡散してもらえればいいと思うんです。
なので、やっぱり公演中は演奏、音楽、そしてこの素晴らしい体験に集中していただければな、と私は思います。今後こういった状況は変わってくるかもしれませんが、とりあえずこれが2016年7月の時点でのウチの考え方です。
今日も張り切って行きましょう!!
現在THE MUSIC PLANTで企画しているコンサートは…
ロビン・ヒッチコック来日公演
20周年コンサート featuring ヴェーセン/ルナサ/ナヌーク
辺境の歌コンサート featuring 松田美緒/ナムガル/ナヌーク
ウォリス・バード来日公演
どうぞよろしくお願いいたします。