ヴェーセンの素晴らしさを改めて

さすが、ヴェーセン。アコースティック・ライブのチケット昨日から売り出しましたが,人気です。会場が小さいんで,皆さん早めにお求めを。平日昼間の公演ですが、14:30スタート。そして16:00には終わります。お申し込みはこちら。4日金曜日ですよ。

ここんとツイッターで「ヴェーセン」とか検索したりして、いろんな人にメンション飛ばして話しかけたりもしているのだが(お忙しいところ、すみませんです)、ビックリなことにヴェーセンのことが好きだとしても、まだライブを見たことがないという人がけっこう多い。これは私のプロモーションが足りてないのかな…ということで、改めてヴェーセンのライブでの素晴らしさを語ろうと思います。すでにチケット買ってくださった方には、しつこくてすみません。

いや、それぞれ事情はあるでしょう。もちろん誰も彼もがライブに行ける自由を手にしているとは限らないけど、でも9回も来日しているのだし、是非是非一度観てほしいと思うのだ。っていうのは、ヴェーセンの魅力って、ライブ抜きには語れないから。そして同時代に生きているのなら、このチャンスを逃す手はないから。

過去に書いた事を何度もリピートするのは良くないとは思うのだが、多くの人はここを毎日見てないし、しつこいようだけど同じようなネタでまた書く。すみませんね。

まずヴェーセンの魅力は、なんといってもその「自由度」にある。例えば、これ。こんな複雑なリズムの演奏、どうやって弾いているかとか録音された音楽では、まったく分からないでしょう。(ま、ライブ映像みてても、分からないけどね…)それにしても映像は伝える情報が多いよね… 彼らの足の動きとか参考になる。視線の送り方、とか。

それから、ウーロフとミッケのボウイングがぴったりとあっているのがいいでしょう? こういうのアイリッシュとかケルト系にはないのよ。でも本来ボウイングは呼吸だから、あっている「べき」だと私は思うのよね。(あ、また「べき」とか言っちゃった)


L@tDBL - VÄSEN - Eklundapolska no3 from Precious Productions on Vimeo.

そして同じ曲の、更に進んだヴァージョンがこれ。めっちゃフリーダム!!だよね。(もっとも演奏の完成度からすると落ち着いて演奏したL@tDBLの方がいいかな…)



ヴェーセンの演奏は二等辺三角形だ。ウーロフの音を聞きながら、両脇の2人が自分の演奏を固めて行く。その様子がよくわかる。ライブ映像でもこれだけ分かるんだから、本物みたら、もっとすごいぞー

それにしても、ウーロフはまったくブレないソリストだ。こんなに強いメロディ・プレイヤーは滅多にいない。これだけ軸が強いから、脇は遊べるのだ。

これとか、だいたい典型的なライブのエンディング。こういう楽しさ、CD聞いてるだけじゃ分からないでしょう?



途中から手拍子とか起こっちゃってるけど、見事にそれを振り切るヴェーセンはすごい。

ちなみにヴェーセンや伝統音楽のコンサートで手拍子をするのは、私はあまり良くないことだと思っている。いや、いいんですよ、自分の好きなように楽しんでいただいてね。でも手拍子は音がデカい。だから足拍子した方が楽しめると思いますよ。またこの映像観てもわかるけど、この演奏もNO PA(アコースティック)だね。アコースティックの時って、お客が手拍子すると聞こえなくなっちゃうのよ。だからしない方がいいのよね。少なくとも演奏者はそっちの方が助かる。

話がそれた。そんなわけで、聞くと分かるんだけど、同じメロディを演奏するにしても、2ラウンド目、3ラウンド目と、どんどん演奏が進化しているのが分かるでしょう。この進化のし方なんだけど、毎回違う。毎回毎回、全然違う。そしてコード感がすごすぎる。同じコードで行くことなんて1度もない。ホントによく出来てる。特に周りの2人があおりすぎてウーロフがさらに飛ばし始める3ラウンド目、1:36あたりのコード感なんて、たまんないよね!!! 

そしてミッケ(ヴィオラ)の自由度。ミッケは好き勝手なことをやっているんだけど、ここでも不思議とウーロフとボウイングがあってるんだよね。この「呼吸が同じ」ってのが、すごいんだと思う。お互いの自由を侵害しない自分の自由。それが可能になっているのがヴェーセンなわけさ。そして、それぞれが違うことをやっているから音の空間の広がりがハンパない。この感じ分かるかなぁ。こういうのに慣れちゃうと、ケルト圏でよくあるユニゾンみたいな音楽にはホントに耐えられなくなってくんのよ。

それこそ昔、名古屋の今井さんが言ってくれてたことなんだけど、「ヴェーセンの、こういうのはホントにどんなに練習しても真似できない。他はたくさん練習すれば真似できると思うけど」って、こと。唯一無二の存在。こんなに自由なアコースティック・アンサンブルはヴェーセンしかいない。ヴェーセンと肩を並べることが出来るとしたら、まぁ、この前来日してたパンチ・ブラザーズとかそうかなと思うけど、でもそれだって、先日久しぶりにライブ聞いて思ったけど、彼らはものすごいけど、ここまでグネグネしてない。っていうか、グネグネ出来ないよね。パンチ・ブラザーズがヴェーセンをヒーローとしているのがよくわかる。

これはパンチのフロントマン、クリス・シーリとヴェーセンの「Flippen」パンチもこの曲カバーしているよね。



1:44くらいからミッケ(ヴィオラ)のフレーズに載せられて、行ったーっっ!って感じのクリスのソロがめっちゃいい!!!(ちょっと音のヴォリュームのバランスが悪くて良く聞こえないけど,注意して聞いてみて)

っていうかさ、ホント多くの下手なバンドは、バンドメンバー同士がお互いの音をまるで聴いてないってことなのよ。この映像みると分かるけど、クリスもヴェーセンの音をよく聞いているし、ヴェーセンもクリスの音を聴いているでしょう? これホントに、アコースティック・アンサンブルを聞くときに、注意して見ているといいよ。大抵のバンドは誰か軸となる音に乗っかってるだけだから。もしくは誰もが自分の音しか聞いてないから。ヴェーセンの場合、そうじゃないんだよね。先日のパンチ・ブラザーズも「相手を聞く」度が高いバンドだった。ライブ見た人は私の言ってる事が分かると思う。でもってヴェーセンはその「相手を聞く」度がさらに高い。そして3つの楽器が同じくらいの熱量で全速力で、うねるように突進していく。そこに遠慮はない。そこに自由がある。お互いが突っ走れる。それはお互いの演奏を知り尽くし、お互いを超・尊敬しているから可能なわけさ。こんなバンドは他には存在しない。ホントにすごいわ、ヴェーセンは。よくウーロフが言う。「他の2人がかっこいい演奏をしている時、オレもかっこよく演奏できる」これってもう生き方の問題だよね…

…とか、ヴェーセンのこと語りはじめるとキリないんで、このへんにしときます。ヴェーセンの公演は,今回ウチの20周年の記念コンサートでルナサやナヌークと一緒にやるのと、11/4(金)昼間のアコースティックコンサートのみ。3回だけですから、どうぞ皆さんよろしく。そしてホントに遠くから駆けつけてくれるお客さん、ありがとうございます! 一緒に楽しみましょうね。なんかこういう音楽聴くと、細胞が元気になるよね。

詳細はここ