「カレドニア」と「オールド・トライアングル」

ウォリスがアンコールで歌ってた歌,伝統音楽ファンじゃないと知らない人がいるかもな、と思って、一応ご紹介しておきます。まずは「カレドニア」。

ウォリスは京都で突然「なぜだか分らないけど,この曲が突然歌いたくなった。もう何年も歌ったことないのに!」とか言いながら、アンコールでこの曲を歌った。そして「あら、出だしの歌詞が分らない」とか言うから、私が「I don't know if you can see...だよー」と叫んだのだった…(笑)

まずは作者のダギー・マクリーンによる歌唱。いいですね… スコットランドのダンディー出身のシンガー・ソングライターの大御所。素敵な作品を何枚も出している。


 
もっともウォリスが聞いてたのはアイルランドで大ヒットした、こちらのヴァージョン。(このクリップ、英語歌詞付き)「カレドニア」とはスコットランドの古い呼び方。でも女の人の名前にも取れるよね…と私は思ってたのだが、ウォリスは賛成してくれなかったな。それにしても歌詞のすべてが素晴らしい。「失った友達は失う運命だったんだろう…」みたいな下りが泣けるよね…



歌詞簡単なので訳しちゃおう…

 僕に訪れた変化が分かるかい? 
 ここ数日流されそうな気持ちだ
 古い物語を語り,歌を歌って来たけれど、
 僕がいったいどこからやってきたのか、考えるのさ
 だから今日、僕が遠くにいるように見えるだったら
 それが理由かもしれない
 
 愛していると言わせてくれ、お前のことをずっと考えていた、と
 カレドニアが呼んでいる。そして、今、僕は故郷に帰る
 もし僕が見知らぬ人になってしまったら、
 悲しいなんてものじゃない
 カレドニアは僕が持っていたすべてだった

 旅をしてきた、そしてずっと旅を続けてきた
 なおすべき欠点はなおしてきた
 失う運命だった友達は失ってきた
 そして新しい友達にも出会った
 彼らにキスをして、そしてため息とともに去る 
 失われた夢、それを否定しはしない
 頑張るあまり、風に吹かれて 意識が遠のく時があるんだ

 愛していると言わせてくれ、お前のことをずっと考えていた、と
 カレドニアが呼んでいる。そして、今、僕は故郷に帰る
 もし僕が見知らぬ人になってしまったら、
 悲しいなんてものじゃない
 カレドニアは僕が持っていたすべてだった

 今、火の前に座り、空っぽの部屋で木のさざめきを聞く
 火が落ち着き、もうこれ以上は大きくならない
 途絶えて、そして消えてなくなる
 じっくり考えて、何をすべきかはっきり見えてきた
 握手があり、いくつのもキス、そして僕は消えていく

 愛していると言わせてくれ、お前のことをずっと考えていた、と
 カレドニアが呼んでいる。そして、今、僕は故郷に帰る
 もし僕が見知らぬ人になってしまったら、
 悲しいなんてものじゃない
 カレドニアは僕が持っていたすべてだった

なんていい曲! そしていいでしょう? ドロレス・ケーン。っていうか、おそらくアイルランド音楽ファンを20年以上やってないと、彼女のことは知らないかもしれない。すごい歌手ですよ。コブシが違うって感じ。ただいろいろあって声が出なくなっちゃって、日本に来日した時は残念ながらもう往年のオーラはなかった…。現在の彼女については、ここにちょっと紹介した。

ナンシ・グリフィス様のステージにゲストで出たドロレス。声がつらいけど…最後ナンシ様がドロレスに寄り添うところがめっちゃ泣けるんだよ… これ、ホントにめっちゃ良い。辛いけど、何度も見ちゃう感じ。



後ろにクライヴ・グレッグソン(エニー・トラブル)の姿も見える。(クライヴはこの頃、ナンシ様のバンドにいた)

そしてもう1つ。ウォリスがアンコールで歌ってたのは、アイリッシュ・ファンなら涙もの名曲中の名曲「Auld Traiangle」。一番有名なのはこのヴァージョン。ルーク・ケリー。ダブリナーズって、私はダサいものの一番に上げてた時期が長かったけど、今、聞くと結構沁みる。歳とって演歌が分るようになってきた感じかしら(笑)



こっちは先日のロイヤル・アルバートホールでの「アイルランド/英国仲直り記念公演 by アイリッシュ・ミュージシャンたち」のアンコール・シーンより。ちょっと「全員集合」的な乗りだけど、リサ・ハニガンがいいんだわ。泣けるよ〜❤



そういやパンチ・ブラザーズも歌ってたな…。これが現在聞けるヴァージョンでは一番シャープでかっこいいかも。



PS
ウォリスの全日のセットリストはこちら

PPS
Auld Triangleについては、こちらに素晴らしい解説と歌詞対訳が! なおこの曲をウォリスに思い出させたは、京都での松田美緒さんとの東西歌合戦でした。松田さん、ありがとうございました〜(笑)

PPPS
ウォリスがいきなりトラッド(という程古い歌でもないのだけど。いかにもアイルランドという歌)を歌ったのには、こんな理由があったのだと思う。ポール・ブレイディのブログより