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2017年1月18日水曜日

ICE STATION講座 第5回:赤尾美香さん(3)

前回に引続き、「R.E.M.愛」炸裂の赤尾美香さんの(3)です。そして、いよいよ話はピーター・バックの話へ…

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 畔柳ユキさん 前半 / 後半
 赤尾美香さん  /  / 



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のざき「なるほどね。ところで赤尾さんと言えば,特にピーター好きで知られていますが、ピーターのR.E.M.における重要性みたいなものを語っていただけますか?」

赤尾「R.E.M.は完全に民主主義制のバンドでソングライティングのクレジットはすべて全員だった。だから4人の名前が並んでいるけれど、曲を書くことについては、絶対にピーター主導だったのだと思う。曲の骨格を作っていたのは絶対にピーターで、『Out Of Time』の時も、マンドリンを手にいれて…」

のざき「あ、それwikiに書いてあったかも!」(多少は勉強した。ピーターのマンドリンの練習フレーズが<Losing My Religion>になったという話)


赤尾「そうそう! それがきっかけとなって曲が出来たのも有名な話だし、もちろんマイケルがメロディをのせて歌詞を書くことも重要だったけど、その骨組のところがちゃんとなければ、R.E.M.のサウンドっていうのはなかったと思うのよ。本当に『Out Of Time』と『Automatic For The People』、あの2枚を作っただけでも、すごいと思う」

いつでもどこでも一緒の音楽仲間
「もっとも私自身は、初期も大好きなんだけどね!! ただ、バンドとして完成されて世の中でバーンっと行ったのがあの2枚だったっていう事は納得出来るな。あのピーターの音楽バカさ加減…よくご存知だと思いますが(笑)…ホントにアホじゃないかっていうくらいの、それが報われてよかったなぁ、と。2006年のSXSWに行った時、私、最初に会場にチェックインして、すぐに2人を見つけたの。ピーターとスコットね。もしかしたらビルもいたかな。で、こっちの素性はばれてないから、ファンです!と言って握手してもらった(笑)。確かマイナス5の公演だったのだけど“明日のライヴ、楽しみにしてます”みたいな事言って…。で、別れるじゃない? ところが、私が行くとこ行くとこで必ず会うんだよね! 2人ともライヴを観て回っているのよ。しまいには、私、スコットに“またいた!”とか言われて“同じ言葉をお返しします”って言ったんだけど(笑)」

のざき「分かる〜。あの2人、観るのも好きなんだよね〜。ミュージシャンって、他人のステージそれほど観ない人も多いけど」

赤尾「そう、なんであなたたちこんなに観に来てるの?って言うくらい結構いろんなものを観て回っていて…。しかも忘れもしないレオナ・ネス! MCAやゲフィンからアルバムを出していたシンガー・ソングライターの女の子なのだけど、彼女のステージに飛び入りまでしてたからね! おじさんたち、おとなしく観てるだけじゃないんだ?みたいな(笑)」
ピーター❤

のざき「分かるなぁ、当時SXSWも雰囲気がすごく良かったものね」

赤尾「うん。その時に、あぁ、私この人たちのファンで良かったな、って思った。本当に音楽好きな人たちなんだなぁ、って。なんというか“やらされている感”が皆無というか。自分で望んでそこに行っているっていうのが伝わってね。自分と同じだって思えるんだよね。ピーターとスコット。だってさ、そもそももうアルバムなんか作らなくてもいいのに、でもまだやってる。ってことは本当に好きなんだな、って」

 「R.E.M.っていうバンド自体も、4人個性がバラバラで良いバンドだったよね。ビルは病気で抜けちゃったけど、みんなビルに対して最後まで思いがあったから、後任のドラマーはパーマネントでは入れなかったし、それがファンにとっては嬉しかった。マイクはマイクであの飄々とした感じが、マイケルとピーターの緩衝材になっている気がするし、あんな風に優しそうな人がいて、神経質なマイケルと、音楽バカのピーターがいて(笑)。よくこれで成り立っていたと思うと同時に、だからこそ成り立っていたんだろうなとも思う。音楽的なピーターの知識はすごいと思うし、レコード屋さんでバイトしていた頃からジャンルレスで聴いてたんだね」

のざき「そうそう日本に来た時もすごかったものなぁ。新宿でレコードいっぱい買うんだよね、ピーター。どこかのお店の会員権も持ってんだよ。それで前回の来日はオーストラリア・ツアーと同時期に組まれていたので、あの3人、オーストラリアの後日本にまた戻ってきたんだよね。で、オーストラリア・ツアーの間、ショッピングした荷物(LPCD)を持って歩くのは大変だろう、っていうので、私が一時預かってあげていたの。それを成田空港に持って行った。で、成田空港のホテルで1泊してみんなで中華料理を食べた記憶がある…。そしてピーターのゴジラは赤尾さんに預かってもらったんだよね」

雑誌の取材で餌箱を漁る御大たち
(クリックで拡大します)
「そういや雑誌『DIG』の取材でピーター達を連れて西新宿のレコード街に繰り出したなー。予算を5,000円ずつもらってレコード屋をまわる、っていう企画。ピーター、レコード屋に妙に慣れてるんだよね。初めての店でも、迷いもなくスススッって入っていって、餌箱トトトトトッってチェックする、みたいな。ピーターはXのシングル…本人いわく、通常e-bayでは100ドル以上しているやつ…を1,800円で買えた、って狂喜乱舞してた。ロビンなんか“これを買ったのは色が良かったからだ”とか言っちゃって全然ダメダメだったけど…。そういえば、今回はマイク・ミルズも来ますけど、マイクについては何かありますか?」

赤尾さん「わたし、マイクがかぶせるコーラスが大好きで! すごくいい声だよね。カントリー歌わせたら、かなりハマりそう。リード・ヴォーカルになっちゃうとR.E.M.においてはちょっと明るすぎるのかな、とは思うけど、マイケルの歌の後ろで聞こえると最高で…! そのマイクの歌が今回バッチリ聴けるのは嬉しいなぁ。そういやピーターも歌うのかなぁ…」

のざき「一応ノルウェーのセットリストによると、そういうことになるみたいね。ノルウェーのセットリストはこれなんだけど、これよりは出演者少ないし、全部で彼らの出演は1時間くらいになる予定。ナヌーク1時間、休憩挟んで、彼らが1時間という設定。しかし今回ビル・リーフリンが来られないのが残念だったなぁ。昨年11月のキング・クリムゾン来日時、赤尾さんとも一緒にご飯食べて盛り上がったのにね(本当はリンダとツインドラムの予定だった)」

赤尾「ホントに。スコットとポウジーズのケン・ストリングフェロー、そしてドラマーがビル・リーフリンというのが後期のR.E.M.を支えた定番のラインナップだったよね。でもみんなシアトルだからピーターの紹介だったのだろうね。ピーターがシアトルに移住したことでR.E.M.の音楽仲間というか、ファミリー・ツリーがちょっと広がった感がある」

のざき「それを思うにやっぱりサウンドの要はピーターなんだよね」

ピーター❤
赤尾「あと意外にマイクもいろいろ関わっていると思うんだ」

のざき「マイクは、最近はベースボール・プロジェクトもやってるよね」

赤尾「あの人は、呼ばれればどこへでも行くのかも(笑)。自分でソロをやるにしても…ほら、クラシックのプロジェクトになったりとか」

のざき「あのクラシックのやつ良かったよ。なんかライヒみたいなのがいっぱい入っていて(それを世間は現代音楽と言うんだよ、のざき!)かっこよかった。あのヴァイオリンの人とは子供の頃からのお友達なんだよね。あとR.E.M.の<Nightswimming>とかもやっている。マイクはお父さんがテノール歌手だって、どっかに書いてあったなぁ」

赤尾「マイクはドラマーのビル・ベリーと高校の時からの友達だった。リズム隊で高校から一緒にやってて、それがアセンズの大学に来て、マイケルとピーターに出会ったってわけ」

のざき「いいなぁ、学生バンド!!」

赤尾「ピーターがバイトしていたっていうレコード屋のWuxtryRecordsの袋を友達がくれたんだけど、丁寧に延ばして保管してある」

のざき「まだあるの? そのレコード屋?」

赤尾「まだあると思うなぁ」(ありました → https://www.yelp.com/biz/wuxtry-records-and-cd-exchange-athens

のざき「きっと聖地と化してるね!」

赤尾「たぶんねぇー。アセンズはR.E.M.B-52’sのファンにとっては聖地よね」

レコード屋時代のピーター
のざき「ピーター、ホントにバンドをいっぱいやってますが、R.E.M.以外では赤尾さんはどれが好きですか?」

赤尾「ライヴ観て、思いの外よかったのがVenus 3なんだよね。ディセンバリスツの前座をやった時に観たんだけど、良かったんだよなぁ。ディセンバリスツはR.E.M.が大好きだから、雰囲気も良くて。前座にメイン・バンドのフロントマンが飛び入りしてた(笑)。今でもピーターたち、仲良しのはずだよ。R.E.M.の後にああして良いバンドが出て来て “R.E.M.に影響されました”とか言ってくれるとすごく嬉しいよね」

「そういえばR.E.M.とイギリスのザ・スミスって、同じ時期だったよね。若干R.E.M.の方が早いけど、日本の市場はイギリス偏重だったので、スミスの方が知られていたし人気もあった…」

のざき「そうね、私もその頃もうアメリカの音楽聴いてないわ…」


赤尾「ちょっとスミスとR.E.M.って似てるじゃん? ヴォーカリストがゲイで、カリスマ性があって、ギタリストが音楽バカっていう(笑)。後続に影響は与えているけど、そのものズバリの“もどき”はいない。彼らを真似るなんて、誰にもできない唯一無二の存在。私の中では似たものがあるなぁ。どっちも好きだけど…いや、もちろんR.E.M.の方が絶対に好きだけどね(笑)。でも、世の中的にはR.E.M.U2と比較したがる人の方が多かったかも。私にとっては、そこはかなり似て非なるものなんだけど」


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ピーター・バックも参加するICE STATION、開催までもうすぐ。渋谷と京都で公演があります。
2月7日 京都 磔磔
2月9日 渋谷 WWW
2月10日 渋谷 WWW
詳細はこちら http://www.mplant.com/icestation


with ナヌーク、カート・ブロック、ピーター・バック、スコット・マッコイ、マイク・ミルズ、リンダ・ピットモン、スティーブ・ウイン
  

赤尾さんが担当された名著の数々