畔柳ユキさん(前半/後半)、赤尾美香さん(1/2/3/4)に続いて、今週はクロスビート編集部、荒野さんのシリーズ(第1回,2回)をお送りしています、ICE STATION講座。
ところで中学時代の荒野さんが、1,000円のお小遣いでどうやって洋楽ライフを送っていたかというと「レコードは黎紅堂と図書館で済ませ、時々そろばん塾の月謝3,000円を着服してママチャリで六本木WAVEに行き、カット盤を買ってトレーナーに隠して帰っては“腹が四角い!”と親にバレてビンタされていた」のだそうです(爆)。そして「とにかくライヴに行けないのでFM誌やミュージック・ライフを隅々まで読んで暗記していた」とのこと。お母さん,良かったですね。立派な息子さんになられて…!
荒野「ここでやっと、R.E.M.の話に戻りますが…(笑)。当時は雑誌に載る写真がとても重要で、R.E.M.の映像ってほとんど見れなかったんですよ」
のざき「そりゃそうだよね。インターネットもないしね」
荒野「テレビの音楽番組でプロモーションビデオを初めてみたのは《Fall On Me》で、86年くらいかな…。『Lifes Rich Pageant』っていうアルバムからのシングルということで、《Fall On Me》のプロモ映像を、確かベストヒットU.S.A.で見た記憶があるんですよ。でも、せっかくの映像なのに、見たくてしょうがないメンバーの姿が全然出てこなくて(笑)。ひたすら歌詞のテロップが出てくる映像で、それはそれで斬新で話題になりましたけど」
のざき「へぇー」
荒野「姿が分からないじゃないか!と(笑)。またライヴにも行けてないわけですから。だからオレ、マイク・ミルズの歌声がピーター・バックの声なのかと、しばらく誤解してたんですよ(笑)。ピーターはあんなかっこいいギターを弾いて、こんなイカしたコーラスも付けられるんだ!と勝手に思い込んでた。もっと後になってからR.E.M.のライヴ映像を観て、マイクが歌っていることにようやく気付いて、『のび太やるじゃん!』って(笑)」
「役割分担がバンドの中であったと思うんですよ。初期のマイケル・スタイプのヴォーカルがああいう不明瞭な歌い方なので、マイクのバック・コーラスでメロディをくっきり出すっていう狙いがあったんじゃないですかね? R.E.M.ってメインのヴォーカルとコーラスがハモる時もあるけれど、今言った《Fall On Me》のように、マイケルのメイン・ヴォーカルとはちょっと違うメロディ・ラインをマイクが同時進行で歌っていくケースもいくつかあって。単にハモるとかユニゾンとかじゃなくて、別々のメロディが進んでいく、みたいなこともやれる。マイクはあの少年合唱団みたいな綺麗な声質で、ちょいちょいバック・コーラスを入れてくるんで、いやでも耳に残りますよね。きっとあのマイク成分がないと、R.E.M.はもっととっつきにくい印象のバンドになっていたと思うんですよ。もっと大げさに言ってしまうと、ポップさ、キャッチーさをマイクの声が担っていた。それはごく初期からずっとそうで、《(Don't Go Back To) Rockville》とか…あの曲も多分ライヴでやると思うんですが…」
のざき「はい、《Rockville》はやりますよ〜」
荒野「その頃からマイクの声の存在感は強かったし。ミック・ジャガーとキース・リチャーズみたいに並び立つのではなくて、背後にいる、みたいな(笑)。どう考えてもマイケル・スタイプとピーター・バックの方が目立っているんだけど、マイクもしっかりいる!っていう… しかも彼が歌うメロディはすごく耳に残るんですよ。このバック・コーラスの綺麗な声質と、マイクが歌うメロディが気になるっていうのは、1つのフックになっていますよね。そこは意図してやっていたと思います。今度再発される『OUT OF TIME』の《Near Wild Heaven》もそうだけど、あれもまさにマイケル・スタイプとマイク・ミルズがほぼデュエット状態で…」
のざき「あれ良い曲だよね。ピーターのギターもかっこいいし! いかにもR.E.M.っていうスタイルのギターだし」
荒野「ええ、初期からのR.E.M.スタイルの総まとめっぽい。そこにマイクのコーラスもセットになっていて…」
のざき「うん,良く出来ている」
荒野「あぁいう、“いかにもR.E.M.らしい感じ”は、このアルバム以降だんだんと薄れていくんですけどね。そこから先はサウンドの幅が広がって、作品ごとにどんどん印象が変わっていきますけど。でも、R.E.M.スタイルの基本線みたいなところは、最後まで変わらなかった気がします」
2月7日 京都 磔磔
2月9日 渋谷 WWW
2月10日 渋谷 WWW
詳細はこちら http://www.mplant.com/icestation
with ナヌーク、カート・ブロック、ピーター・バック、スコット・マッコイ、マイク・ミルズ、リンダ・ピットモン、スティーブ・ウイン
PS
荒野さんが手がけた名著の数々。アイルランド音楽本とアコーステイック・ギター本にはウチのアーティストも多数ご紹介いただいております。是非チェックしてみてください。
ところで中学時代の荒野さんが、1,000円のお小遣いでどうやって洋楽ライフを送っていたかというと「レコードは黎紅堂と図書館で済ませ、時々そろばん塾の月謝3,000円を着服してママチャリで六本木WAVEに行き、カット盤を買ってトレーナーに隠して帰っては“腹が四角い!”と親にバレてビンタされていた」のだそうです(爆)。そして「とにかくライヴに行けないのでFM誌やミュージック・ライフを隅々まで読んで暗記していた」とのこと。お母さん,良かったですね。立派な息子さんになられて…!
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荒野「ここでやっと、R.E.M.の話に戻りますが…(笑)。当時は雑誌に載る写真がとても重要で、R.E.M.の映像ってほとんど見れなかったんですよ」
のざき「そりゃそうだよね。インターネットもないしね」
荒野「テレビの音楽番組でプロモーションビデオを初めてみたのは《Fall On Me》で、86年くらいかな…。『Lifes Rich Pageant』っていうアルバムからのシングルということで、《Fall On Me》のプロモ映像を、確かベストヒットU.S.A.で見た記憶があるんですよ。でも、せっかくの映像なのに、見たくてしょうがないメンバーの姿が全然出てこなくて(笑)。ひたすら歌詞のテロップが出てくる映像で、それはそれで斬新で話題になりましたけど」
のざき「へぇー」
荒野「姿が分からないじゃないか!と(笑)。またライヴにも行けてないわけですから。だからオレ、マイク・ミルズの歌声がピーター・バックの声なのかと、しばらく誤解してたんですよ(笑)。ピーターはあんなかっこいいギターを弾いて、こんなイカしたコーラスも付けられるんだ!と勝手に思い込んでた。もっと後になってからR.E.M.のライヴ映像を観て、マイクが歌っていることにようやく気付いて、『のび太やるじゃん!』って(笑)」
「役割分担がバンドの中であったと思うんですよ。初期のマイケル・スタイプのヴォーカルがああいう不明瞭な歌い方なので、マイクのバック・コーラスでメロディをくっきり出すっていう狙いがあったんじゃないですかね? R.E.M.ってメインのヴォーカルとコーラスがハモる時もあるけれど、今言った《Fall On Me》のように、マイケルのメイン・ヴォーカルとはちょっと違うメロディ・ラインをマイクが同時進行で歌っていくケースもいくつかあって。単にハモるとかユニゾンとかじゃなくて、別々のメロディが進んでいく、みたいなこともやれる。マイクはあの少年合唱団みたいな綺麗な声質で、ちょいちょいバック・コーラスを入れてくるんで、いやでも耳に残りますよね。きっとあのマイク成分がないと、R.E.M.はもっととっつきにくい印象のバンドになっていたと思うんですよ。もっと大げさに言ってしまうと、ポップさ、キャッチーさをマイクの声が担っていた。それはごく初期からずっとそうで、《(Don't Go Back To) Rockville》とか…あの曲も多分ライヴでやると思うんですが…」
のざき「はい、《Rockville》はやりますよ〜」
荒野「その頃からマイクの声の存在感は強かったし。ミック・ジャガーとキース・リチャーズみたいに並び立つのではなくて、背後にいる、みたいな(笑)。どう考えてもマイケル・スタイプとピーター・バックの方が目立っているんだけど、マイクもしっかりいる!っていう… しかも彼が歌うメロディはすごく耳に残るんですよ。このバック・コーラスの綺麗な声質と、マイクが歌うメロディが気になるっていうのは、1つのフックになっていますよね。そこは意図してやっていたと思います。今度再発される『OUT OF TIME』の《Near Wild Heaven》もそうだけど、あれもまさにマイケル・スタイプとマイク・ミルズがほぼデュエット状態で…」
のざき「あれ良い曲だよね。ピーターのギターもかっこいいし! いかにもR.E.M.っていうスタイルのギターだし」
荒野「ええ、初期からのR.E.M.スタイルの総まとめっぽい。そこにマイクのコーラスもセットになっていて…」
のざき「うん,良く出来ている」
荒野「あぁいう、“いかにもR.E.M.らしい感じ”は、このアルバム以降だんだんと薄れていくんですけどね。そこから先はサウンドの幅が広がって、作品ごとにどんどん印象が変わっていきますけど。でも、R.E.M.スタイルの基本線みたいなところは、最後まで変わらなかった気がします」
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ICE STATION、開催までもうすぐ。渋谷と京都で公演があります。チケットの通販、そろそろ締め切りますので、お申し込みはお早めに〜2月7日 京都 磔磔
2月9日 渋谷 WWW
2月10日 渋谷 WWW
詳細はこちら http://www.mplant.com/icestation
with ナヌーク、カート・ブロック、ピーター・バック、スコット・マッコイ、マイク・ミルズ、リンダ・ピットモン、スティーブ・ウイン
PS
荒野さんが手がけた名著の数々。アイルランド音楽本とアコーステイック・ギター本にはウチのアーティストも多数ご紹介いただいております。是非チェックしてみてください。