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2017年6月12日月曜日

再掲 すごく大事なこと 

私は昨年の7月9日土曜日にこういうブログを書きました。「すごく大事なこと」それを再掲します。我ながら良い事を言っている。

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今日のブログは、本当に真剣に書く。

ノンフィクションライター 角幡唯介さんの「同一状況下における状況と状況のすれ違い」という文章を読んだのは、もうだいぶ前だけど、そしてこの文章が実際に書かれたのも、本当にだいぶ前だと思うけれど、今ほどこの文章が響いてこない時はない。だから、今日はそれを紹介します。

「同一状況下における状況と状況のすれ違い」は、「探検家の日々本本」に収録されている、中島京子さん「小さいおうち」に対する書評です。

まず、角幡さんのいつもの書評と同様、この書評もご自身の探検の話から始まります(笑)。内容は「雪崩で死にそうになった経験」これが結構笑えるんだ…

角幡さんは今まで何度か雪崩にあっている。普通なら死んでいるところ、ものすごい運の強さで生き残った。普通、雪崩に埋まると雪はあっという間に氷と化し、そのまま埋まった人間は氷の中で固定され、息が出来なくってジワジワと死んで行く。そういう危険な目に角幡さんは3度もあっている。そのうちの2つのケースが、ここでは詳細に紹介されている。

で、どちらの状況も判断を見誤った自分のミスだと角幡さんは自分で認めている。刻々と変化する山の状況を見誤り、時には「焼肉が食いたい」というアホな目的のため、謝った判断を、危険な雪山の中で下してしまった。そして雪崩にあって初めて、どれだけ自分が周りが見えていなかったかということに気付いた。

恐ろしいのは決定的な一線をいつ越えたのかが、自分でもまったく分かっていなかったことだ、と角幡さんは言う。もちろん後から振り返れば、あれはあの時あの場所での判断がいけなかった…などと、あれこれ分かる。だが、実際の、その時はまったく状況が分かっていなかった、と。

角幡さんは説明する。状況というものは大きくわけて自分の外を構成する「大状況」と自分自身の周辺や内面を構成する「小状況」の2種類があると。通常、人は「小状況」にどっぷりつかり、「大状況」のことがまったく見えていない。そして「大状況」が危険水域に突入する時、「小状況」が切迫していなければ、「大状況」がマズいと判断する段階 になっても大丈夫でしょう、と判断してしまう。「小状況」の方が、いたって平和でのんびりしているから、いやいや大丈夫でしょう!…となってしまう。そこに同一の状況下で、認識のギャップが生じてしまう、と。

ここで中島京子さんの「小さいおうち」の書評。この本では、 この状況と状況のすれ違う様が恐いほどリアルに書かれているらしい。(すみません、まだ読んでません)「小さいおうち」は戦前、戦中にかけて、とある裕福 な家庭に女中奉公した女性の回想ストーリー。その戦中の東京の市民の暮らしぶりが、とても見事に描かれている、と。そしてそれがあまりにも素晴らしいがゆえに、それが戦中の話であることをうっかり忘れてしまうほどだ、と。

普通戦中というと、皆さんはどんな生活を思い浮かべるだろうか。原子爆弾が落とされ、東京が焼け野原になり、人々はあのひどい歴史的事件の中でさぞ悲惨な暮らしをしていたのに違いない。そんな風に私たちは勝手に想像する。

が、違うのだ。そこには普通の生活があり、家族の明るい笑い声さえある。話題の中心は息子の受験のことだったり、今夜の夕食のメニューことだったりするのだ。

この作品のすばらしさは人間のそんな逞しさを、ものすごい説得力で描いたところだ、と角幡さんは言う。そして、たぶん、実際の戦中の状況は、本当にこんな感じだったのだろう、とも。戦争が近づいても、国際情勢や政治状況という「大状況」が大変なことになっていても、「小状況」は淡々と続いていたのだろう、 と。

「小状況」における平和な日々が続くかぎり、人々はリアリティーをもって「大状況」を想像することは出来ない、ということなのだ。危険な一線を越えた、と気付くのは家族が戦地に送られたり、空爆によって家が破壊されてからなのだ、と。

いろんなキナ臭いニュースが今日も報道されている。今すぐに戦争になるとは思わない。けれど、たった今、あなたが知ったそのニュースが、後から考えると決定的な一線だったということは、十分にあり得る話だよ、という一文で、この文章は締められている。

何度も言いますが、これ、だいぶ前に書かれた文章です。でも私は今ほどこの文章が心に響く事はありません。

とにかく皆さん選挙に行ってください。いろいろ思うところはあるけど、他の人に対して自分が言えることがあるとしたら、それだけだよね。それ以上は個人の考え方だと思うので、私は踏み込みません。私はもう火曜日に期日前投票で済ませました。

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しかし皆さん、ご存知のとおり、実際には多くの人は選挙にいかず、現在のこのありえない安倍政権の独裁的な状況が作りだされたわけです。今さら、何を言っても遅いんだわ…

さて、今日言いたいのは、この素晴らしい角幡唯介さんの書評…というか本をネタにしたエッセイ集「探検家の日々本本」が文庫化されました、ということです。文庫本いいよね。安いから人にプレゼントしやすいし。これはホントに面白い本なんで、是非皆さん読んでください。私は単行本の時点で、おそらくもう10回くらい読んでますが、人にプレゼント用にすでに6冊も購入してしまったよ。あぁ、ファン稼業って楽しすぎるわ…

いろいろ後悔があっても、過去は変えられません。でも、とにもかくにも次の選挙には必ず行くこと。今日自分が出来ることを、今日きちんとやること。そして走ること。食べること。

今日も張り切って行きましょう!


 
川内有緒の国連本も文庫化された。必読!!

昨日は角幡さんのトークイベントへ。楽しかった。早く極夜探検本が読みたい。

帰りのソロ飯は餃子20個! その後プールで90分泳ぐ!

サイン本。人にプレゼント用だから、自分の名前は入れてもらわない。