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2017年7月29日土曜日

ワールドミュージックとは、いったい何なのか… HOW TO BE A WORLD MUSIC STAR


このドキュメンタリー前から観たかったんだけど、You Tubeにあがっているのを、やっと発見して見ることが出来た… が、見れた!と思ったとたん、さすがBBC。すぐに削除されちゃった。上がってた期間は3日間くらいだったか。番組の詳しい紹介はBBCのサイトをご覧ください。(ちなみにiPlayerで裏技を使えば見れると思うのですが、今のウチのMac環境だとGoogle Chrome使うの辞めちゃったので、日本からは見ることが出来ません。早くMac新調しないとなぁ…)

というわけで、じっくり見てから感想を書こうと思ったのだけど、あっという間に削除になっちゃたので、私もさっとしか見れておらず、番組の内容の理解に誤解があったらすみません。が、この番組によれば、ワールド・ミュージックは英国から世界に配信された、という事らしい。BBCもそれにすごく貢献したんだよ、と。つまりはそれが言いたいドキュメンタリー(笑)。例えばブルガリアン・ボイスは当時コクトー・ツインズなどを紹介していた4ADからリリースされた。そしてポップス/ロックとなんの遜色なく売り出された。

冒頭に「80年代、私たちはポップスに飽き飽きしてた」みたいな導入シーンがあるんだけど、そこでWhamの「ウキウキ・ウエイク・ミー・アップ」が流れる…(笑)ごめんね、ジョーヂw  でも確かにそうなのかもしれない。「パンクは死んで、ボブ・マーリーも死んだ」80年代のあのポップなポップスたちの反動として「人々は本物の音楽をもとめていた」とナレーションが流れる。そしてラジオDJたちの何人かは英国のヒット・チャート以外の音楽を聴くようにリスナーたちにうながしたのだ、と。

ブンドゥ・ボーイズ(ジンバブエ)から始まり(「僕らはジンバブエのデュラン・デュランなのさ」と来た!/笑)、もちろんフランス発信のアフリカもの(ユッスー・ンドゥールとか、サリフ・ケイタとか)も無視できず、そんな話を挟みつつも、BBCのワールド・ミュージックのプレゼンターたちが誇らし気に当時を振り返る。ワールド・ミュージックに早くから傾倒していたジョージ・ハリソン、ケイト・ブッシュなどのコメントも挿入。ポール・サイモンの「グレイスランド」(1986年)では、確かに世の中に流通する音楽の、ギアが違うところに入った感じがした。ピーター・ゲイブリエルの主宰するWOMADも1982年が最初。エコー&ザ・バニーメンと共演したブルンジのドラマーたちにオーデイエンスは熱狂。ものすごく盛り上がったものの、WOMADはあまりに高くついて、ピーター・ゲイブリエルはジェネシスを再結成させるしかなかった…。そしてもちろんヌスラット・ファテ・アリ・ハーン!!! うーん、素晴らしい。そしてブエナ・ビスタも!

最後の方で、ティナリウェンも出て来る。彼等、私も先日ノルウェーのフェスでやっと観たが、私は実はピンと来なかったかな…。でも確かにこの番組が作られた頃(2013年8月)、ティナリウェンはワールド音楽界隈で一番クールなバンドだった。日本にも2回くらい?来たっけ? 最後はアフリカ生まれポルトガル育ち、ファド界の新星マリザも登場。そういや彼女はCDすら出てないのに1回だけ来日公演をかなり大きな会場(in 東京)で行ったよね。しかも主催は普段ワールド・ミュージックなんてやらない大きなプロモーターさんだった。たぶんエージェント経由で急にふられたのだろう。あれはどんなだったんだろうか。行った人がいたらどんなだったか教えて!

しかし、よくよく私は考えた。確かに私たちはメイン・ストリームの音楽だけでなく、世界の音楽を聴いていた。が、結局私たちは彼らの植民地活動に付き合っただけなのか…?

そんなわけで、この番組を見ながら、日本の市場をこんな風に説明するとしたら、どうなるのかなぁ、とちょっと思った。おそらく中村とうようさんの存在は無視出来ないんだろうな。もっとも私はとうようさんの事はよく知らない。とうようさんはどのようにして、レコ社が供給する以外の、知らない場所の音楽の情報手に入れていたのだろうか。そして、あとはやはり日本においてもミュージシャンの皆さんが発信するものが市場に紹介されていた、という事はあったのではないかな、と思う。細野春臣さんとか早くからそういったものを世界のどこかから見つけて、紹介していたし…。あとはワールド・ミュージックを多数日本に紹介してきたプロモーターのカンバセーションさん? あそこは何年創業だったんだっけ? 

一方で私はずっと普通のポップス・ファンだった。デュラン・デュラン大好きだったし、ポール・ヤングが大好きだった。でもメーカー勤務中に、アイルランド音楽に出会い、メアリー・ブラックに出会い、クライヴ・グレッグソンに出会い、ルナサに出会って、そこからあれこれ始まるんだけど、特にインスト・バンドに関しては、その良さ/面白さが理解できたのはケンソーというバンドと付き合っていたからだ、と思う。それは、それで、また別のお話し…

そんな風に、私は自分が直接出会うミュージシャンを大切にしてきた。ただそれだけだ。別にワールド・ミュージックに思い入れがあるわけではない。たまたま好きなミュージシャンの後をついていったら、ここに流れついただけなのだ。今やワールド・ミュージックの世界もかなり商業的になって、例えばWOMEXみたいな国際見本市みたいな場に世界中の関係者が集められ、そこで大プッシュされたバンドは翌年のfROOTSやSONG LINESに大きな広告が出て、ロンドンのバービカンとかでやったりする。そういうパターンが定着してきた。知り合うミュージシャンたちが、WOMEXやそのテのフェスティバルに対する不満や文句を言ったりするのを聞いたりするたびに、私は国際見本市なんか主宰している奴らには騙されまい、と常に思ってきた。展示会は展示会の主催者がいちばん得をする。ミュージシャンの世の中に出たいという気持ちを利用して…。世の中は、そういう仕組みになっているのだ。幕張やお台場でやっている商業見本市なんかもみ〜んなそうだ。私は自分で独自にWOMEXなんかに出る前にいいバンドを発見するんだ、というのが自分の役目だと思ってた。そして、それはそれで上手くいってたと思う。ルナサだって、ヴェーセンだって、WOMEXに出る前に私は出会っているんだし。ラウーだって、最初に私が日本に呼んだのは最初のBBCの受章前だ。

だからこのBBCのドキュメンタリーも「ふーん」って斜めな気分で眺めていた。 なんか英国ってホント植民地視線なのよね、と(笑)しかし、そんな風に活動してきたせいで、私は自分が知らないジャンル/ミュージシャンについては、当然のことながら、まったく知らない。つまり自分が知らないものはまったく知らない。これは素直に認めなければいけない。私はワールド・ミュージックのエキスパートでも何でない。一応、5年くらい前まではSONGLINESや、fROOTSは購読してきたが、今はもう辞めてしまっているし、大きな公平な目で世の中に出て来る音楽を眺めながら,日本の市場にあうものを選択しているわけでは決してないのだ。ま、私がやることなど、小さい個人プレイなので、それはそれでいいのだが、日本におけるワールド・ミュージックという事で考えてみれば、非常にゆゆしき問題だ。

特にカンバセーションが潰れたあと、唯一プランクトンさんがほほ孤軍奮闘で頑張っておられるが、本当に本当に大変だと思う。なんとかトーキョーでも、ニューヨークやロンドンで当たり前に見られる大きなワールド・ミュージックのバンドが見られる状況にないといけない。その責任を担っているのが、プランクトンさんだ。私みたいに「好きなバンド呼んでます」というわけには当然いかない。確かにウチみたいな仲間内のネットワークや、フェスティバルで来日するようなグループもたくさん日本にやってくるのだが、私が言っているのはいわゆるバービカンとかカーネギーホールとかでヘッドライナーをするような世界クラスのバンドの事を言っている。2,000人のホールを埋めるバンドのことを言っている。一方で、日本の公共のホールが取り上げるのは、クラシックの有名どころか「テレビに出ている人」が主であって、せいぜいジャズ、もしくはうんと小規模の落語や日本の伝統芸能であり、世界の得体の知れない音楽など、誰も見向きもしないのだ。そうやって東京で見られる音楽のレベルはどんどん落ちていってしまう。ホントに厳しい状態なのだ。

ちょっと話がそれたが、そんなわけで、私が知らないジャンルにも、まだまだ素晴らしいアーティストがたくさん眠っている、というのを私も自覚しないといけない。とにかく見事なまでに儲らず、仕事にするのが難しい、ビジネスにならないジャンルなので、おかげ様で日本では誰もそれに手をつけていないアーティスとが山ほど存在する、ということなのだ。

実は今度2019年に紹介しようとしているポーランドの音楽などがまさにそれだ。今度私が紹介するバンドは、BBCによいしょされて出て来たワルシャワ・ビレッジ・バンドなどとは訳が違うのだ。もちろん今でもワルシャワ・ビレッジ・バンドは活躍している。でもメンバーの何人かはすでにUK在住であり、彼らがポーランドの伝統音楽シーンに何ら面白い事をもたらしているわけではない。だけど、私がこれからやるすごいバンドは、そういう植民地的視線とは違う、まったくの現場感でいける、本物のものすごいバンドなのだ。彼等は周りを励まし、全体のシーンを盛り上げ、商業主義におかされていない本当のムーヴメントを作り上げようとしているのだよ!!!(高笑)

…と意気込んだのもつかの間…。結局のところ私が彼等のことを調べるのにベースにしている資料もfROOTSのポーランド特集(2011年)、SONGLINESの付録CD付き特集(2013年)なのであった… うーん、なんか悔しい(笑)そしてこのバンドはWOMEXにはすでに2012年に出演している。ちくしょー、なんか遅れた感ありあり… っていうか、ビックリしちゃうのは、こ〜んなに特集されてても日本で呼ぶ人がいないと、まったく知られないで終っちゃうんだな、ということ。そんなんでいいのか,日本?!

…みたいなことをBBCのドキュメンタリーを見て思ったのでした。

さてこっちは昨晩セルフリッジ(英国の有名高級デパート)で公演を行ったらしいアイヴォール。彼女も英国チームが力を入れ始めてから動きが今までとまるで違う。ここまで来れば世界的なアーティストになる日も近い? 実力は十分にあるんだし。ウチみたいな小さいところが日本に呼んですごいライブ見せて、取材ちょっとさせたとしても、ぜーんぜん世の中には伝わらないのだ、悔しいけど…。ま、英国チームに頑張ってもらいましょう。英国のマーケットでなんとかなれば、日本にも伝わってくるに違いないのだから。はたしてお手並み拝見!(笑)過去にアイヴォのことをウチの公演で観た人がいたら、それはそれで自慢していいと思うよ。



 PS
そういや「ワールド・ミュージック」という言葉は1987年にロンドンのなんちゃらストリートで生まれた、とかいう記事がfROOTSに書いてあったよな… あれどこだっけ… あ、これだ、これ!