フランツ・バルトロメイ「この一瞬に価値がある」を読みました(1)


さて初来日が決まったバルトロメイ・ビットマン。なんと私がマティアスの父ちゃんが有名なチェリストだと知ったのは、私が彼らに来日オファーをし、アグリーし、彼らのスケジュールを押さえた後だったのでした。びっくりだよ。

…というか、バルトロメイ=チェロで、本来ならばすぐピンと来なくてはいけなかった、わたしがあまりにも無知だった。マティアスのパパ、フランツ・バルトロメイは、そのくらい有名なチェリストなのです。なんとバルトロメイ家は、120年以上もウィーン・フィルに仕える名家中の名家なんだって。日本ではこんな本も音楽の友社からリリースされてる。

でも父ちゃんは父ちゃん、自分は自分だもんね。とはいえ、ここでせっかくだからパパ・バルトロメイの事をご紹介しておきましょう。私をはじめクラシック詳しくない人も多いと思うので…。っていうか、私もあわてて調べたり本を読んだりしたので、せっかくですから…! でも実はこんな私でも子供の頃(たぶん中学生時代)ウィーン・フィルは観たことあるんですよ。親が大枚はたいて、コンサートに連れていってくれたんです。曲目はポップですけど(笑)『田園』と『運命』。指揮者はベームだった(と記憶している)。ということは、その時の主席チェリストはパパだったかも? 

インタビュー映像見つけました。こちらが、Vol. 1。素敵な紳士。7分半ほどの動画。パパ・バルトロメイのおじいちゃん(つまり曾ジジ・バルトロメイ)は、マーラーの友達だった!!? 

それはそうと、これ頭のところリハーサルのシーンだと思うけど、凄い! クラシックの人ってリハの時からスーツ着てネクタイしてる! 普段Tシャツ/Gパンではないんだ!? そしてインタビュー受ける時もタキシード!? 



続き。素敵な眼鏡のフレームは奥様(つまりママ・バルトロメイ)のチョイスだそうで…



今までウチのチェリストといえば…



なんというか…

こういう人たちばかりだったので…

煮込みストリートが似合う連中。まったく違和感がない…

この楽器にぶら下がっている汚いハンカチの役割はいったいなんなんだろう…

こんな連中ばっかりだったので…。彼らとはだいぶ世界が違いますな(笑)。

バルトロメイ家は本当にすごいんです。上の動画でパパが話しているようにマティアスのひいおじいちゃんはクラリネット奏者で、マーラーと親しく(!?)ウイーン・クラリネット楽派(なんだろう…それ。ググっても出てこなかった)の創始者だったらしい。そして2代目(つまりマティアスのおじいちゃん)のフランツ・バルトロメイ(ファーストネームが同じところが時代よねぇ…)ことジジ・バルトロメイはヴァイオリン奏者。彼はマネジメント能力にたけていて戦争をまたいだ難しい時代に音楽監督を務めオケを率い、その一方で教育に大変な力を注いだんだって。

そしてその2代目の息子2人は、兄がヴァイオリン奏者(かつイラストレーター)、弟がチェロ奏者となったわけです。チェロ奏者のフランツ・バルトロメイがマティアスのパパになるわけで、彼は45年ウィーンフィルに在籍し、そのうち39年間主席チェロ奏者を勤めたというすごい人。そういうすごい人がマティアスのパパなわけです。

それにしてもこの本を読んでいて感動したのは、ウィーン・フィルというその歴史の重さ。ウィーンに伝わる音というものがあるんだそうで、それは柔らかく、弾きだしのアタック音がない音…。ピアニッシモであっても、それを全身で演奏すること…等々。そしてウィーンの伝統というものが代々伝わっている、というその歴史の重み。つまりウィーンくらいになると作曲者の立ち会いのもとリハーサルし、初演を経験した経験談が代々の奏者の間に財産として伝わっているんだって。「こういう風に弾くものだ」っていうのが、楽団の中にもう知識としてある、っていう……すごすぎません?! だからどう弾くかってのは、もう間違いがないんだって!!! すごいな!!

あと指揮者ってのが、どんな風にオーケストラに機能するのかも、この本読んでやっと理解した(ような気がした)。指揮者、そしてコンサート・マスターの次に要のは、主席チェロ奏者なんだってのも、始めて知ったよ。コンサート・マスター、指揮者と視線を送りながら、交響曲を奏でる、その感じ。あとカラヤンとか、ベームの嫌な奴ぶりも書かれていて(別に悪口を言っているわけではないですよ)それもすごく興味深かった。カラヤンは明らかに違う空気をオケに持ち込む人で、それによって皆からベストなものを引き出す能力にたけていたらしい。

すごすぎるバルトロメイ家の話、もう少し続けさせてください。

この2:40すぎに出て来る白髪のチェロ奏者はパパ・バルトロメイかしら…ということは隣りでマンドラ弾いてるのはクレメンスのパパ? あとで聞いてみよ。



1分すぎくらいに、たった1秒出て来るパパの熱演ぶりが笑えます。すっごいヘッド・バッキングしてて、クレメンスが笑ってみてるの…



バルトロメイ・ビットマン。初来日公演は2月12日(祝/月)吉祥寺Star Pine's Cafeにて。どうぞよろしくお願いいたします。詳細はここ。チケット発売はこの週末。

パパのこの本、最高に面白いので,是非チェックしてみてください。