読んだ。出ることを最初に知ったのは、もう何ヶ月前だろうか。発売日が近づいて「うーん、やっぱり読まねばならないよね、これ」とkindleでポチったら、すでに過去の自分が予約をいれてた。ふぅー、読むのなんか気が重い。
「SONG BY SONG」でのスクイーズ話はほんとに読むとつらくなるばかりだったので、仕事上読まねばならぬは分かっていても、やっぱり辛かった。でも読まないわけにはいかない。だから読んだ。というか、好奇心の方がやっぱり強かったかな… というか、グレンを傷つける何かが書いてありませんように…それを確認しておきたかった。昨日はグレンの誕生日だったのでメッセージを送ったが、そこに「この本、今,読んでるよ」とは入れなかった。一方、ブーには「今,読んでる,読んでる。あなたが出て来たところ読んでる」とか速攻でネットでチャットを始めてしまった。久しぶりにブーと話せて嬉しかった。
今、強烈に忙しく時間がないので最初の生い立ち部分はさっさと飛ばしてグレンが登場するあたりから読み始めた。(最初の頃の話はまた時間が出来たらゆっくり読もう。きっとすごく面白いに違いない。読み終わって思ったのだが、こういうクリスが形成されたのはやはり生い立ち部分に大きな要員があるに違いない)
グレンとマキシン |
そしてあいかわらず超悪者に書かれているマイルス・コープランド。まだ現役で働いている人だけに、ここまで言われていいのか…と思ったけど…。うーん、どうなんだろうね。とはいえ私の印象は「SONG BY SONG」で感じたものと変わらない。彼は彼でスクイーズを愛していたんではないか?と思える部分があるからだ。スクイーズが解散して再結成して、再びA&Mで契約する時、いったん喧嘩別れしたマイルスと再契約することになるスクイーズ。「For me, it was the devil we knew」とクリスが書いているが、この時代にはアーティストは自分で何かを発信する手段もなく、こうするしかなかったのかもしれない。というか、この頃、まだ彼等は20代で、とても賢く判断する力はなかっただろう。
あとクリスがエルトン・ジョンとこんなに近かったのかも知らなかった。クリスが歌詞を書いた「Duets for one」を貼っておこう。 エルトンはクリスをアルコール中毒、買い物中毒から救った重要な人物だ。
そうそうスクイーズの来日の話で東京の事も出て来て、なんか嬉しくなった。「すごくよく面倒をみてもらった」「すごくいい経験だった」「日本は大好き、でも遠い」とクリスは書いている。また東京でAA(アルコール中毒から脱しようとする人の集まり)に行こうとするが時間がまったくなかった、とも。それにしても飛ぶことはクリスにとっては非常なるプレッシャーだそうで、東京に来た時は、なんとヴァージン航空の友人のパイロットの隣りに座ってやってきたのだそうだ。(当時はまだそういうことについて、規制がゆるかった。今は不可能)帰りはその友人がおらず、非常に辛いフライトだったとも書いている。実際、飛行機に乗ることへの恐怖も詳細に語られている。このヘンは読んでて心が痛かったが… まぁ、しょうがないよね…
あと、そうそう、ブライアン・フェリーのPA(パーソナル・アシスタント)をしてた話は、どっかからか聞いて知ってたけど、実際の業務がこんな感じだったのか…とかなり興味深く読んだ。というか、やっぱりスクイーズ後の、自分が仕事としてグレンに係り始めたころのクリスの話はすごく面白い。ついつい読むのが辞められなくなってしまう。結局、本の終わりまで読んでしまった。朝5時までかかった(笑) しかし…こう言っちゃなんだけど、たかだかPAに、こんなに内側を暴露されてしまっていいんだろうか、Mr.F!!と思ったのも事実。いや、もちろんスキャンダラスなことは何一つ書いていないですよ。でも金持ちのハウス・コンサートの様子とか… そういうのはいったいPAの立ち場で何が言えるんだろう、と思ったのも事実。っていうか、こう言っちゃなんだが、雇われた立ち場で、自分の本のネタにするなんて、これはないんじゃなかろうかと思った…
そして当然のことながらブー・ヒュワディーンも登場する。これもすごく面白い。ブーはすごく良い書かれた方をしてて私も鼻が高い。グレンも当時「ブーは、すごくクリスによくしてくれている。2人はすごく上手く行ってるみたいだ」みたいな事を言ってたのを思い出した。しかしここだけの話、この辺の流れはブーやグレンから直接聞いているのと、クリスが書いている話は印象がまったく異なる。そりゃあ1つの話にいろんな人の視点はあるだろう。まぁでも本人が書くとこうなるよね…というのがこの本の印象だ。そうそう、マイケル・スタイプに会った話も出て来る。なんだかんだ言ってクリスはこういうセレブな世界が大好きなのだ… そのヘンがグレンとは大きく違う。 またストライプスのマネジメントに係った部分についても… こんなに書いてしまっていいのかしらと正直思った。まだつい最近の話で時間が全然たってないし。将来ストライプスが大きくなって、本でも出すようになったら、そこでクリスがどういう書かれ方をするのか興味が出て来たぜ(黒のざき)
あともう書いてしまってもいいだろうから書くけど、クリスって本当に変わっていて、ウチにまで「日本にまた行きたいんだ」とかメールをよこしてきた時期があった。来るわけないのに!! 行くわけがないのに「来て」と言ってほしい…ということなのだろうか。まったく謎である。そんなのにホイホイ乗るウチではない。どうやってウチの連絡先を知ったのだろう。グレンのウェッブサイトからか…。そういや五十嵐正先生にロンドンでインタビューしてもらったこともあったよな。あれは確か「SOUTH EAST SIDE OF STORY」の宣伝だったか…(
クリスの歴代マネージャーとも何度か話したこともあるが,本にも出て来るマット・トーマス氏は、そんなクリスの妙な行動も許し、私とも丁寧にコミュニケーションしてくれる、ホントに素敵な人だった。一度スクイーズの公演の楽屋でお会いしたこともある。だから彼がマネジメントを離れたと聞いて、すごくびっくりしたのだが…。その理由もこの本に書かれていたのだが。クリスもマットはすごくいい人だと書いている。が、私は納得がいかない。うーん、なんだかなぁ。現在クリスのマネジメントはロケット(エルトン・ジョンの会社でエド・シーランとかもマネージしている)がになっている。
最後の章は新しい奥さんとの出会い、そしてグレンがキャメロン首相の前で「Cradle to grave」の歌詞を変えて歌った事なども書かれていた。が、正直、こんなに最近のことを本にするのであれば10年たってからの方がよくないか…と思ったのも事実である。
最後はハッピーな雰囲気で終っているのだが、読み応えという点ではグレン/クリス両方にインタビューし第三者がまとめた「SONG BY SONG」の方が圧倒的にあったと思う。たしかにあれは読んでてつらい本だが、名作であることは認めないわけにはいかない。この本はどうなんだろうか。正直、私には分からない。特に後半は自分にも近すぎて、正常な評価は出来ないと思う。
そして心配していたグレンへの屈折した気持ちとか、言いたいことを言えない気持ちとか、相手に分かってほしいのよ,僕…みたいな、そういう正直うっとおしい記述は思ったより少なかった。スクイーズが再結成されて、一応稼働しているから、グレンとの関係はこれでいい、という事なのだろうか。
でもってクリスの英語の使い方はやっぱりさすがで、「おっ、このフレーズいいなぁ、覚えておきたいなぁ」と思うものもあれば、言葉上の意味は分かっても、これはいったいどう理解すればいいのかさっぱり分からないものもたくさんあった。英語って難しい。 が、比較的平易な英語で書かれているので,スイスイ読めたのも事実。スクイーズ・ファンは… そうねぇ、やっぱり読んでおいた方がいいかもね。