ケヴィン・クロフォード インタビュー ルナサ新作『CAS』について その1

さて、忙しいアメリカツアーの中、ルナサのケヴィンが私がメールで送った質問に答えてくれました。ケヴィン、ありがとう。

いや〜、意外な内容の回答も多く、すごく興味深いです。是非、もうすでにCDを手に入れられた方も、まだの方もお読みください。



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今、アメリカツアーの最中なんだ。タイプするより早いから音声で回答するよ。質問をどうもありがとう。

まず質問の最初にあった、今回のヴォーカルトラックそれぞれについて説明するよ。

With Natalie Merchant from Lunasa fb page

ナタリー・マーチャントのトラック『The Bonny Light Horseman』だけど、この楽曲は、実は僕が彼女に提案した2曲のうちの1つ。他には『Donal Og』とかも提案した。

『The Bonny Light Hoseman』は、確かにドロレス・ケーンのヴァージョンが有名だけど、僕が彼女に聞かせたのは何年も前に録音されたアンディ・アーヴァインの歌うプランクシティのヴァージョンだ。





でもナタリーはそのヴァージョンに捕われることもなく、いつものようにまったく新しい彼女のヴァージョンを作り上げてくれた。出来上がったものは、プランクシティもドロレスも感じさせないまったく新しいものだったね。

彼女の歌の解釈はいつも強い信念に基づいている。歌い方も非常にダイナミクスが大きく素晴らしいものだ。僕らはこの曲のアレンジも彼女と一緒にスタジオに入って、一緒に仕上げていった。確かに事前に音源を送り合ったりもしたが、ちゃんと完成したのはスタジオの中だ。

レコーディングは、ニューヨークの郊外にある素晴らしい彼女がいつも使っているスタジオで2日間に渡って行なった。ウッドストックにあるDreamland Studiosというところだ。すごく素敵な場所なんだよ。だからすべてがとても素晴らしい経験だった。

最高の環境で録音されたんだが、CDから聞いてもらえるのは、完全なライヴ・ヴァージョンだよ。1発で録った。それが彼女のやり方なんだ。僕らは同じような経験を彼女の作品『Leave Your Sleep』で経験済みだ。だから同じように作業をしたんだ。みんなで丸くなって座って、何度かトライして、「よし、これで出来た」ってね。それが僕らのやり方なんだ。僕らは彼女がこのアルバムに参加してくれたことを、とても名誉なことだと思っている。

With Tim O'Brien from Lunasa fb Page
 ティム・オブライエンのトラック『The Water is Wise』。(ティムと最初に共演したのは東京のケルティック・クリスマスの時ですか?と聞いたら)確かにティムとバンドとして一緒に演奏したのは東京が初めてだったんだけど、僕たちのそれぞれがティムとはすでに演奏経験あった。 この曲はツアー中に生まれたものだ。2年前のアメリカツアーだった。

ティムには今回のツアーにも頭と最後のところで参加してもらっている。3、4年くらい前にティムが書いた曲で、今,話題の女性シンガーでマルチ・インストルメンタリストのサラ・ジェロースとの共作だ。



すごく元気があって、ブルーグラスのオールドタイムな雰囲気がある曲で、すごくリズムがいいだろ。僕らのアイリッシュのメロディもフィットしやすい。ライブでやってても、すごく楽しい曲なんだ。だから今回この曲を録音するのは僕らにとっては、とても自然なことだった。

これはナッシュビルでレコーディングされた。 録音したのは、だいたい1年くらい前かな。1年くらい前、やはり恒例の3月のアメリカのハードなツアー中にオフの日が2日あったんだ。だから僕らはみんなでナッシュビルに移動してジョニー・キャッシュが昔よく使っていたスタジオを押さえた。小さいけどすごく豪華なスタジオで、Butcher Shopって言うんだけど、そこでホントに朝のうちにレコーディングされた。 またもや曲を何度か通しただけで、まるで呼吸するようにして2テイク録って、それで終わりさ。難しいことも大変なことも1つもなく、とても楽しんでレコーディングできたよ。2テイクのうちの気に入った方に、ティムのパートナーのジャンが、バッキング・ヴォーカルを後から加えた。あとでトレヴァーがちょっとブズーキとかギターとかダブリンのスタジオで加えたみたいだけど、でもほとんどがここであっという間に録音されたものさ。僕らはスタジオの時間が大量にあまってしまったので、ここで数曲インストルメンタルの曲も録音した。『The Dregs of Birch』とか、スローな曲をね。おかげでだいぶ経費が節約できたよ。これは助かったね。以上が『The Water is Wise』の裏話。

その2へ続く。

ルナサの新作『CAS』は、THE MUSIC PLANTのCDショップにて好評発売中。どうぞご利用ください。