出張3日目 エジンバラ

翌日はそんなわけで朝早くタクシーに乗ってホテルからザルツブルグ中央駅へ。このタクシーの運ちゃんが最悪で最初はカード使えないと言ってみたり、結局使えたのだけど、使えてもレシートだせない…みたいなことを言ったりするので、ホントに最悪だった。どうやら機械になれていないというのが理由っぽかったのだけど、こういうの、久しぶりだ。ま、時間にゆとりがあったから良いけど、降りる時にそんなわけでエラく時間がかかり、長距離電車が控えていた私はかなりイライラした。ここのところ、なんというか、ホテルでもレストランでもタクシーでも海外で気分が悪くなるような場所って行くことがほとんどなかったし… 

とはいえ電車には余裕で乗れて、ザルツブルグからウィーンの空港まで2時間半くらいかな…で移動。それにしてもウィーンこそ、ちゃんと一度は観光したい街だ。前に来た時のことははっきり覚えている。ルナサの、ドナが辞める2年くらい前の公演だった。ものすごく寒くて、おそらくマイナス10度くらい。グリーンランドより何より、一番の寒さを私が体験したのはあの時だ。当時ドナはすでにバンドを辞めたがっていて、それを告白された。私はなんだかズドーンと重い物を背負ってしまったようで辛かった。理由は当時婚約してた彼女と一緒にいたい、ツアーがつらくて続けられない、というものだったが、気持ちは痛いほど分る。でもそれを受け止めてしまい、日本に帰って来て、そんな話は当然誰にも出来ず、プランクトンの川島さんにしか出来なかった。川島さんは、音楽ライターや他の関係者には絶対に黙っているように、と私にアドバイスした。当然の事だけど他には誰にも言えず… まぁ、でもそんなことももう思い出だ。あの時にウィーンのピーーンとはりつめた寒さとともに、今でもあの時のドナとの会話ははっきりと覚えている。あの頃からドナが辞めるのは時間の問題だな、と思っていた。

ま、そんな思い出はともかく、というわけでウィーンは素通り。Easy Jetで、嬉しいことにエジンバラ直行だ。Easy Jetは初めて乗るのでドキドキしたが、思ったより全然快適でオペレーションもスムーズだった。

そしてエジンバラに2時頃には到着。ホテルを出る時ザルツブルグはビタビタ雨がふってひどい天気だったのに、ここは寒いけど、晴れて天気がめちゃくちゃいい! それに嬉しいことに、すべて英語だ。英語!!! やったーーー! それになんというか「知ってる街」感がすごい。ホールもいつも行くクイーンズホールだし。地図がなくても行けるよ! 以前来た時はどうやって移動したのかとか完璧に忘れているわけだけど、何も考えずに空港から移動するバスにも看板とかが読めるから、スムーズに乗ることが出来る。空港から中央駅まで片道5ポンド、往復7ポンドとある。こりゃ、いいや、ってんで、7ポンドの往復券を購入。バスの、当然2階の最前列に座ってはしゃぎまくる(笑)。

それに今日はヴェーセンに会える。これはめっちゃ嬉しい。 ヴェーセンに会うのは昨年のノルウェー以来か。ほぼ1年ぶりだ。

ウィーバリーステーション(中央駅)に到着すると、小さなスーツケースをガラガラひいて、天気もいいので20分ほど歩いて、ホール近くのホテルにチェックインする。で、これまためっちゃ可愛い小さなホテルですごく感激する。朝ご飯も美味しそうだけど… また明日は朝6時出発なのよね…。

ところがiPadをチャージしようとしてガーーーーン!! そうだった、ここはコンセントが違うのであった。なにがホームだ。結局、オイラはUK浦島。いったい何年英国に来ていなかったんだろう。こりゃ街に出てアダプター買わなくちゃと思ったのだけど、ホテルのお姉さんが電源の横にUSBチャージャーがあるでしょ?と親切にも教えてくれる。う、嬉しい。良かった。というのも、私は睡眠がなくても平気だが、私のiPadはちゃんとチャージしないと電池が切れてしまうのだ。

というわけでiPadをチャージしながらメールに返信してたら、すでに夕方。チケットをピックアップして、今朝空港で食べたチョコマフィン以外、何も今日は食べてないし、コンサートの前に何か食べてこようと外へ出る。ホール横のボックスオフィスでチケットをピックアップして、入れるかなぁ、とドキドキしながらも楽屋に続く扉をあけたら、ステージの上でウーロフがマーチャンのCDを数えていた。当然、彼らには来ることは伝えていなかったので、すっごくビックリして喜んでくれる(笑) 

「出会ってから15周年でしょ、だから来たのか?」と聞かれて、「あっ、そうだった」と思い出す。彼らはホントに記憶力がいい。確かに彼らに初めてあったのは、ここエジンバラのホールだった。でもそうか、あれから15年かぁ。でもウーロフが覚えていたのも理由があって、ちょうど前日に奥さんのお父さんが亡くなったりしたんだって。ミッケとローゲルにも会って、異様に盛り上がる。それにしても彼らはホントに楽しい。今、彼らの間では某ジョークが流行っていて(これはちょっとネットには書けず)そのことでもドッカンドッカン笑わせてくれる。いや〜、ヴェーセンはいいねぇ、ホント。

で、彼らが外にご飯に行くというので、私も着いて行き、ホールの斜め前にあるヌードル屋さんに入る。で、ここでまたもやUK浦島第2弾。お金が使えない、と来た。しかもなぜか私はこの時カードもホテルに置いてきてしまっていたので、仕方なくウーロフにお金をかりて自分のヌードルを支払う。トホホ。久しぶりに英国だからってはしゃいでいたけど、ダメだ。オイラは浦島だった。

「結構古いキャッシュもってんだよなぁ、ノルウェーのとか、スウェーデンのとか」「スウェーデンの幾らか忘れたけどデカいお札は、25周年でウプサラに行った時、すでに拒否られた」とか言ったら、ウーロフはその場でネットを調べてくれて「今、そのお金を変えるには、まず銀行の口座をもっていないとデキない。そしてそこで10%の手数料を払い、どうして換金が遅れたのかA4の紙1枚に理由を書いて提出をしないといけない」とか教えてくれる。なんだ、それ、学校かい!? でも結構な高額紙幣だったのだよなぁ、あれ。日本円にして1万とかしてたと思う。うーん。

ま、そんな話はともかく(もちろん当然仕事の話もしてるんだけど、それは時期が来るまで書けないので、書こうとすると、こういうバカな他愛のないネタになる) コンサートは、最高にすばらしかったですよ。会場は300人くらいかな。天上の高いホールで、正直、最初PAの音がつらいなと思ったんだけど、どんどん良くなり、3曲目くらいからはだいぶ安定してきた。途中休憩時間に、ローゲルが私が座っているところに来て、音は大丈夫?っって聞いたくらい。ローゲルによると、こういう場所は妙にフィドル・フレンドリーで、ギターがこもってしまうことがあるんだって。それにしても彼らの演奏は本当に最高だった。40分くらいのセット2本で、すごく良い選曲で(80%以上「ブリュード」からだった)、本当に心から楽しめた。特に昨晩バルトロメイ・ビットマンみたいなスゴい隙のない感じのステージを見たあとでは、本当になごむ。こういう円熟度は若いバンドでは得られないんだよね。

ところで今夜は上手くすればエジンバラだし、フィル・カニンガムあたりがぷらっと来ないかな、と思っていたのだけど、やってきたのはジョン・マカスカ、ハイディ・タルボット夫婦と、シーリスのパッツィ・セドン。そんなわけでジョンとハイディには写真に収まってもらいました。二人はアバディーンでヴェーセンと共演もしたんだ、って言ってたよ。

さて翌日も早いし、いい加減、睡眠取らないとやばい状況なので、私は割と早めに退散。といっても11時半くらいになってたかも。ヴェーセン、バイバイ。愛してるよ〜

明日はポーランド。ここからは完全に仕事モードです。