タイタンビカス。7年目くらいかな… ほんとに毎年よく咲いてくれる。 |
数日前の小田嶋さんのツイート。
病院の大部屋では、カーテンを隔てた隣のベッドの患者と、見舞客の会話がすべて聞こえてくる。— 小田嶋隆 (@tako_ashi) August 17, 2019
余儀なく気付かされるのは、対等な関係の夫婦がほとんど存在しないことだ。必ずや、どちらかが威張り散らして、もう一方が屈従している。他人事ながら、よくあんな相手と…と思わずにおれない。
このネタでいつかブログを書こうと思っていたので、小田嶋さんの言葉が響いた。ちょうどいい機会だから書いておこう。
病気になって、結婚してなかったり子ども産んでなかったりすると「一人じゃ大変だ。やっぱり家族を持っておけばよかったのに。そうすれば寂しくなかった」とさぞ後悔することだろうと想像していた。人はそう言うし、自分でもきっとそうなることだろうと思ってた。まるで病気に対する覚悟がなってなかった、と。自分の人生は「自分は健康だ」という前提にあったのだ、と。だから一人でいることを選んできたのだ、と。
が、実際はそんなことはありません。一人の皆さん、安心してください。それウソですから、と私は今回病気になって確信したのだった。
今回初めて入院というものを体験し、4人の大部屋にいた時、他のベットに訪ねてくる家族の会話を聞くのが好きだった… というか、いやおうなしに人の会話が聞こえてくるので、よく聞いていた。自分の知らない世界が展開されていて、正直、めっちゃ面白かった。そうか、世の中の大多数の人はこんなことを考えながら生活しているんだな、と。これじゃウチみたいな音楽が売れる可能性は少ないわな、と(笑)
ほんと夫婦だけじゃない。子どもたちとの関係だってそうだ。孫だってそうかもしれない。だいたいの関係はパワハラやモラハラや、とにかくバランスが悪い。そもそも80歳すぎて大手術してまでしなくちゃいけないのは、家族がいるからだ。自分一人なら、治療を受ける・受けないですら自由である。自分で決めればいい。ところが家族がいるとそうはいかない。「おばあちゃん、頑張って」と言われれば、きつい治療にも耐えないといけない。家族というものの存在は、そんな風に容赦なく自分にぶつかってくる。
私も死ぬことにまったく抵抗はないのだが、唯一両親より前に死ぬわけにはいかない、と、思っている。この私ですら思っている。
まったく自分の命すら自由にならない。自分のことでいっぱいいっぱいなのに「あーでもない、こーでもない」あれこれ余計なことを、素人である家族の連中から言いたいように言われる。こちとら外科医というプロフェッショナルと一緒に数値をみながら検討しているというのに、数値すら見てない経験のない連中がいったい何を言えるのか…
それは私がまだ健康だったころ、たま〜に経理のことで実家に行くと、あまりにも家族の連中が自分の頭に浮かんだことをそのまま言葉にしていることにびっくりしたものだった。彼らはそんなところから何も進展がない。家族というだけで、一緒に住んでいるというだけで、人はどうしてこんなに攻撃的にバランスの悪い人間関係を構築できるのか。家族内部と自分の身のまわりにしか興味のない人たち。家族の中で起こった小さな出来事をなんどもなんども反芻し、思い出しては言いたいことを言っている。仕事をしてる人なら、せいぜいそこに職場のネタが入ってくる事もあるのだが… わたしだったら、絶対に耐えられない。
断言しておこう。例えば45歳くらいまで一人でいた人は、もう絶対に死ぬまで一人がいい。例えば病気になったとしても、プロフェッショナルと一緒に自分の治療を考えていく。これが一人でいるのが好きな人にとってはベストな状況なのだ。ただでさえ体調悪いってのに、人の言うことなんか聞いていられない。あんな風にあれこれ介入されるのであるのならば、寂しい方がなんぼか楽か… それに人の人生になんか、こっちは介入したくない。面倒くさいし、自分にメリットないし、そもそも人の人生なんて興味すらないわ…と思う。冷たいかなぁ、私。
いや、そりゃー 素敵な人間関係を家族内で構築している人たちもいる。その人たちは素晴らしいと思う。でも私にとっては、それは難しいだろう。誰かが近くにいれば自然とわがままになってしまい、バランスの悪い性格になってしまう。そんな自分が嫌になり自己嫌悪に陥る。悪いことの連続だ。
そりゃー、体がだるいときに自分の代わりにお茶をいれてくれたりお皿を洗ってくれる人がいれば、それは嬉しいし、非常に助かる。が、そのことだけのためにこの自由を失うわけにはいかないのだ。だいたい口をきくのだって疲れるみたいな状況下なのだ、こっちは。それを察してほおっておいてほしい。プロと話し合ってなんでも自分ですべて決める。これができることの、なんという幸福さよ!! もちろん体が弱って自分で決断できなくなることもあるだろう。でもそれこそが私にとっては人生の終わりの始まりになるのだ。そのくらい重要なのだ。
もちろん金銭的に自立している必要がある。手伝ってくれる友達の存在も必要だ。その友達でさえうっとおしく思えることだってある。距離感を取るのが絶妙にうまい人もいるが、うまくない人の方が世の中には多い。(これについてもいつか書きたい)
病気になってわかった。もう自分は我慢はしない、と。我慢してまで付き合う人など必要ないのだ。そもそも我慢なんかしてる時間がもったいないのだ。これまた病気になってわかったのは、会いたい人と会いたくない人が自分の中で明確に分かれる。とにかくそれがわかっただけでも病気になってよかったと思える。
こういう状況下で絶妙なバランスで見守り、助けてくれる友人たちには感謝してもしきれない。私は本当に恵まれていると思う。
いろいろ書いたけど、私が言いたいのは、今シングルでいるからと言って老後が心配とか、だから誰かと一緒になるとか考える必要ないですよ、と言うこと。そんな風に、あなたが決めてやっていることはいつもあなたにぴったりだし、いつも正しい。
PS
週末放送になるアイルランド関係のTVをご紹介。スターウォーズのロケ地になったアイルランドの孤島。
おっ、これ直子さんがコーディネイトしてたやつ? 次回予告|TBSテレビ:世界遺産 https://t.co/CX8E65gFWJ— 野崎洋子 (@mplantyoko) August 18, 2019
直子さんがコーディネイトしてた、これかしら? いずれにしても放送が楽しみ。
スケリッグ・マイケル上陸撮影 初日! https://t.co/JSID3XDPCk— 野崎洋子 (@mplantyoko) August 18, 2019