フランキーありがとう。クリムゾンのイラストレーター、フランチェスカ・サンドステン R.I.P.




8月の頭に発表になってたようですね。すみません、こちらでのご紹介が遅れました。

本当に信じられないことですが、現在キング・クリムゾンのドラマーとして活躍中のビル・リーフリンの奥様でイラストレーターのフランチェスカ・サンドステン(私たちはフランキーって呼んでました)が亡くなりました。

実はビルから聞いて、だいぶ前にこのニュースは知ってました。wikiとかだと8月に亡くななっていることになっているけど、実際に亡くなったのはもっとうんと前です。私は亡くなった2ケ月後くらいにビルからのメールでその悲しいニュースを知ることになりました。(今回発表になったのは、どうやらフランキーのトリビュート展示会がシアトルであるようなので、その告知も兼ねているのだと思います。Wikiにもフランキーは8月に亡くなった、と書いてありますが、それは間違いです。あぁ、事前にこの展示会のこと分かってれば花でも送ったのにな…すでに遅し)

フランキーに会ったのは2006年のロビン・ヒッチコックのツアーの時でした。バックバンドにスコット・マッコイ、ピーター・バック、ビル・リーフリンというR.E.M.の3/5という前年に武道館を埋めた、ものすごいメンバーで来日し、しかしながらウチの公演には武道館のように人は入らず(笑)、本当にあのツアーは大変でしたが、思い出深いものになりました。メンバー全員、ロックスターの典型なんですけどパートナー同伴で来日し、ビルとフランキーって、その中でももっとも素敵なカップルで私は大好きでした。(しかしこのタイプのミュージシャンはこういった妻を選ぶ…みたいな典型的な夫婦が合計6組揃っていたので、見ていてちょっと笑えました)

フランキーは他のガールフレンドたちと違って自分もちゃんと立派な職業を持っているからだと思うのだけど、楽屋にいるミュージシャンの面倒な家族という感じはまったくせず(よく私は言うんです。ミュージシャンは選べるけど、その家族や友人は選べないって…  コンサート会場は私たちの職場だということがわかってない家族・恋人・友人が多すぎ!)。私をはじめとするスタッフの仕事にも気を使ってくれて、すっごくいい人で、インテリだった。「ロックはうるさいから嫌いなの」とか言って、公演を観ないで(笑)1人で静かに楽屋で本を読んでた。

その後、しばらくしてビルがクリムゾンに加入して、あの一つ目のイラストをフランキーが描いた時、さすがフリップ翁、わかっとるなぁ!と感心したものでした。フランキーが描く、あの不安な感じをかりたてる不思議で幻想的な絵は、本当にクリムゾンの音楽にぴったりとフィットしています。

フランキーは悪性リンパ腫というか、血液のガンだったそうです。病気が発見された時は、もう手の施しようがなかったようで、病気が発見されてから半年くらいで亡くなったらしい。それを告げてきたビルからのメールにはショックで言葉もありませんでした。あの明るくて元気なフランキーが亡くなるなんて…

でもしばらくその事実は伏せられていたようなので「あぁ、しばらくは隠しておくのかなぁ」と思って私も何も言わなかったんだけど、今日ググってみたら、この記事が出てきて、あぁ、情報を公表したんだなとさっき知りました。だから今日このブログを書いています。クリムゾンのニュースまで普段追いかけてないんで… なので、ここでの紹介が遅れました。すみません。

それにしても…  なんでいい人ばかりが先に逝くんだろう。フランキー、ありがとう。彼女との会話、最後の会話は今でも覚えている。電話での会話だった… 日本公演を終えたあとオーストラリア公演をこなし、アメリカにまた日本経由で戻る彼らと成田空港のホテルで合流した時のことだった。奥様たちが同行したのは東京だけだったので、フランキーはもうすでにシアトルの自宅にいたんだ…確か。で、ビルが自宅に連絡をしていて、フランキーと話したい! 私にちょっと変わって〜!なんて言ったんだと思う。最後に「また会えるわよね」と私が言うと「Do not worry Yoko,  I will knock your door!(大丈夫、ヨーコ。突然訪ねていくわよ!」)ってフランキーが言って2人で電話口でガハガハ笑った。あれが最後の会話になった。なぜかその時のフランキーの声の調子はよく覚えている。

みんなで鎌倉に行ったっけ



鎌倉にて ビルとフランキー  フランキー楽しかったよ。ありがとう。


ビルがドラムを叩いているロビンのCD、基本的に廃盤状態ですが、うちに多少在庫あります。詳細はここ。

ロビンからコメントがついた…さすが言葉が違う。Great surrealist,  She made real life look impossibleだって。本当にそうだ。ほんのちょっとだったけどフランキーみたいに素敵な人に出会えた私は幸せです。