ゴサード姉妹との仕事から学んだ大事なこと

やばい、泣けてくる。何度も見ちゃう! ほんの数週間前のことなのに、まるで何年も前のことみたい…



しかしオレもこうしてみるとすっかり痩せちゃったなー 早く体重が戻るといいんだけど。(元に戻るには医者によるとあと1年くらいかかるらしい)

さっそくだけどゴサード姉妹から学んだことをいくつか。将来の自分が迷った時のためにここにメモっておく。

まずは、エンタテイメントの仕事の極意(笑)。もう基本中の基本なんだけど、この仕事は人を幸せにする仕事だということ。それを忘れてはいけない。エンタテイメント・ビジネスにおいて、そこが肝だということ。会場にいるお客様、1人もこぼしてはいけない。すべてのお客様が「一体感」を持てるよう努力すること。

そしてそれはお客さんばかりではなく、スタッフや周りの人たちをも幸せに。

ちょうど旅の途中で読んだ「成田離婚の理由」というネット記事に書いてあったのだが、夫から妻に対する成田離婚の理由1位に「文句ばかり言っている」というのがあった。私はそれで、「あっ」と気づいた。彼女たちはツアー中、文句やネガティブなことは絶対に言わない。なんというか「暑い」「寒い」「疲れた」などなど、そういうことは一切言わない。いや、もちろん言うべきことははっきり言う。でも意味もなく文句を言ったりとか、どこかの政治家みたいにそれを言えば自分の気分がいいからという理由で何かネガティブなことを言ったりすることは絶対にない。これって、一緒にツアーする上で、すごく大事なことなんだよね。

そうやって真ん中があったまると、周りの人もどんどん幸せになっていく。そんな不思議なマジックが彼女たちにはあった。彼女たちのプロフェッショナリズムと比べたら、ほんとうに多くのアーティストが自分の好きなことをただやっているだけじゃないか、と思った。

また改めて今回、民音さんという大きな会社との仕事に本当に感謝したい。本当に神様って公平なんだけど、自分の事業をやる時は、例えば赤字になること覚悟でやるわけですよ。でも人の仕事を手伝うとギャラがもらえる。そして私の立場で、大事なのは、その両方を両立させるということだと改めて思った。人の仕事だけやってたら、それはもうプロデューサーではなくなる。また面白い仕事も来なくなる。また反対に個人の事業だけやっているとマイナーでニッチなものをやってるただの変人としか見られない。今回のツアーは1,000人から2,500人級の大ホールでのツアーだった。こんなに多くの人にジグだのリールだの聞かせることができたなんて、その意義といったら測りしれない。すごいことだと思う。

そしてビジネスの流れでは物事の経緯が大事だということ。今回、私が持ち込んだ企画だったというのよかった。(というか、たとえクライアント仕事でもそういう仕事の仕方をしないとダメなんだなと改めて思った)正直、体調もベストではない中、民音やステージのスタッフの皆さんのフォローがなければ私はツアーに5週間も出ることなど無理だったと思う。本当に皆さんにはお世話になったけれど、私が単なるツアー・アテンドだったら、すぐ代わりの人に変わっていたのも事実だ。もちろん私も自分が倒れた時のために責任感のあるベストな自分のスタッフにもスタンバってもらってはいたのだが、結局彼女に出動してもらう必要もなく無事にツアーは終わった。つまり物事の経緯とか、流れとかって、本当に大事なんだよな、と改めて思った。そしてやっぱり代わりのきかない自分でいないとダメなんだよな、とも思った。そう、人と同じことしてたらダメなんだ、と。

他にもゴサード姉妹とのツアーから学んだことはたくさんある。バレット・ジャーナルのことや、アメリカ人のあらゆること…例えばミリタリータイムを嫌うこと、気温はファーレンハイト、スパゲッティの特殊な食べ方、ジョークのセンス、コンマリ好き、食に対する保守的な考え方、すべての物事の考え方などなど。とにかくたくさん学んだ。そして改めて思った。違う国の人と仕事をするのは楽しい!!と。

そして、ここからが重要なんだけど、音楽の仕事とエンタテイメントの仕事はまったく違う、ということ。それは私もわかっている。でも自分は音楽の仕事はもう十分してきた。メアリー・ブラック、ポール・ブレイディ、ヴェーセンやルナサやフルックやマーティン・ヘイズ…その他多くのバンドやアーティストが私の音楽のセンスが良いことは、もう十分証明してくれたではないか。もうそれは十分にやった。おそらく彼らよりすごい音楽家はもうわたしの目の前にはあらわれないだろう。

今後は「エンタテイメント」と「音楽」の振り分けをよりクリアに、そして真ん中の、どっちつかずのものはもうやらない。この方針を明確にしていこう。そう、実感したのが、今回のツアーだった。多くのアーティスト、プロデューサーが、この加減を間違えて失敗していると、わたしは思う。(偉そうだけど、ほんとだよ)

それにしても今回のツアーからはたくさん、たくさん学んだ。それもこれも中心となるアーティストが素晴らしいから。だからなのだ。他のバンドでは、絶対にこうは行かない。

しっかり者でかっこいいグレタ、頑張り屋で頭のいいウィロー、天使のような本当にピュアでいつも真剣なソラナ、そして一番天然だった自然体のママ、素晴らしい時間をありがとう! あなたたちは本当にプロ中のプロ。ウチの他のどのバンドも、この仕事はできなかったよ。そしてウチにいるどのアーティストよりもあなたたちは成功すると思う。がんばれよー 応援してる。そしてまた日本にきてね。

くどいようだけど、自分が民音さんのチラシに書いたこの文章、気に入っている。(ちょっと硬いけどね)ケルト音楽って、こういうことだったんだ、と。彼女たちのやっていることは、本当に素晴らしい。これからもずっと応援していく。本当にいい子たちだった。お客さんを幸せに。周りの人を幸せに。そのためにわたしたちはこの仕事をしているんだよ、と。グレタが満員のお客さんが一緒に歌ったり手拍子したりしてくれるとき、わたしたちはなんでこの仕事をしてるのか思い出した、と言っていた。ゴサード姉妹、この5週間のツアーはまだまだ若いあなたたちのキャリアにおいても、とても重要なものだったと思う。これからも一緒に頑張ろうね。