勇気ある頭のいい女性だと思った。やっと読んだよ、伊藤詩織さんの『Black Box』。買うのはずいぶん前に買ってたんだ。ほぼ発売と同時くらい。でも読めてなかった。ずっと積読本の山に埋まっていた。
正直読むのが怖かった。彼女が会見などで話していること以上のことは、もうレイプの詳細など知りたくもなかったし、相手は最低で気持ち悪いし、わざわさ本を読んでまで…と思ったけど、彼女を応援したくて(当時はまだ応援サイトもなかった)、この本を買えば印税が彼女に入るのだろうしと思い購入したのだ。
でもさすがに先日の勝訴のニュースを受けて、Twitterなどで応援したり、あれこれ自分もブログに書いたりすると人に応援を薦めるにあたって「まだ自分は読んでません」はありえないだろうと思い、さっそく読み始めた。読み始めたら、あっという間に読み終わってしまった。
感想はというと、すごい本だった。これが彼女の伝えたいことなんだ、と。それがよく分かる本だった。本人が書いているのだから当然なんだけど、いろんなことが直球で飛んできて…いやはや勇気をもらったというとなんだけど、本当にすごいなと思った。
アルバイトをしながらジャーナリストを目指し、親の援助もまともに受けずに頑張って勉強を続ける若い女性に、就職の話をちらつかせ、このやり方は間違いなく絶対にパワハラだ。こんなことが許されていいはずがないが、こういうオヤジは残念ながら音楽業界にもいっぱいいる。力をちらつかせる。それによって若者たちが自分を見る目がキラキラ輝く。それを嬉しいと思う最低オヤジたち。まったく、最低だな、…たく…
詩織さん、テレビやメディアでみる彼女は気丈に凛々しく振る舞っているが、実際はストレスで身体を壊したり、倒れてしまって病院に運ばれたり、髪の毛が抜けてしまって仕方がないからバッサリと短くしたり、実家などに被害がおよぶことを恐れて友達の家に居候したり、本当に大変だったようだ。事件後すぐに警察にいけなかったことや友達に話せるようになるまでの時間の流れなど、細かいことも本当に手にとるようにこの本からわかったので、読んで本当に良かったと思う。事件の報道だけを見て、わかった気になっている人には、ぜひ読んでおいた方がいい。特に彼女が伝えたいこと(これからの未来のために)ということを強く感じ取ってほしい。彼女がなぜこの本を書いたのかぜひ知って欲しい。
この本は、例の週刊新潮のすっぱぬきの時点で終わっているのだが(新潮の記者さん、かっこよすぎる!)、彼女が次のステップに進むために、実際自分であれこれ調べて始めたら、詩織さんと山口を乗せたタクシー運転手の「駅でおろしてくれ、と彼女は何度も言っていた」という証言が調書におとされていないとか、また彼に対する警察の捜査も全然十分に行われていない…ということなどが分かり本当に絶句だ。そんなふうになってしまったら、いったい何を信じたらいいんだろう。そういや先日の判決の際もホテルのドアマンの人だかが「うわーんと子供のような泣き声(あぁ、もう辛すぎるよ)」等々の証言を申し出たのに、実際にそれが裁判にたどりつくまで時間がかかったというようなことを話していたようだが、これは絶対に何かが間違っているとしか言いようがない。彼女が奴に連れられて行ったという恵比寿の寿司屋もいったい何を証言したんだ。いったいみんな、何をやってるんだ…何かがおかしいとしか言いようがない。
でも!! そんな理不尽な中でも、詩織さんは素晴らしかった。大丈夫だった。彼女の魂は気高く、事件前も後も何にも変わってはいない。彼女は傷ついた自分のことより、この日本の現状を多くの人に伝えなければという使命にあふれている。彼女のそういう生き方は事件後も事件前と同様まったく変わらない。
これからも頑張ってジャーナリストとしていろんなことを私たちに教えてほしいと思う。彼女ならきっとそれができる。っていうか、そうしないと、彼女自身もお腹に力が入らないというか、力がでないんだろうなと思う。そう思って、強く存在していないと、もう自分でヘナヘナってなっちゃうんだっていうことなんだろうって想像するよ。そのくらいこの事件は彼女を傷つけた。
でも興味深いことに人間って自分のためだと思うと全然力がでないんだけど、妹のため、友達のため、人のため、社会のためと思うとものすごいパワーが出てくるのだ。それは私たちに神様が与えた猿から人間にいたる進化を可能したすごい力なのだ。彼女は本人がのぞまなかったのに、その使命を負ってしまった。これを私たちが応援しないでどうする? 彼女はその使命をまっとうできる人なんだよ、きっと。でも彼女もギリギリのところで立っている。だから私たちはみんな彼女を応援しないといけない。
私が私であるために…ってなんかの歌の歌詞だっけ? グレタさんも、環境問題で声をあげるまではアスペルガーとうつの症状でご飯も食べれなかったのだという。それが今はヘイトに連中にやられながらも、それに負けじと使命感に燃えている。こんなふうに幸せそうに活動できるようになって良かったとお父様は嬉しそうに語る。もうそれにつきる。彼女が彼女らしく生きる。そのことの重要さよ。わかる。
BBCニュース - 話さず食べられなかった娘、今は幸せ グレタ・トゥーンベリさんの父 https://t.co/0RUrnsxnaX— 野崎洋子 (@mplantyoko) December 31, 2019
詩織さんもそう。自分が自分らしくあれて初めて人は幸せになり、生き生きと輝き周りの人に勇気を与えることができるんだ。生きることの大変さ。自分で決めて進めていくことの重大さ。そして友達を持つことの素晴らしさ。そこだよね。
いや〜、詩織さんの勇気ある行動にあらためて敬意を表する。89年生まれだったっけ… すごいなぁ、日本の若い女性は強くて、綺麗で、本当に素晴らしい。
そうそう、私も好きな作家である清水潔さんが登場し、実際に大活躍。そしてクラカワーの名前も登場したところなど親近感を持った。それと、やっぱり運動は体力だけじゃなくて、気持ちも強くするね。彼女もランニングをはじめたそうで、それが良かったと書いている。うん、そこも親近感。私も早く走りたいよ。
とか、書いてたら、今日は日本の司法に喧嘩を売ったようなこんなニュースが。
やるなぁ。【声明全文】ゴーン被告「私はレバノンにいる」渡航禁止も出国 | NHKニュース https://t.co/jos6f5X8MH— 野崎洋子 (@mplantyoko) December 31, 2019
不謹慎な言い方かもだけど、ちょっと痛快?と思ってしまった。日産のことはよく知らないけど、あの尋常じゃない勾留期間の長さとか家族にあわせないとか、やはりちょっと問題だと思うんだけど、どうなのかな。いずれにしても、ちょっと気持ちよく思っている自分がいる。
PS
先日の能町さんの本に影響されてブランドは全然違うけど赤羽で1,750円のふわふわパジャマを購入。こんなパジャマ着て、家で寝るなんて久しぶり。(今まではぼろくなったTシャツを着て寝ていた)少しは誰かと生活しようモードに入るかしら。青を買おうとして、違うなと思いピンク色を買った。
PPS
次回イベント用にこんなの作った。貼りパネにはって看板にしようっと。
最後に、2019年は大変お世話になりました。皆様よいお年をお迎えください。