音楽の力:慈愛に満ちた歌声 リサ・ハニガン

リサ・ハニガンが、ダブリンのナショナル・ギャラリーからチャリティコンサート中継。前からリサって、聴く者すべてに「あぁ、リサがわたしのために歌ってくれてる」って勘違いさせてくれるアーティストだったけど、この厳しい状況下というか、こういうシュチュエーションに本当に向いているよね。歌い終わったあとお客の拍手も何もない状況下、所在なさげにしてる感じとかも含めて、すべてが素敵。(動画を貼りたかったのだけど、もう落とされちゃったみたい。そのうちまたどっかで見つけたら、動画をはります。すごくよかった)

PS
こちらで発見。教えてくださった方、ありがとうございます〜

それにしても最近のリサは何かたたずまいからなにからすべてが他のアーティストと違う。神々しいくらいだ。歌もギターもだいぶ安定してきて、最近の彼女には自信みたいなものが感じされるよね。それにしてもこれが山口洋が言うところの「総合人間力」ってことか。

彼女は最初ダミアン・ライスの女ってことで出てきたから私はそういうところがあまり好きになれず斜めに見てたんだけど、最近だんだんリサの良さがわかってきた。この味は誰にも出せないわ。泣けるわ、なんか泣けるわ。音楽が始まるのは4分すぎくらいから。最後の「Prayer for the dying」に号泣。いいわぁ〜。

リサのことを知らない人もいるかもなので、簡単に紹介しておくと、ダブリンの金持ちエリアの超お嬢プロフィール(by リサのプロフィールを見たアイルランド大使館の文化担当者)の持ち主で、ダミアン・ライスという情けない男=しかし天才的なシンガー・ソングライターと出会い、恋に落ち、ダミアンに誘われてステージにたつようになる。いわゆるワーキングクラスの野生児がお嬢さんとくっつくロック界によくあるパターン(ポール・マッカートニーとジェーン・アッシャー、グレン・ティルブルックとマキシン・バーカーみたいな)。最初リサは本人もインタビューで答えているけど何をやるにしても自信がなく頼りない感じだった。声がちっちゃくて、マイクがないと歌えなかった。例えば、この頃とかめっちゃ頼りない感じだよね。いかにもミュージシャンの女って感じで。かつ床にぺったり座っちゃって、不思議ちゃん的感じか?



でも、この曲なんか明らかにリサの方が存在感あるんだわな…


いずれにしてもリサがだんだん注目されてきてダミアンはそれが気にくわなかったのかもしれない。ヨーロッパ・ツアー中に突然リサをクビにしてコンビは解消。当然男女関係も解消で(というか、その前にもくっついたり離れたりしてたらしい)、ぐちゃぐちゃドロドロあって、あとからダミアンは「リサ、戻ってきておくれよー」的なインタビューを長々雑誌に載せたりしてみっともない感じだったんだけど、リサはしっかりと自分の足で自分の音楽を表現しはじめたのさ。

ファーストアルバムはアイルランドで大ヒット! 



そしてセカンドの「パッセンジャー」





このアルバムが出た時は日本にも来日したんだよね。ジョー・ヘンリーと一緒に。で、私もバックにウチのジョン・スミスが参加してたからツアーに同行したので、リサとも直接接触する機会があった。で、私はもうリサの大ファンになっちゃった。前からいろいろ聞いてたけど、本当にすっごくいい子。お育ちの良さと優しさと強さを兼ね備えた、素晴らしい人だったわ…この子、好きにならない人はきっといないわ、と私は思ったのだった。

そういやこの曲(↑)、SoftbankのTVCFにもなったっていうのに日本プレス盤も出なかったし、ヒットもしなかったわ。ほんと残念。

お寿司❤️  きゃーーー 嬉しそう!


ピーターさんのラジオ。ジョーとピーターさん、番組終了後も音楽談義にハモってたなぁ。もう二人でレコード屋にでも行ってらっしゃい(爆)


これとか泣ける。



そして今のところスタジオ盤の最新アルバム「At Swim」





最近はオーケストラとの共演でライブ盤を出しました。




リサのCD、輸入盤とかストリーミングでゲットできるから、ぜひ。どれも傑作で素晴らしいです。特に最新アルバムの「At Swim」なんか円熟味が感じられて本当に素晴らしい。

素敵な音楽の時間をありがとう、リサ。また彼女が元気に日本に来てくれる日を願って。



ところで冒頭の美術館での公演と、ダミアン・ライスとのライブはアイルランドのOTHER VOICESという名門音楽番組提供のもの。まだ番組が始まったころの初期の録音を集めたコンピレーションアルバム2枚、ウチのCDショップで販売しています。リサとダミアンはVol.2の方に収録しています。