『夜ふけに読みたい 数奇なアイルランドのおとぎ話』を読みました






いや〜、久しぶりに読むのが大変な本だった。本当に私って頭が固いっていうか、ファンタジーが苦手。難解だというわけではない。でも何度も挫折し、読みながらも、もう雰囲気つかんだし、ここでやめてもいいか…とか、もうこの本はアイルランド音楽好きな後輩にあげちゃおうかとか、あれこれ考えた。お風呂に持っていくにも、布団に持っていくにも、どうも心がのらず、ついつい週刊文春の方を持っていってしまう。そんな本だった。

そして、馬鹿な私は、いちいち現実的に捉え「なんでそうなるんかい?」「えっっ、死ぬんかい?」「んなわけないだろ!?」みたいなツッコミをいれたくなる。同様の理由で『指輪物語』も『カレワラ』も苦手なのだから困ったもんだ。『指輪物語』などは読み始めてすらもいない(つまり食わず嫌い)。なんというか、文字で頭の中で組み立てていくも、お話が自分の中でたちあがってこない。でも『カレワラ』は、それでも最後にフィンランドが出来上がるという爽快感がたまらないので嫌いではない…

…とかなんとか。

つまりファンタジーは苦手なんである。職業柄、非常に問題なので困ったもんだ。こういう世界に浸れなければアイルランド好きとしては片手落ちではないだろうか。だめな、わたし。実は同じ理由で村上春樹も苦手。村上春樹は文章はもちろん抜群にうまいし、彼が書くエッセイは大好きなんだけど、どうもだめ。なんで登場人物はセックスと死についてばかり考えているのか、どうして突然死ぬのか、どうしてあかの他人がお母さんになっちゃうのか等々、突飛な話が苦手なのである。

私はアイルランド人が大好きだ。でもそれは彼らがいつも前向きで努力家で負けない精神の持ち主で正義感が強く優しいからだ。でもそういった彼らのバックボーンとして、この本に書かれていることはすべて「あり」なので、やはり読んでおくにこしたことはない。そもそも「ケルト」ということを理解するには、こういうことをしっかり頭にいれておかねば、とも思う。彼らの死生観とか、リインカネーションみたいな考え方とか、そもそも伝統音楽を理解する上でもとても重要なのだ。そして、こういうのを読みつつ想像力がどんどん膨らんでこういう世界が大好きな人もいる。

が、私が考えたのは上に書いたことようなことで、かつこれをなんかコンサートとかプロジェクトのコンセプトに活かせないかなぁ、という超現実的なことなのであった。常に現実的でちっちゃい私(笑) だから普段は自分の生活や考え方に示唆を明確に与えてくれるノンフィクション以外はあまり読まない。

話がそれた。

ま、でもこの本、面白いのは確かだ。そして興味深いのは全世界的にこういう話は似ているよね、ということだ。海とか水にたいする思いとか、永遠の命の島とか、浦島伝説とか、人魚とか。日本にもあるよ、こういうお話。

それに実際、最後のお話しはかなり楽しんで読めた。いずれにしてもいろいろ後ろ向きなことを書いてしまったが、後ろ向きになるのは私の性格の問題で、こういう世界が大好きな人は、おそらく超ハマる本であることは間違いない。

というのも上に少し写真を載せたが、この本、すごく装丁が綺麗なのだ。愛情を持って作られていることが非常によくわかる。なんとさらに初回特典として資料的なことをフォローした特設URLへのバーコードもついており、そこにいくといろんな資料やアイルランド語の読み方、ケルトの季節の解釈の仕方など、あれやこれやが掲載されている。充実の内容だ。ちょっと値段が高いが、これだけぎっしりいろんなことが詰まっているのならば購入して損はない。

いずれにしてもアイルランド・ファンを名乗るなら、押さえておかねばならない一冊だろう。

それにしてもくどいようだがファンタジー系、苦手。実はこの本の姉妹本で「英国編」も買っちゃったのが、ちょっと読むに気が重い。でもこっちは「子供でも読める!」とか書いてあるからもっとイージーな本かもしれない。そちらも読み終わったら、ここに感想書きます〜

今日もはりきってまいりましょう!