内田樹『そのうちなんとかなるだろう』を読みました



今となってはなんでこの本を購入したのか記憶にないのだが、誰かが推薦していたのかもしれない。内田樹さん、よくブログをネット上で拝見しているが、ちゃんと本を買ったのは初めて。なんでも初の自叙伝だそうで。

なぜこの本を購入したかはもう不明だが、とにかく積読山から救出。確か離婚の際のお嬢さんの「お父さんの方についていけば、お母さんには会えさせてもらえるから」みたいな言葉をどっかで読んで感心して読んでみたいと思ったのだと想像する。(逆にお母さんについていくとお父さんにあわせてもらえなくなるだろう、と心配したという。なんて頭の良いお嬢さん)

さて、これは内田さんのロングインタビューをもとにした本。確かに内田さんの人生、登校拒否やら高校中退、そこから家出や大学院三浪、教員公募にトライして32大学に不合格、結局離婚を言い渡されお嬢さんとの父子家庭12年…等々、かなり波乱万丈な感じだ。

まぁ、でも帯キャッチにあるようなチャラチャラ生きてきた印象はない。ライトな文体で書かれているからポップな感じで進み、読みやすいということもあって、ヘヴィでは全然ないのだが、実際はその時その時ですごく悩んだのに違いないと思ってしまうわたしは勘ぐりすぎか? そして結局行き着くところは同じ…という見解には、妙に納得した。

でも…こういう語り口ってどうなんだろう。確かに謙虚であることは重要だけど、私はたぶん努力しなかったら、今の自分はないよなと思っている方なので、100%著者には同意しないが、「行き着くところは同じ」という、言いたいことはなんとなくわかる気がする。というか、ちゃらちゃらしているようで、なんだかんだいって著者はしっかりやるべきことをやっているのだと思うよ。それに尽きる。

だいたいまず内田さんほどWebにしっかり自分の作品(文章)をまとめている人はなかなかいない。こんなに自分の文章をきちんとアーカイブ化し、かつ無料で公開している人はあまりいないのだ。やっぱり成功している人は、ちゃんとしている。ご本人も言っているが、そこから膨らませて、編集者は本にしてみたい、ということができるのだ。「あれやりたい、これやりたい」と言い散らすばかりで、自分が何ものかきちんとプレゼンできてないライターにオファーなんて来やしない。ここまで整理されていれば、どんな編集者でも何が売れるか閃くだろう。今や誰もがリスクを取らずに安全ロードを行きたがる時代、結果をある程度見せないと、誰も安心して拾ってくれやしないのだ。

というか、やはり教員だったということが多いのかな。収入や生活、社会的地位のベースがしっかりあるから、それが可能なのかも? そこからまったくのフリーランスの人たちと違って、飄々としながらも、こんな風にGive Give Giveでやってこれた秘訣かもしれない。そして、今の時代、Give Give Giveの人は成功する。それは成功している人を見ていれば分かる。

まさに「そのうちなんとかなるだろう」なのかもしれないが、いやいややるべきことをきちんとされているからこその今の成功なんじゃないかと思います。これからもするどいコメントやエッセイを期待しています。