岡本かの子の世界にひたる


岡本かの子って、太郎の変なお母ちゃんという認識しかなかったけど、素晴らしい!

岡本かの子って、どんな人なんだろうとずっと思ってた。斎藤なずなさんの漫画『千年の夢』でしか知らなかったから、いったいどんなエキセントリックな女性なんだろうと、あれこれ想像を巡らす。夫以外の男性とも夫公認で付き合い、自分大好きで、あまり美人ではなかったのに自分は美しいと信じ切っていた。そして異様に男性にモテたらしい。亡くなった時も若い男とのデート中だったらしい…等々。

ところが最近のコロナ禍でfbでブックレビューが流行りだし、友人の音楽ライターさんが彼女の短編集を推薦してらしたのを見て興味を持ち、さっそく青空文庫(アマゾン0円)でゲット。

最近はkindleは、音声で読ませるようにしているので、土手を読みながら歩いた。とはいえ、やっぱり機械だと読み方があまい。「なんとかして行った」なんていうのを「なんとかして<おこな>った」とか読んじゃうし、人の名前はもちろん読み仮名とか全部無視で、時々本の画面を確認するハメになる。それでも土手での読書はなかなか気分が良い。いいぞ、荒川土手! これだけでもiPadからiPhoneにメインのガジェットを変更した意味がある!

岡本かの子は、明治から昭和にかけて生きた女性だけど、どの作品でも当時の生活が生き生きと蘇る。短編は本当にあっという間に読めちゃうので、おすすめです。読んだ3つをまとめて紹介。

これなんか本当に当時の鮨屋の風景が浮かぶようだわ… 食が細かった子供の頃の郷愁に満ちた母の思い出と、それを思い出し鮨屋の娘に語る男性の話。

年取った女の妙な執着心を描いたこちらもすごくよかった。男のだらしなさも。

これはちょっと長めだけど、すごく面白い。お嬢様をなんとか手にいれたい主人公。お嬢様はお嬢様で彼に冷たくしながらもいろんな意味で彼をとらえて離さない。彼は行き場のない気持ちを金魚の生育に昇華させる。そして最後のオチも良い。

まぁ、どれも無料ですからぜひ。そういや入院中に芥川とか夏目とか初めて読んだけど、今いちピンとこなかったが、岡本かの子はかなり好きになった。出張時の読書用にもっとDLしておこうっと。