ポン・ジュノ監督の『パラサイト』の作品『母なる証明』を観ました。Amazon Primeにて。いやー プロジェクター買って、やっと家でちゃんと映画をみる習慣がついてきたようです。昔から落ち着きのない私は、DVDをちゃんと家で見る習慣がなかった。
でもプロジェクターを買ってから(1万ちょいだった)昼間っから部屋のカーテンを引いて真っ暗にして冷房かけて、ゆっくり映画を見ることができるようになって、本当に素敵。なんとかこれからも週に1回は習慣づけたいところ。
で、はい、この映画です。いや〜、すごいわ。これはすごい作品だわ。2009年の作品だそうです。Amazon Primeに入っているのでば、今は無料で見ることができます。
不思議な作品です。でもまた言いますが私は大ヒットした『パラサイト』よりも相当好きかも。そして『タクシー運転手』よりも。いや、順位などつけられませんが、とにかくとにかくパワフルな作品です。
親子、特に母と息子の関係って、韓国では強いらしい。日本でも子離れできない親、親のもとでぬくぬく生きて自立できない子供という構図はよくあるのですが、まさにそれ。そしてそれがついに取り返しつかない結果をもたらしてしまう。怖いです。怖いけど、妙に納得できる。
いや、なんというか、俳優陣の演技がもう素晴らしい! 母役の女優さんもすごい大女優さんだそうで…。私、韓国映画詳しくないんですが、インタビュー記事を読んだら、本当はもっと綺麗な人なのに、すごいね。この冴えない感じの中年女性である母親役を圧倒的な存在感で表現してる。いや、なんか取り憑かれてるな、これは…
息子の方もすごい。すごい汚れ役。ちょっと障害があるような子の役をこなしているのだけど、この子も韓国ではキムタクなみに人気がある俳優さんらしく、すごく上手い。まさにこういう人たちがリアルに存在しているのではないかというくらいの迫力だ。韓国のエンタメ業界は本当にすごいね。すごい才能がいっぱいある。
あとね、これ嫌味に聞こえちゃうかもだけど、予算かかってるのがわかるね。燃えさかる廃品回収の小屋とか、圧倒的にリアル。脚本もいい。長めなんだけど、本当に長さをまったく感じさせない。あれこれ話は展開し、これはサスペンスと言っていいのかな…と思わせつつ、複雑な形でエンディングへとランディングしていく。
この映画、なんと表現していいかわからないという感想を多くみかけたけど、とにかく表現するなら「パワフル」そして「人間の業をあらわしている」という二つか。人間が抱えていかなければいけないもの。単に生きているだけでも大変だけど、抱えて重くて、でも生きている間はしかし重さにたえていかねばならない、そういう「業(ごう)」。
この映画が伝えようとしているのは、それだと思う。少なくとも私はそれを監督から受け取った。