また土曜日です。こんな風に8月も終わってしまうのだろうか…
さてプランクトンさんのCDキャンペーン。100タイトル。どれを選んでいいのかまったく分からないという方、あと1枚どうやって選ぼうかと悩んでいる方、プランクトンさんの「おせっかい小姑」である野崎による推薦盤をご紹介していきます。
アヌーナ『グラウンド・オブ・イッツ・オウン』
アヌーナのメンバー、イタリア系のサラちゃんが完璧な日本語で歌う宮崎アニメの主題歌。泣ける!
この曲に関する思い出はたくさんある。
音楽を斜めにしか聞けない意地の悪い私は、ヒット曲を多発するいわゆる「宮崎アニメ」をあまり見ていない。「もののけ姫」も実はいまだに未見。「トトロ」はさすがにスヴェングの連中に促されて見たが「ハウルの動く城」も、そういや見てないわ。あ、「紅の豚」は見たな…
聞こえてくる主題歌や音楽が良いと思ったことはあまりなく、一発屋で終わる人が多いという偏見を持っていた。
でもこの歌をとある年のケルティック・クリスマスの打ち上げみたいな場所でサラちゃんが歌った時、やはりケルクリで来日していたリアム・オメンリィの奥様マリオンが、ぽろぽろ泣きながらこれを聞いていたんだよね。この曲を聞くとそのことを思い出す。
最初アヌーナが「もののけ姫」を歌うと聞いた時、「うーん、日本の市場でやっていくなら、それはアリだよな」くらいの斜めな気持ちでその話を聞いていた。
この日の、なんというか、打ち上げの場での、スタッフと関係者だけのカジュアルな場での歌である。そこでアヌーナは(いつもよくやることなのだが)カジュアルな感じで「今日お世話になった皆さんへのお礼に」とばかりに歌いだした。生で聞いたアヌーナの「もののけ姫」はかなり感動的で、彼ら、彼女らが心をこめて歌っているのがよく伝わってきた。リードを歌うサラの日本語にはなまりがほとんどなく、この映画が大好きでこの曲が大好きだという気持ちがビシビシ伝わってきたのだ。
そんなアヌーナの歌を聴きながら、周りを見渡していたら、かなり離れたところに立って、やはり歌を聞いていたリアム・オメンリィとふと目があった。そしてリアムが視線で私に「ほら、あれ、見てごらん」という風にマリオンの方を示した。私がマリオンを見ると……マリオンは…もうボッロボロに泣いていた。マリオンはツアー中、ずっとカメラを出してずっと写真を撮って楽しそうにしていたが、この時は溢れる涙をふこうともせず、ボロボロ泣きながら必死でカメラをかまえ、ビデオと取り、この歌を聞いていた。この映画は、マリオンも大好きな映画だったのだ。
それを見て、私は自分の斜めな気持ちを恥じた。アヌーナとマリオンに音楽ってどういうことなのか、教えてもらった気がしたんだ。
彼らが期待する日本でいなくちゃダメだ。例えばアイルランドに対する日本人の、言ってみれば一方的な憧れの気持ちもそうだけど、外国人はみんな勝手に遠い国に思い入れをいだく。現実はそうじゃないよ、どこの国も良さげにみえて大変なのよ、と、その国とリアルに仕事をしている自分たちが伝えていく現実も重要なのだが、一方で、そういう美しい気持ちに私たちは応えなくちゃだめだとも思う。そういう夢に応えていかないと。そして応えることでみんなで、よりよい「自分の国」を作っていくのだ。
というわけで、みなさん、プランクトンさんのCDフェア。迷ったらこの1枚がお勧めです。もう品切れになっているアイテムもあるので、みんな急げ!
ちなみに「バンドにエイド」では、私の大好きな「Pie Jesu」を収録しています。ぜひこちらもよろしくお願いいたします。それについては、本日アップのこちらのブログにも書きました。