はぁ、もう人生何度目かの高野本マイブームがまた到来してしまった。やばいよー やばいよー。
でもこれ、ありえないでしょ。モッカさんが見たというウモッカ。謎の怪魚を探してインドへと旅立つ著者。こう言っちゃんだが、そうか、探検ってこうやってやるのねと思った。まずは下調べ、そして言語を学ぶ。
が、これ、絶対に変だとしか言いようがない。大学の先生など専門家に取材に行き「そんなもんはいるわけない」と怒られながらも、高野さんったら心の中で「やった、これでウモッカを誰もみつけてないことがわかった」とほくそえむ。いや、やっぱりどっかおかしいでしょ?!
著者が極端に↑ ↑ ↑ ↑ ↑ すると、すぐそのあとに↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 奈落につきおとされる。その展開があまりにもすごくて、本当に読者をあきさせない。他の高野本同様、とにかく一気読みしてしまった。
確かに角幡さんの本も自虐ネタが多い。そして角幡さんが失敗したり困ったことに遭遇したり、カッコ悪い事態に陥るにつけ読者は↑ ↑ ↑ ↑ ↑となるのだ。なんでだろう。探検家って、かっこいいもんじゃなかったのか? いや、それは違う。よく考えたら、植村直己だって、同じようなもんだ。植村さんの失敗や、植村さんの実生活でのうだうだや、例えばデパートでスーツを買えないなどというシャイな部分、内面の葛藤に読者はひきつけられるだ。
そう、そう、そう、だからこの感じがかっこいいのだ。このカッコ悪さがかっこいいのだ。
とにかく高野さんが↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑となるたびに、読者である私は「うっっ、これはやばい展開かも…」と心の奥で心配しながらも、高野さんの文章に引っ張られ、自分も↑ ↑ ↑ ↑ ↑ してしまう。そうして一緒に奈落の底につき落とされる。ドーーーーーン(笑)
とにかく、読んでいて、もう大忙しなのだ。爆笑だなのだ。
これを故人である堀内さんという名編集者がおっしゃってらした「芝居の大きさ」というのだろうか。とにかくとにかくこの振り回される感がたまらない。
そして… ブログにも高野さんが書かれていることだし、よく知られたことだから書いてしまっても構わないと思うので書くが、実はこの探検は著者自身がインドにたどり着かず終わってしまう。いったいどう言う事態なのだ!? まったく読者は、すっかり高野さんに振り回された、というわけだ。
強制送還の様子、インドにいながらインドには入国していないというこの変な状況、巻き込まれ犬に噛まれあまりにかわいそうなキタさん(笑)、そして「取らぬウモッカの皮算用」など、もう、とにかくいちいち爆笑なのだ。あとイシカワさんの「撮影の極意」も非常に勉強になったり(笑)IUP(インド・ウモッカ・プロジェクト)のTシャツを勝手に作ったりチラシを作ったりするUMP好きのエキセントリックでチャーミングな人たち。読者は「バカだなぁ」と思いつつも、いや、うらやましくてしょうがないのだ。だからみんな探検家に憧れをいだき、探検家はかっこいい存在になっていくのかもしれない。
…と書きつつも、やっぱりこの本に出てくる高野さんのカッコ悪さは相当なもんである。しかしながら、この爽やかな読後感はなんなんだろう。人の不幸を笑う? 人のバカさを笑う? そういうことではない。なんか爽やかなのだ。読んでいて爽快なのだ。
なんといっても、さりげなく、時々挿入されるインテリジェントな煌めきもたまらない。例えば…… 通訳とか外国文化が好きだったりする人は、自分の共同体の中では異端なのだ、という記述には、私も響きまくった。異端だからこそ外国人と付き合うのだ、と。それは高野さんも同じだ、と高野さんは言う。ここには蛍光ペンで印をつけてしまいたいほどだ。
日本でヒンディー語ではなくめっちゃマイナーで他ではまったく役に立たないであろうオリヤー語を習ったりするのも笑えるのだが、言語を習うのは準備の中においても「現地に行く前の精神安定剤だと高野さんは解く。わかっているじゃないか!! 「オレ、頑張っているな」という自己満像にも安直に得られるし、確かに語学はやればやるほど上達するから、計画事態がぐいぐい進んでいるような錯覚におちいるのだ、と。自分で書いている。いや〜、鋭すぎるよ、高野さん!!! わかってる。だけどどうして…(以下、自粛)
あと「ほんとうにきついのは(頑張りたいのに)頑張れない状況」とか。この本にはさりげなく真実がたくさん隠されている。
なのに、なのに、あぁ、なぜ!!?(以下、自粛)
この本は高野ファンの中でも賛否両論だというが、私は… やばい、これめっちゃ好きも…!!!?
今までは高野さんの本では(1)早稲田三畳(2)ソマリランド(3)イスラム飲酒紀行だったのだが、これはちょっとこの高野本ベストチャートが変わってしまうかも、と思っている。いや、でもソマリランドや早稲田三畳の方が面白い…のかな。なんか自信がなくなってきた。やばい!!!? だってこの本、あまりにも…(以下、自粛)
週末に高野さんの辺境チャンネルで、この本のトークイベント on lineがあるので、本当に本当に楽しみだ。
あぁ、それにしても神様、仏様… どうか高野さんを近い将来インドに行かせてやってください。高野さんがインドに行ったことを書いた本を読みたいんです。