ドナルド・シュミット&トマス・キャリー『ロズウェルにUFOが墜落した』を読みました


ロズウェル事件はご存知の方、多いと思います。1947年ニューメキシコ州の砂漠にUFOが墜落し、宇宙人の遺体は軍に回収された…とされるロズウェル事件。この本は、そんなロズウェルの謎を解明しようとした研究本で2007年にアメリカで発表され、日本版は2010年にリリースされた、そういう代物。翻訳および解説は並木伸一郎さん。「ムー」のライターでもあり、超常現象などの専門家でもありあす。

まず冒頭の解説で並木さんが「自分はムーのライターで」と言っているところから、「なんだ、そっち方面なのね」と思いつつ読み進めていたのだけど、これ、読めば読むほど本当にUFO事件があったんだなと思わずにはいられないし、それに載っていたという宇宙人も間違いなく存在していたに違いないと思わされるから不思議だ。

なにせ何年も前の事件。まもなく自分がもうすぐ死ぬという段階にきて、次々と新しい証言をする目撃者、関係者が出現し…   いやー、なかなか面白かった。わたしは時代が時代だし、当初はおそらく核実験の何かではないかと思ったのだけど、読めば読むほど証言は厚みを増し、嘘をついているにしても、こっちの証言とあっちの証言は一致しているし、これは嘘ではないのだなという気持ちを強くしていきました。なかなかあなどれない内容です。いずれにしても間違いなく、あの日あの砂漠の上で「何が異様なことがあった」のは事実でしょうな、これは…

でも果たしてそれが地球外生物なのか考えるといろいろ思うわけだけど、バラしてしまうと、この本においても明確な結論は出ていない。UFOだったかもしれない、地球外生物だったかもしれない… とにかく否定はできない…といったところが着地点かな。

それにしても、この本、読んでて「あれにすごく近い」と思いだした本がある。それは『死に山』。とはいえ、こっちは一応しっかりした結論が出ているのだけど。そういえば装丁もちょっと似ているかも(笑)

それにしても冷戦時代の軍が絡んだ事件というのは謎につつまれていて、すごく興味深い。脅すことで目撃者の口封じを行い、人々をコントロールしてきた。そういえば『死に山』も当時のロシアの若者たちの様子がよくわかって、そっちに興味をひかれた。そういう本だった。

結局のところ、最後の並木さんの解説文が一番おもしろかったかも。UFOか何かが存在したとして、それを隠蔽しようとしたアメリカ軍の関係者たち、情報を混乱させようと陰謀は確かにあった。これは間違いない。つまり、これを読むと事実は、そして地球上に住むわたしたち人間は、謎の地球外生物よりも、ずっと怖いものだというのがわかる。それを考えるとわたしの中では「本当はこうだったんじゃないか」という考えが立ち上がってくる。ふふふ、それはここには書かないことにしておきましょう。

わたしも宇宙に何か別の生命が存在するということを考えるのは嫌いじゃない。映画『メッセージ』は大好きだったし、例えば山岸涼子先生のちょっとスピリチュアルな漫画などはとても共感してしまうのだ。

それにしても面白い本でした。紹介してくれた畔柳ユキさんに感謝。