映画『アンモナイトの目覚め』を見ました。これは圧倒的!

緊急事態宣言で来週から映画館閉まっちゃうんだろうか… と思いつつご紹介します。


なんとぺッテリのイベントの日、iPhoneを会場に忘れた私は(笑)、翌日ピックアップがてらまたもや代官山へ行き(恵比寿から歩いていった)、そのあと中目黒まで出て日比谷まで行き、日比谷でこの映画をみることができました(あくまで渋谷を通りたくない)。

まだまだ健康的には100%といえず歩いていると足が重くなってくるんだけど、気持ちのよい散歩道。そして日比谷で見たこの映画は、本当に本当に素晴らしい作品でした。シャンテシネの平日の夕方の回。混んではいません。『アンモナイトの目覚め』こちらが公式ページ。映画館で映画を見たのも久しぶりだったかも。やっぱりいいね。

この映画、正直シアーシャ・ローナン(彼女はアイリッシュなんですよ、ご存知でしたか?)目的で行ったのですが、これはもうケイト・ウインスレットの方に圧倒的に圧倒されました。いや、本当に素晴らしかった。

というか、ケイトについては『タイタニック』では興味がわかず、『スティーブ・ジョブズ』では言われるまでケイトだとは気がつかなかったし、最悪だったのは『愛を読む人』で、あれは私が原作本を愛しすぎてしまい、まったくあの作品には納得しなかった…というオチ。しかもあの映画、元々はニコール・キッドマンがキャスティングされていたというのを聞いて、本当に残念に思った。ニコール・キッドマン、大好きなのよね…。ニコール・キッドマンのハンナで見たかったんだよ。

だからこの映画ではじめてケイトすごいや、ということになったわけです。イングランドの、このドーセット州のいけてない天気の悪い海辺は暗く、いつも寒そうで、とにもかくにも寂しい感じ。そもそも画面を覆う、この渋い色味も最高。静かで音楽が少ない(でも流れるとすごく効果的)あぁ、もうこの映画のすべてがいい。

本当にケイトが素晴らしかった。脚本も気の利いた言葉があるわけでもないのに、もう彼女の演技、メアリーという役柄だけでぐいぐい押してくる。じわじわ来る。そしてシアーシャ演じる上流階級の若奥様と出会い、恋におちる、その二人の関係が丁寧に丁寧に描かれる。ほんと音楽がミニマムなのがいい。あと聞こえるのは波の音、鳥の声…

というか、この監督がいいんだな、きっと。こういう世界観のしっかりした監督、大好き。前作もこれはチェックしないと!!

そしてこの「女優対決」もいいんだよなぁ。対決っていっても別に競い合っているわけではなく、お互いがお互いを引き立てて、本当にこの映画が素晴らしい作品を作る、監督の世界観を表現することに、俳優のすべてがそそがれている。

シアーシャについては、本当に作品にハズレがないなぁ。彼女にはきっと映画の神様がついているんだわな…  彼女が作品を選ぶのが本当にうまい。今回のこの役も彼女以外は考えられなかったと思う。地味だし、普段のシアーシャの役がらとだいぶ違うから「どうしてこんなに暗いんだ」とか思っちゃうわけだけど、ちらっと微笑みを見せるあたり、少しずつ太陽が指してきた感じがして、本当にいい。

そして最後の終わり方もいいんだわー こういう終わり方大好き!! これは私はもうHappy Ever Afterだと思っている。いやーーーすごい完成度!!

映画が伝えるメッセージ(っていうのも気負いすぎかもだけど)がいいんだわ。男性でも女性でもこういうメアリーのように自分の周りの生活や自分を取り囲む世界しか見えてない人は多い。それが美しく、その中で人間は少しでも自分の尊厳をたもとうと必死で生きているわけで、それが美しいのだけど、ふとしたきっかけで、それが解き放たれる。それは大都会東京でも19世紀のイングランドのいけてない海辺の街でも一緒だ。シアーシャが運んできたちょっとした「風」が、お店を明るくし、ポップな看板をたてかけ、年取ったメアリーのお母さんの心にも少しずつ開いていく。

パンフレットを購入したけど、そこに載っていたシアーシャとのラブシーンについてケイトの言葉がいい。「女性と初めてこういったシーンを演じて、今までいかに自分が男性が舵を取り先導してくれる、わたしは女性として身をまかせるだけ…ということにしてきたかということに気づいた」と答えていたのが印象的。なるほどと思う。本来なら二人においてすべては同等=イークアルでなくてはならない。そしてシアーシャの言葉では、映画の世界がこういう女性同士の恋愛を男女の恋愛と同じように描いていくことも重要だ、と。若草物語でたくさんのキャストとわいわい映画を作っていた彼女は、次の作品で一人の演じる相手と親密に親密に関係をつきつめていくようなこの作品への参加がとても刺激になったようだ。

いや、私もこの素晴らしい監督、二人の素晴らしい女優と同時代を生きることができて、自分もたいへんな幸せものだと思う。見れて良かった。圧巻です。

 

さて、実際のメアリーとシャーロットは、どうやら普通の友人同志だったらしいのだけど、それはそれ。これはこれ。

こちらのインタビュー動画もぜひ。映画でのケイトがなんかデブっていてみっともない感じなので、この映像見て、あらっと思う。まるで是枝監督の作品に出てくる俳優さんたちみたい。みんなひどい格好でノーメイクで、ぼろぼろな感じで映画に出てくるけど、普段はさすがの職業でみんなきれいだ。プロだよねぇ!!

 

あとメアリー・アニングについては、メリル・ストリープ主演で『フランス中尉の女』という映画にもなっているそう。うーん、時間があったら、こちらも見てみたい。時間がない。