松田美緒さん「トランスワールド・ミュージック・ウェイズ」に登場!


 来たーーー!! 田中美登里さん、ディレクターのM藤ママ、ありがとうございました。すごく内容が良いので、書き起こしてみました。許可くださった美登里さん、ありがとうございます。
 

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♪ (アカペラ)La selva – Esa luz  密林、その光

 

田中美登里さん(以下T):… 優しい! いや〜もうなんかいきなり涙でそうな感じ。4年ぶりに登場の松田美緒さんです。京都からお越しやす(笑)


松田美緒さん(以下M):(笑)おおきに〜


T:いきなりおねだりしてアカペラで歌っていただきました。ありがとうございます。


M:今の曲は<密林、その光>という歌です。新しいアルバムの1曲目ですね、それをアカペラで歌いました。


T:スペイン語? 


M:スペイン語でウルグアイの人が作った曲です。


T:いや〜 素敵です。そのままずっと歌っててほしい。松田さんはこの番組には何度もご登場いただいておりますけれども、旅…そして人と出会う… 旅、人、旅、人っていう感じで、その良いところを歌に変えていく…っていうか、歌う旅人という言葉がぴったりだと思うんです。世界中あっちこっちいらっしゃってますもんね。ポルトガルとか、南米も。それから日本の歌も…


M:いっぱい発掘して日本全国歩いて…


T:国境とか言語を超えて活動されている。旅が日常の松田さん このコロナになってから全然外国にも行けてないでしょう?


M:はい、だから自分の中を旅するしかないというか…


T:かっこいい! そうか!


M:実は割と楽しくやってました。京都にずっといたのだけど、家族と過ごしたり…自転車でいろんなところに行ったりとか…


T:観光客も少ないから自転車で走りやすかったかもしれないですね。


M:趣味で筋トレしてみたり…とか(笑)。パンデミックあけたらナイス・バディになってやろうとか思って(笑)


T:(爆笑)もうすでになっているんじゃないですか?


M:でも2年たつと、まただらだらとしてきて…


T:自分なりのやり方で時間を過ごされている感じですけどね。ライブが対面でなかなかできないですもんね。


M:今、そういう時期じゃないんだろうなと思って。であれば、創造をしようと、クリエイションをしようと思ってアルバムを作ったんですね。


T:映像配信もされていて… 「松田美緒の窓辺」っていうんでしたっけ


M:はい、日本語はそれで。Through the windowというタイトルなんですけど、映画監督の古木洋平さんと、音響も森崇さんというエンジニアの方が入ってくださって、映画みたいな感じで。


T:照明とかもこだわった感じで、絵になる方だからなぁ! 


M:絵になるように撮ってもらいました(笑)


T:今日は1023日にリリースされたばかりのアルバム『La Selva』をたずさえていらしていただきました。これがウルグアイの巨人…って言ったらいいんでしょうか…ウーゴ・ファトルーソさんのプロデュースとアレンジ。


M:ウルグアイの人間国宝みたいな人です。70年代OPAというフュージョンバンドでニューヨークから発信して世界中熱狂させた人。彼と10年ぶりにリモートワークで作りました。


T:ウルグアイまで行けないですもんね…。でもこのアルバムのきっかけとなった曲があるんですよね。


M:はい、私の窓辺、「Through The Window」のためにウーゴが書き下ろしてくれた曲があって…。


パンデミックの今だから、昔に作られた曲を歌うよりも、今作られた曲を歌いたくって。みんながどんな時間を過ごしているんだろうということで、その時に三人ほど海外のミュージシャンに曲を提供してもらったんですけど、ウーゴが送ってくれたのが、その(このアルバムのきっかけとなった)曲で。


こっちの夕焼けが向こうの朝焼け…みたいな。日本語で「おやすみなさい」って歌ったりしているんですよ。地球の反対側で、優しくトンボが旅しているような、歌声が旅するような、そんな曲です。「El viaje de la libélula トンボの旅路」を聞いてください。

 

El viaje de la libélula トンボの旅路

 

T:ウーゴさんと最初に出会ったのはいつ頃なんですか? 


M2007年に私がブエノスアイレスに一ヶ月くらい住んでいたことがあって、その時にフェスティバルで彼の演奏を聞いて絶対に共演したいと思っていたら、翌年に日本で共演がかなったんです。


それからトントン拍子に一緒にレコーディングして「クレオールの花」というアルバムを作って、その後一緒に南米ツアーしたり、モンテビデオで一緒にレコーディングしたり…


T:相当歳も離れているけど、ウーゴさんの音楽っていろんなものが流れ込んでて新しいですよね。


M:今、78歳なんですけど、元気ですよ!! ほんとに(笑)。私は音楽的に彼はビックバンだと思っていて、ものすごいエネルギーで破壊し創造する… そういう人です。音楽だけに生きているような人。


T78歳だけど、普段は若い人たちともよく一緒にやっているのかな…


M:このアルバムでは、パートナーのアルバナ・バロッカスという人が一緒にやっていて、彼女は私と同じ歳だったかな…。本当に精力的に若い人たちと一緒にやったりしていますね。

T:ウルグアイと京都でネットで連絡を取り合いながら作っていったわけでしょう? やれる、って最初から思いました?


M:すぐ思いましたね。ウーゴとだったら本当に! 配信も良かったよ、ってすぐ連絡くれて…。私はそれで「またウーゴと一緒に音楽やりたい。もうこれからどうなるかわからない世の中だから、本当にやりたいことをやりたい。あなたと一緒に音楽をまたやりたい」と。「あなたの歌ばかり歌ったアルバムを作りたい」って言ったんです。


そしたら本当に真剣に考えてくれて、自分の曲だけじゃなくウルグアイの他の人の曲も自分が選曲するから、それを送ってみるから気に入ったのを歌ってみたら?って。「そうするー」って返事したら、それからどんどんいろんな曲がきて、もちろん全部OK


T:パンデミックで、あれができない、これができないって思いがちじゃないですか。でも反対に自分のやりたいことがやりたい、っていうのが松田さんの強さだなぁ!


M:いや、皆さん、そうじゃないですか。そうでしょう? でも本当に、もうやりたくないことはやりたくないと思って。本当に音楽っていうのはものすごく創造的なことだから、やりたいことしかやりたくない、と。で、ウーゴの好きなようにやってほしい、と言いました。私はそこで歌うから、と。


なので、ウーゴに全部お任せして。そして選んできたのがウルグアイ9曲とアルゼンチン2曲。すべてウーゴのアレンジです。


ウーゴのルーツ的なものなのだけど「タンゴ・ロック」とか(曲の説明が)書いてあって(笑)。「これどんなリズムなの?」って聞いたら「タンゴ・ロック」「ボレロ・ロック」とか言ってきて(笑)「なるほどー」みたいな。カルロス・ガルデルのタンゴの名曲が2曲入っているんですけれど、すっごいアレンジで演奏してくれているし。


T:シングルカット、映像配信している曲があるので、これを聞いてもらいましょう。


M:ウーゴ・ファトルーソの名曲中の名曲でHurry!という曲です。

 

 Hurry

 

 


T:これ映像を私、拝見したんですけど、森とか滝とか海とか、なんか地球の生命力があふれる映像ですよね。


M:徳島県の聖なる山で撮ったんです。あと旗でパフォーマンスする麻風という素晴らしいパフォーマーに、密林を駆け抜けて欲しくて、それをやってもらいました。


T:そうか、密林っていうのがキーワードなのかな…


M:この曲の中に君と会うために密林を抜けなくちゃという歌詞があるんです。君との間には密林がある、と。


T:なんでしょう…密林っていうのは、浄めの場所みたいな感じ? 


M:そういうことなのかもしれないし、あるメタファーとして時空というか…。…時空を超えて、時をとめて君に追いつきたい…とか。


T:(CDに)「光の密林に遊ぶ歌声」っていうキャッチコピーがついていますね。(CDを聴きながら)これウーゴさんのシンセサイザーですよね。


M:ウーゴの音楽ってシンセでやってもオーガニックというか、ルーツをすごく突き詰めている人だし…なんていうか、「オシャレ」では絶対に終わらないアレンジですよね。骨太の感じというか。


T:なるほどねー。ウルグアイならではの音楽ってどういう感じなのかなぁ。


M:伝統では「カンドンベ」という音楽があって。「ムルガ」「タンゴ」「ミロンガ」…。「カンドンベ」は黒人のリズムです。ウーゴは子供のころからアフリカ系の人たちが住んでいるところに行っては一緒に太鼓をたたいていたんです。彼の音楽の中には「カンドンベ」のリズムが入っている。


T:「カンドンベ」のリズムが入っている曲があるので、途中からなんだけれどかけてみましょうか。

 

♪ Palo y Tamboril「スティックとタンボリン」

 

T:いやー 黒い音楽っていうか、かっこいいですね!


M:聞いてたら気持ちよくてトランスしそうになりました。


T:ほんと、ほんと! 今回、CDのプレスも特別なものなんですって? 


MUHQCDっていって、Ultimate High Quality CDということでメモリーテックっていう会社がやっているんですけれど、従来のCDよりもものすごく音がいいんです。


T:こういうパーカッションの音とかくっきりと来ますね。そして今回はご自分でCDを出されてんでしょう。


M:はい、そうです。初めて自分でCDを出して、大変だったんですけど!(笑)でもその分愛情がこもっていて…CD作るのって本当に大変だなぁって思いました。ウーゴ・ファトルーソという人がこの宝物を私にたくしてくれたので、自分でやってみたいと思って。


で、アートもまた素晴らしいんですけど、Yamada Gakさんというアーティストが11曲をずっと聴きながらアートを作ってくれて、それをToozaという人が…みんな京都の人なんですけど…デザインをして…。本当に…こう心がこもった、手のかかった私のベイビーですので(笑)


T:あぁ、そういう感じがすごくしました! 私がこのアルバムの中で松田さんの可愛らしいところがすごく出てるなと思った曲があって…「El desperdido II 」…っていうのかな。「失い飽きて」これをぜひ聞いてほしいと思っているのですれども…ミロンガ?


M:「ミロンガ」っていうダンスミュージックなんです。アフリカ系のリズムが入った…。すごい長い歌詞でよく日本人歌手の私にこれを歌わせてくれたなぁ、と(笑) ウーゴの新曲なんですれども、ウルグアイの歌手との共作の曲で、すごい早口で、すごく長い歌詞の曲です。

 

El desperdido II 「失い飽きて」

 

T:(曲がフェイドアウト)あぁ、もっと聞いていたいけど…。可愛い曲ですよね!


M:でも歌詞はすごいんです。何もかも失いすぎて、失い飽きた…って言ってる。最終的には私には歌しかないの!という曲です。


T:なんかこの歌謡っぽい感じもすごい好き。


M:私、これをビデオを撮りたいなぁ、って思って… 部屋でキラキラのドレスを着て踊りまくって撮る…みたいな。


T:いいんじゃないでしょうか! 見てみたいです。このパンデミックが終わったら一番したいことって何ですか? 


M:ウルグアイにひとっ飛びで行ってウーゴと一緒に歌って… このアルバムを届けたいです。まだね、物がウルグアイに送れないんですよー。早くウーゴに聞いてほしいです。


T:そうか、人が行けないだけでなく物も送れないんですね。でもその思いは空中を伝わって届いていると思いますよ。


M:彼もすごく喜んでくれているので…


T:今日は松田美緒さんの出来立てのアルバム「ラ・セルヴァ」をご紹介してきました。おしまいはタイトル曲を聞いてお別れします。…ライブは当分ないんですよね。でもまた配信とか楽しみにしています。今日はありがとうございました。最後にタイトル曲をご紹介ください。


M:あなたは私を待ってくれる密林、そんなメッセージです。La selva – Esa luz 「 密林、その光


T:今日はありがとうございました。

 

La selva – Esa luz  密林、その光

 

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というわけで、radikoでも今週中は聴けます。ぜひ下記のリンクからどうぞ。 

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