間違ったことを書いていたら、ご指摘ください。ただ単にヨーロッパと頻繁に行き来し、自分の感覚で感じたことをこの機会に書いていきます。
(1)北アイルランド(英国とアイルランド共和国)
北アイルランド問題は複雑で、それに関するいろんな本も読んだけど、今だによく理解していないところが多数。でも言えることは普通の人々はそれでも普通に生活しているということ。(「世界の片隅」みたいな感じですが)
でもこの話題はアイルランドにいると当然のことのように時々顔を出す。
例えばジェリー・オコナーが「僕らのバンドは北アイルランドと、共和国の初めての合同バンドだった」(フォー・メン・アンド・ザ・ドッグのこと)とか車の中で話してくれたことがあったっけ。
でもジェリーがちょっと違うのは、チーフタンズのデレク・ベルは北アイルランド出身。だからあっちの方が早かった。もっともチーフタンズという存在自体がデレク加入時にはすでに「バンド」という認識とは違ってたかも。
とはいえ、ポイントはそこではなく「北と共和国」の境目はやはり「ある」ということ。
たしかオマーのバグ撃テロは1998年だったか…私がアイルランドに通い初めたのが1991年だから、あれは記憶にもある。チャリティCDが作られて大きく報じられていた。
あとダブリンからベルファストまで自家用車で移動する急に英国側でインフラがよくなることがあった。道路がきれいになっている、街灯が明るいなど…あととにかくキャッシュが変わるのが本当に面倒くさい。
(アイルランドはアイリッシュポンド、今はユーロ。北アイルランドは英国ポンド)
あとはやはりポール・ブレイディ。ご両親がそれぞれ北と共和国の教員免許を持っていたためボーダーにあるミックス・レリジョン、男女共学という当時としては超レアな場所で育った。
最近ではセント・パトリックス・ディに英国王室がアイルランドを訪ねたりと仲良しアピールにいとまがない。
加えて、アイルランドがケルティック・タイガーで好景気に沸いた頃、英国人のワーキングクラスの人たちがたくさん出稼ぎに来るようになった。立場が逆転しちゃったのだった。
某フェスティバルで、北アイルランド出身のブライアン・ケネディはメアリー・ブラックとデュエットでゲール語の歌を歌った。
同じアイルランド人だと北出身だとゲール語の教育は一才ないらしく(当然だよな)、ブライアンは超怪しげなローマ字で(笑)ゲール語の歌詞をメアリーから聞き取りながらメモっていた。
いずれにしても北と南は違う。そしてこれだけ年月が流れると「北アイルランド人」という新しいアイデンティティができてくる。(これはガイドの山下直子さんの受け売り。でも本当に実感としてはそういう感じ)
あとテリー・イーグルトンが言う「北アイルランドの問題は、誰もあそこを欲していないことである」というするどい指摘には唸るしかない。確かにそうかも。でもその本が書かれてから、すでに20年たっている。
(2)カレリア地方(ロシアとフィンランド)
ロシアとフィンランドにまたがるカレリア地方。わたしは行ったことがないのだが、フィンランド側の文化団体の人に、カレリア地方の文化を広めたいからこっちに来てくれるジャーナリストを誰か紹介してくれと頼まれた。
で、音楽評論家のMさんを紹介した。Mさんは「おっ、フィンランドいいねぇ、行ったことがないし一度行きたかったんだよ」なんて快く参加してくれたのだが、その取材旅行は過酷を極めたらしい。(ごめんんあさい、Mさん)
特にロシア側に行った時、寒空の屋外でランチのスープを並ぶのに並んだのが、とても印象的だったらしく、一緒に並んでいた他国のジャーナリスト(というか、こちらの方は学者さんだったそう)と「こんな過酷な取材ツアーは初めてだ」と愚痴を言い合ったのだそう。
同じカレリア地方でもロシア側とフィンランド側ではだいぶ違うらしい。再び、ごめんなさい、Mさん(でもスープの話は笑った!)
ちなみにこの「カレリア地方PRプロジェクト」にロシア側が予算を出したかは疑問である。きっと出してないだろうなぁ。
ロシアとフィンランドの関係については、こちらがなかなかわかりやすいです。
(3)オーランド諸島 (スウェーデンとフィンランド)
スウェーデンとフィンランドの間にオーランド諸島という不思議な島がある。協定がとりおこなわれ、文化とか言語はスウェーデン、でも国としてはフィンランドの自治領という不思議な場所となっている。税金はだから…フィンランド側に行っているということになるのかな。
アーランタにヴェーセンのコンサートを見に行き、ホテルの部屋の写真をfbにアップしたら「あんな電話はもうフィンランドには存在しない!」とフィンランド人に大ウケした。いわゆる古いダイヤル電話。あの島には、70年代のスウェーデンが残っている。
ちなみに別にスウェーデンに戻りたかったら戻っていいという状況らしく、住民投票みたいなもので、スウェーデンに戻りたいかと言われ、オーランドの人たちは「今のままフィンランドなのがいい」ということになっていて、現状維持が続いているという。
っていうか、どっちの国も「あんなところ別にいらない」ということになるんだろうか。でも観光はそんなわけで不思議と発展してるらしく、クルーズ船とかめっちゃ混んでいた。あっ、そーか、船上はTAX FREEだからみんなお酒を買いに行くんだ!
まぁ、色々なケースがあるんだけど、自分が体験したことを書きました。詳しくはWikiとか難しいこと書いてあるリンクをつけておいたので、興味ある方は是非ご覧ください。