半澤鶴子さん『人生に愛される 幸せはお人から運ばれてくるものよ』を読みました #日向敏文 #toshifumihinata

 


DVDを拝見したりして、すっかりハマってしまった半澤鶴子さん。今度は本を読みました。

薄い本で、なんか文字組みのピッチもよく、あっという間に読めちゃった。半澤さんの話し言葉同様、とても優しく響いてくる本です。まるで直接お話を聴いているよう…

昨日紹介した白崎映美さんもそうだけど、女性が書くエッセイって、こういう感じなのかなぁ。人柄が出るよねぇ…

お湯がしゅんしゅん沸いて、抹茶をいただく… あぁ、そんな優雅な時間が羨ましいと思いつつ普段の私はそういうことからはまったくかけ離れた生活をしているわけです。

強いて言えばランニングと銭湯が、私なりの「優雅な時間」かな?

そんな大雑把な私なので、日向敏文さんが音楽を担当したこちらのドキュメンタリーを見るたびに半澤さんの美しい佇まいにうっとり…


かつ同時にドキュメンタリーを観ながら「自分があと100年生きてても到達できない世界だー」と思っていたことも事実。

だけど本を読んだら、なんかやっと腑に落ちた感がある。半澤さんに対する理解が深まった気もする。

…とか言うと映像ドキュメンタリー作っている人たち(日向さん含め)に申し訳ないかな。でもやっぱり自分は「文字」の人間なんだよねぇ。「文字」だし「言葉」の人間。そんなことも発見したりする。

本の内容に話を戻すと、まるで雑誌の連載みたいに読みやすい文体で、短めに一つ一つのお話が完結しているから、どこから読んでもいい。そんな気軽な本だ。値段もめっちゃ安いし。

それにしても、半澤さんをしても「今でも、茶事を終えるたびに、したたかに落ち込みます」と言うのだから、なんかびっくりしてしまう。場数を踏めば踏むほど自分を怪しむんです、とも。

すごいなぁ。でも半澤さんにとって茶事は「自分をいい人間だと錯覚して生きることのできない舞台」がそこにある…とも言います。だから楽しいのだ、と。そして幸せとは条件ではなく、自分の内なる意識だとも。

ちょっとそれは私がミュージシャンたちに向かう時の感じに似ているかも。自分の全身全霊をかけて相手を理解しようとする。でも、それは時々自分の弱さや弱点を認識することでもある…そんな感じ? 

そして実際は何が正しいのかわからないまま、とにかくやるしかない。そういうことだ。自分の中で、自分の持っているすべてをかけて、とにかく判断するしかない…といったところだろうか。よくわからない。

でも半澤さんのそんな言葉は、何かに悩んだり一所懸命やっている人の心にすっと入っていくんじゃないだろうか。少なくとも私はそうだった。

時にはナイフみたいな言葉を振り翳してくる人に遭遇することもあるけど、そんなことをしたところでその人の内側には入ってこない。半澤さんは、そういう人とは真逆の人だ。

半澤さんは「井の中の蛙大会を知らず、されど天を仰げる」と言う言葉が好きなのだそうです。実は、この「井の中の蛙」。いくつかヴァージョンがあって「されど空の青さを知る」って続くヴァージョンもある。ちょっとネットでググるとたくさん出てきますが…

蛙も井戸の内側の壁を見ているだけではないんだよ、と。

まぁ、自分が井戸の中にいるか、蛙かどうかは自分で判断するより他の人に判断してもらうとして、「天を仰ぐ」も「空の青さを知る」も、とても素敵ですよね…

いいなぁ。そんな風に私も生きていきたい。  

あぁ、そうそう忘れたくないもうひとつの半澤さんの言葉。未来の自分のためにここにもメモっておく。

半澤さんの「無心」とは考えないことではない…というお話もとても響きました。半澤さんの丁寧な説明を、私流に簡単にして説明すれば、無心とは…心を無にして相手につくすこと…なのかな。

あと「植物の灰汁(あく)は、こういう理由から」という半澤さんの持論もなんか思わず頷いてしまうし、「おかみさん」の存在の大きさ、料理を作るというとぎすまされた行為に対する解釈なども、とにかく素敵。

そして「生きている限り現役で、定年はない」。「生きるとは自分の勤めを果たすことだ」という考え方。あぁ…いいよなぁ!!

まぁそんなふうに遠くに存在していた半澤さんの存在をちょっとだけでも自分に引き寄せて考えることができた。私にとって、これはそんな本です。

しかしこのブログ書きながら、あらためてドキュメンタリーの映像を見ていると(こちらにまとめてあるのでよかったら覗いてください)、音楽がすごくいい。この高い音から低い音に行く歌うような旋律が、本当に美しい。

半澤さんのお声を聴いていると、自分の汚い部分がバレているような気がして、時々はっとすることがあるけど、まぁ、でも自分はそれでいいかな、と思ったりしているんだけど、それは日向さんの音楽を聴いている時も同じ。

実は先日とあるミュージシャンの方が日向さんの音楽を説明して「日向くんが持っている<美>というものは、勉強して身につけたものとは全然違うもののような気がする」と説明しているのを聴いて、なんかハッとしてしまった。

近くに見えているんだけど、決して届かない<美>だとも、その人は説明していた。


久しぶりに日向さんの新作も貼っとこ…

日向さんは13年ぶりのスタジオ盤をリリースしました。『Angles in Dystopia Nocturnes and Preludes』。みなさん、ぜひ聴いてください〜。
 

しつこくSpotifyのリンクも貼っときまーす。


他の配信プラットフォーム使ってる方はこちら。日向さんのYou Tubeチャンネルでも聴けるよ。

そして! アートワークがとっても素敵なので、CDもおすすめです。

タワーレコードの渋谷店では名物カツオさんのコーナーで展開中。カツオさん、いつもありがとうございます。



あとはアマゾンが品切れ起こさないようにずっと見張っているのだけど、増えたり減ったり… でもこの動きは結構売れていると見た!! 下記にリンク貼っておきます。


そうそう、今夜ニューヨークのアルファチャンネルから素敵な映像のアップデートがあるはずです。これはファンの人は喜ぶのではないでしょうか。お楽しみに〜