観た!「フラッグ・デイ 父を想う日」 最高でした。



ショーン・ペンの監督作品は過去に「INTO THE WILD」と「インディアン・ランナー」を見たけど、どちらも素晴らしく、本当に心から大好き。一貫した世界観あるよね。

特に「INTO THE WILD」。あれは本もクラカワーで最高にいいから当然なんだけど、映画も極上だったよ。日本語版のDVDがなくって、英語のDVDを買ってある。配信とかではやってないみたいだけど、また見たいよなぁ。DVDプレイヤー、どこにあったかなぁ(笑)

昨日は実は朝から角幡唯介さんが沢木耕太郎の本を書評しているのを読んでしまい、朝から「男らしい」ってなんだろう、「かっこいい」ってなんだろうと、つくづく考えていた。

角幡さんも沢木さんもいわゆる「男らしい」「かっこいい」「男性ファンが多い」と言われることが多い作家さんだと思う。でも私が「男らしい」「かっこいい」って思う定義は世間とちょっと違うんだよなぁ…

そんなことを朝から考えていたら妙な結論にいたったので、そんな話はまたどっか別に書く。

で、今回の「フラッグ・デイ」。ショーン・ペンの新作かということで、さっそく観に行きました。アメリカの旗の日が誕生日のお父さん。これが、ほんとに真からダメ男。ほら吹きで、嘘つきで、見栄っ張りで、どうしようもない。

こういう「ダメ人間」も「男」に多いような気もしている。それも偏見か? そういうのは、今ジェンダー的に問題発言になってしまうのかもしれない。けれど人間にとって、特に男性にとって「何者でもない」というのは、まったくもって耐え難いのだなということがよくわかる。

そして、こんなことを書いている私も、もてないのだなということがよく理解できる。というのも、私は「男の人を立てる」ということにおいては、天才的なほど才能がないからだ(笑)

話がそれた。このダメ男のどうしようもない父ちゃんと、真っ当に生きようとする娘の話。いやーー ほんといるよ、こういう男の人。自分が平凡な人間だって認められないのかなんなのか。とにかくダメな自分のことを認められず、ひたすらもがき苦しむ。

そもそもこんなんじゃ本人も生きているのがつらいだろうに…。そして最終的にはある意味分かりやすく犯罪に手を染めてしまう。

でも一方で子供思いの部分もあり…。複雑な性格だけど、チャーミングな父ちゃん…いや、もうショーン・ペンの演技がすごくってさ。演技と思えないんだよね。

いやーー 持ってかれました、このどうしようもない父ちゃんに。

そしてお嬢さんのディラン・ペン。彼女はショーンの本当のお嬢さんということで、私はこの映画のポスターを見て、なんか最初はこの映画を斜めに見てました。なんだい、親のコネで映画界に入ったのかい、と。(←よくわかってなかった)

ちなみに上にはってあるポスター。上が日本版のポスター。よく日本版のポスターは「わかってない」とか言われることが多いけど、この場合は成功なんじゃないかな…と思った。下のポスターよりもいいよね。確かにこの会話のシーンは印象的だもの。

というか、この映画、とにかくほとんどの時間がこの親子演技対決なのよ。いやー すごかったよ、激しかったよ、親子演技対決。本当にすごい。演技か、これ?みたいな。親もすごいし、子もすごい。

そもそも親と同じ職業を選ぶ人を、私はあまり尊敬していない。でもそんな先入観を持ってこの映画を見ていた私も、もうひたすら「ごめんなさい」と平謝りするしかなかった。ディランさん、ごめんなさい。あなたはすごいです。

これはすごい映画だ。ほんと容赦なく、いや親子だからこそ可能なのか、本当に真剣に戦ってた、この二人。

ちなみに娘さんの方は、最後までこの映画に参加することを嫌がったのだとか。そしてショーン・ペンの方も、当初は自分が監督だけに徹し、出演するのをいやがったとか。(そういえば、過去の監督作品、どれにもショーン・ペンは出演していない)

ストーリーは原作本があるらしく、ジャーナリストで活躍している娘と偽札作りという犯罪に手を染めたお父さんのリアル・ストーリー。

短いシーンだけど、彼女の嘘を見抜き、正しい道に導いていく大学の先生や、話を聞く黒人の警察官の存在がよかった。そういう出来事が、彼女を同じ悪の道に進ませなかったのだと思う。彼女はジャーナリストとして、父の存在にもきちんと向き合い、この本を書き上げたのだろう。

ちなみにこちらが公式トレイラーだけど、映画を見た印象はもっと違かったな…。なんというか、 もっととにかく親子の言い合いが多い。それのどれもが結構な長尺で、やっぱりすごい。親子対決がすごいとしかいいようがない。

…といいつつも、もう一回見て見たら、印象が変わるかも? うーん。


 

音楽が、当然なんだけど、これまた最高に良い。なんかこの映画に出てくる人間の気持ちのすべてがこれらの音楽の中に凝縮されている。トレイラー見るより、こっちの方が実際の映画の印象に近いかも。ミュージックビデオをありがとう!!


この映画見終わったあと渋谷に移動し、HEATWAVEのライブを見た。これが、またもや最高に素晴らしく、なんか世界観が一緒だった気がするよ、山口洋と、ショーン・ペン。

山口先輩のコンサートも、とっても男っぽい。そのかっこよさをまた今朝読んだ書評から何度も噛み砕いて自分なりに「男らしさ」について理解しようとしている自分なのであった…

さぁ、今日は午後にワクチンを打つのだけど、明日は熱が出て走れないだろうから、寒いけど走ってこようっと。いってきまーす。