ルナサの音楽を斬る:バンド内に作曲家が複数存在していること

 


楽屋でバナナを食べるトレヴァー。
何をやってもかっこいいなぁ!(笑)
2001年の写真らしい…22年前も今も素敵。


というわけで、ルナサの音楽的話題を書いてきた今週。最後はバンド内における作曲家の存在意義について、です。

作曲家が一人だとイマイチだし、全員作曲というのも、これはこれでイマイチなんだけど、ひとつのバンドに2人の作曲家がいるというのは、微妙に良いことではないかとなんとなく思っている。

例えばフルックもそうだよね。あそこはブライアンが最高に素晴らしい楽曲を書くし、セーラも負けてない。二人ともすごい。

特にアイリッシュ・ミュージックのバンドは、3曲くらいをつなげて「セット」にすることが多い。一つの曲にインスパイアされ、別の作曲家がその曲から続けて演奏できるようなすごい二曲目を書くことはよくある。

フルックのこれとか。

1曲目の「The Crystal Year」はブライアンの曲で、2曲目の「Foxes' Rock」はセーラとブライアンの共作だ。間にちょっとしたブリッジパートもある。この展開がすごいよね。


ヴェーセンなんかは、全員がそれぞれ作曲をする。でも意外と共作は少ない。唯一あるのがこれ。

最初の30秒はなかなか音が始まらないから飛ばして聞いて。
これはメインパートをミッケ(ヴィオラ)が書いて、3:00くらいから始まるブリッジパートをローゲル(ギター)が書いた。すごい曲だ。

まるでレノン・マッカートニーの「Free as A bird」とか「A day in a life」みたい!



こんなふうに二人作曲家は時々奇跡を生む。

あ、あとこれは伝統音楽じゃないけど、これもいい。ブー・ヒュワディーンとクライブ・グレッグソンの共演。これも基本はブーの楽曲だけど、「So we share the secret place〜」(3:00くらい)のところはクライヴが書いた。これも二人作家のマジックだ。


あと二人いると妙に競争意識が働くのかも???「お前のそれよりいい曲を、オレが書いてやるぜー」みたいな。明らかに一人でやるよりはクリエイティブだと思う。

ルナサは基本的に、なんだーかんだで伝統曲を取り上げることが比較的多いが、他の現代作曲家の作品も多く取り上げる。

そしてケヴィンとキリアンがバンドに楽曲提供することが多い。ショーンも過去に1曲だけ書いたことがあるけど、基本、ルナサの作曲家はケヴィンとキリアンだよね。

特にケヴィンの曲は「キャッチィ・ビット」が多く、聞き答えがある。

これとかディアムド・モイニハン(素晴らしい作曲家!)の曲が先にあって、冒頭にケヴィンが悲しいメロディのスローエアーをくっつけた。それによって、ディアムドの曲が引き立つのなんの!

 

こちらは基本キリアンの曲。2曲目がケヴィンの曲。それにしても明らかに二人ともバンドメンバーたちのことを意識しながら曲を書いているよね。ホイッスルを複数本で演奏したり、ギターとベースがないバンドだったら不可能な曲だ。

ちなみにキリアンはこの曲はすごく思い入れがあるみたいで、のちにソロアルバムのタイトルにもしている。そして、ルナサお得意の1セットの中で自由にリズムチェンジ。他にこんなことやるバンド、いないよーー(涙) 
   


初代ギタリストのドナもいい作曲家だった。でも彼は一人でじっくり書くことが多かったかなぁ。でもこれはドナの曲のあとに(Goodavich嬢、お会いしましたよ、シドニーで! 綺麗な人でした)、ケヴィンが素敵なリールを付けている。 
 
 

ソングライティングのクレジットって難しいよね。むかーしむかしブー・ヒュワディーンが「バイブル時代の曲、良かれと思ってバンド全員の名前でクレジットしたんだけど、あれは失敗だった」と言ってたけど、ほんとソングライティングはバンドの要であり、バンドのアキレス腱ともいえる。

もうちょっとルナサにおける共作楽曲を紹介しておきましょう。最新作『Cas』の印象的な曲。

 

これもルナサの自信にあふれる曲だよね。4曲構成で、1曲目はケヴィン。そして2曲目はダミアン・ムレーン(天才アコ奏者!)、3曲目がショーンと同じルナサのフィドルのコリンの曲、4曲目はトラッドという並びだ。

それぞれが素晴らしいし、あいからず、するんだよなぁ〜 リズムチェンジ!! 他のバンドがカバーできないやんけ(笑) 

それにしてもかっこいいルナサ。来週はまた別のシリーズで月〜金連載していきます。お楽しみに。 

クラウドファンディング、引き続きよろしくお願いいたします。