男の子は電車が大好き。アメリカじゃ乗れないもんねー
何年のツアーだろ。手前の女性は当時のプランクトンのスタッフ安藤さん(現在は退社)
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昨日の続き。
「負のパワー」に巻き込まれるな、というのを昨日は書いたのだけど、この「負のパワー」の見極めも非常に難しい。
「負のパワー」は時々、「善」の仮面をかぶってあなたのところにやってくることもあるからだ。例えば、あまり親しいわけでもないのに、自分の悩みを打ち明けてくる。他人の悪口を聞かせてくる人。
そういう人が全部が全部だとは言わないが、その人はあなたを自分の味方にして取り込もうとしているのかもしれない。
これは相手にも自覚がないことが多い。でもそういう歪な人間関係は、のちのち不幸のもととなる。
私は、本当の愛情や友情は「見守ってあげること」「行かせてあげること」「励ましてあげること」等々だと思っている。
たとえば映画「CODA」、あれを思い出すだけで私なんぞは号泣なのだが、本当に娘を思っているなら「行かせてあげる」ことが愛だし、正解だよね。
(あっ、正解とか言っちゃった。そんなこと誰にも判断できないのに。あの娘はあのあと音楽を捨て本当にチェロ奏者と駆け落ちしてしまうかもしれないのに!・笑)
しかし「負のパワー」を持ってニコニコ近づいてくるものは、実はあなたを取り込もうとしているのかもしれない、ということを忘れてはならない。そしてそれはそれですごく魅力的なパワーでもある。
私も実は割と最近までそのことに気づかないでいた。でも、そんな時にとある本に出会った。森博嗣さんの『自由をつくる 自在に生きる』。『スカイクロラ』とやらで1財産築いた著者が書いた「自由」とは何かの本。すごく好きな本である。
私は『スカイクロラ』って全然知らないし、読んでないし、森さんの本はこのあと数冊読んだけど、どれもピンと来なかった。でもなぜかこの一冊だけはめっちゃ共感しまくった。
これは誰がなんと言おうと名著だし、私にとっては、一生何度も読み返したいプラチナ本だ。
この本は自由についていろんな考察を加えている。例えば経済的な自立は自由の確保にとても大事…みたいな基本中の基本も書いてある。そして、さらに素晴らしいのが、この本の最後の方に書いてある、一見良かれと思って受け入れてしまう自分の外のパワーからの自由なのだ。
例えばあなたを必要以上に褒めてくる相手。その存在は、もしかしたらあなたにとっては「負」なのかもしれない、と。
その人に褒められたくて、あなたは知らず知らずの間にその人にからめとられてしまっているのかもしれないよ、と。
そして最後に森さんは、自由とは、水の中で浮くか沈むか足をバタバタさせながら、水の遥か上、空で輝く太陽を眺めているようなものである、と説く。
この「あとがき」すごく好き。
「自由でいるためには、油断をしてはいけない。いつも、何が自由なのか、と意識していることが大切だ。それはまるで海に潜って綺麗な光景を眺めるときに似ている。
「ああ、綺麗だな」と思い、上下左右どこへでも行ける、どちらへも向ける自由を感じるけれど、手足を止めてしまうと、あっという間に浮かんでしまい海上へ引き戻される。あの、もがいているときこそが、つまり自由という瞬間なのだ」
ふっと気を抜けば深く沈みこんでしまったり、力を抜けばあっという間に浮かんで頭が水から出てしまったりもする。自由とはこのように常に検証し、気をつけていないと、あっという間に他人のパワーに取り込まれてしまうものだ、と。
いいでしょ!
と、まぁ、このように仕事においても、生活においても、自分の自由を確保することはとても大事だ。一番大事なのは「自由」なのだ、と。
その一方で、仕事していれば、自分が巻き込まれていくというシチュエーションにも時々出くわす。
そして、これは賛否両論分かれるところかもしれないし、意外に思われるかもしれないけど、私は「長いものには巻かれる」って実は結構ありだと思っている。
自分より力の強い相手には、なるべく関わった方がいい。もし自分より力がつよい誰かが自分のバンドに興味を持ってくれたなら、それが自分にビジネス的メリットがあろうとなかろうととにかく関わってもらった方がいい。
これもワールド・ミュージックみたいな売れないジャンルをやってきた者の弊害か?(笑)
でもそもそも社会的地位のある誰かに、興味を持ってもらえることなど滅多にない、超レアなジャンルなのだ。
だから昨今問題になっているけど、ジャニーズみたいなビジネスは、やっぱり存在しうるんだよね。もちろん相手が、明らかな犯罪者であれば、絶対に巻き取られないし、いっさい関わってはいけないのだけど。
それでも「長いものには巻かれておけ」って結構ありかも、といつも思う。
例えばリベラルな政治家がなかなか保守みたいに一体化できないのは、大きな絵を見てないからだとよく言われる。個人を尊重すべきというスタンスのリベラルにとって、小さいことを見過ごすことは非常に難しい。一方の保守は大ざっぱであるようで、ちゃんと団結し、しかもめっちゃマメと来ている。
これじゃ選挙に勝てるわけないよね。
細かいところまでわかってもらえないからといって、新しい誰かに関わることをやめてはいけないと思うんだよね。
それが自分の仕事を広げることになる。
あとね、仕事の外部からやってくるチャンスって、不思議なんだけど、自分が「絶対にこれは行ける」って状態ではやってこないんだよね。だいたいは「ちょっと私には無理かも」ってところでやってくる。
その時、ちょっと無理してでも、そのチャンスは掴み取った方がいい、と先日私が尊敬する浜田敬子さんも言っていた。
私にそれは声を大にして言いたい。私も私の全いもうと達(誰だ、それ?・笑)にそれを伝えたい! 働くワーキングウーマン全員に伝えたい。
ワーキングウーマンの良いところは、女の人は基本「はったらない」ところだ。みんなすごく等身大で仕事をしている。男性ははったりばっかり言って自分を大きく見せることに夢中だけど、女の人は出来る人ほど自分はすごいって絶対に言わない。
でもそれを他の誰かが必ず見ていて、何かあなたに大きなオファーを振ってくれたりする。その時は躊躇せずにそれを掴み取れ、ということを私は言っているのだ。
女の人は「はったり」が下手だから。私もずっとハッタれない自分で来た。でもある日、タッドに言われて気づいたのだ。「こんなこといつまで言ってちゃ、返って無責任なんだ」って。(月曜日のブログ参照)
あ、話がずれた。とにかく時々は長いものにもまかれ、褒めてくれる相手にも距離をとりながら、うまくこの世界を泳いでいくのだ。そして自分のやりたいことをなんとか実現するのだ。
ルナサは、私にたくさんのよい人脈を運んできてくれた。この音楽をプロモーションすることで、私は成長してきたと自分でも思う。いつだったか尊敬するプランクトンの川島恵子さんが褒めてくれた。「洋子ちゃんのすごいところはアーティストと一緒に成長していけるところだ」
うーーん、ありがとう!! 恵子さん。すごい素敵だよね、それって。
自分はしっかりしているつもりでも、一人で仕事をしていれば、負のパワーに知らず知らずのうちに取り込まれてしまうこともある。でもルナサはいつも明るい前向きな空気を、人脈を私にもたらしてくれていた。
彼らの頑張りに比べれば、私のやっていることなど本当になんでもない。ほんと幾度、彼らの音楽に、仕事ぶりに、励まされたことか!
人の仕事と比べてみれば、私なんぞはかなり好き勝手に自分のプロジェクトを転がすことが出来ているのも事実だけど、と同時に、私も本当の実態といったらは単なる水の中のバタバタにすぎないのも、これまた事実だ。
なんか今回、話が抽象的すぎるからわかりにくいかも。
うーん、でもがんばらなくちゃなぁ! そういうことです。
クラウドファンディング、引き続き続行中。水の中で手足をバタバタさせながら、必死でがんばているプロジェクトです。どうぞよろしくお願いいたします。
森さんのこの本もよかったら、ぜひ。何度でも人生や仕事に迷った時に読み返したい本だ。