カウアン・オカモト『ユー。ジャニーズの性加害を告発して』を読みました 真面目でいい本だった

 


ここんとこルナサのクラファンやら、イベントの告知で本のレビューがたまりまくっております。話題のこちらの本もだいぶ前に読みました。

被害者の会とは別行動で頑張るカウアンくん。一番最初に実名告白した勇気あるカウアンくん。なんか他の人とは違う感じが見てとれるよね。なんか私は好きです。

すでにYou Tubeや週刊誌なども結構見ている私としては、特にこの本からの新しい情報うんぬんというのはあまりなかった。でもこの本を読んで、いろんなことが彼自身の言葉で語られ、しっかり伝わってきた。文字で読むと私は理解が深まる。文字が一番好き。

なんというか真面目ないい本だった。彼の生い立ちから葛藤や、親に心配かけまい、しかし独立してやっていきたいという、本当にしっかりした子。一方で母親を「お母さん」とか書いているところとかは、ちょっとかわいいな、とも思う。

カウアンくんが子供のころ、不良となった息子が喫煙したり無免許でバイクに乗っている現場をお母さんはなんとか辞めさせようと、警察に通報したのだそうだ。すごい。自分の子供を警察に差し出す。

他の親御さんや警察の人たちは「息子を通報するなんて」とお母さんを笑っていたけど、カウアンくんはそれで自分の態度を改めようと目が覚めたのだという。

すごいお母さんだよね。そうなんだよ、子供だって誰だって、みんな社会の中で生きていかねばならない。私がお母さんでもそうしたかもしれない。真剣に子供の未来を考えたら、そうするのが一番子供のためなのだと思う。

子供のころのブラジル文化と日本の文化の間での葛藤。日本語があまりうまくない親に変わって奮闘する健気な子どもでもあったカウアンくん。

「お父さんは哲学的で調和を好む。お母さんは直感的で自分の信念を貫く」自分はそのミックスだとしっかり見定めている。

一方でジャニーズ時代も、お金がなくてバイトをしていたというから驚きだ。なんか子供とかいって親元から一刻でも早く離れたいって思わないタイプの子も多いけど、彼は本当にしっかりしてる。ちゃんと早くから独立している。

っていうか、「子」とか言っちゃだめだよね。カウアンくんじゃなくて、カウアンさん、だ。私なんかよりもよっぽどしっかりしているし、視野も広い。大したもんだ。

いきなりジャニーさんから電話がかかってきて、大きなステージで歌わされたこと。芸能界のあれこれを教えてもらったこと。ダンスにおける初期の失敗、そこから学んだこと。だからカウアンさんは喜多川擴のことも否定はしていない。

私から見ると「いや、それはグルーミングでしょう」と思う。でも「グルーミングではない」と彼は断言する。彼が言うなら、おそらくそっちが彼の真実なんだろう。それでいいと思う。外野があれこれ言うべき問題じゃない。

というのは、彼は自分のそういう経験をしっかり受け止めた上で、前に進んでいるからだ。

迷っている人になら「それはグルーミングだよ」とアドバイスするのはありなのかもしれないけど、彼はしっかりしている。もうちゃんと地に足をつけて歩みだしているんだから彼にそんなアドバイスは必要ない。

と同時に、ジャニーさんは可哀想な人だともジャッジしているところも妙に達観している。ジャニーさんはコンプレックスの塊だったのかも、と彼は言う。背が低くちんまりだったジャニーさん。お父さんは真言宗のお坊さんで厳しい人だった。そんなお父さんのもとでゲイという絶対的な秘密をかかえて苦悩していたのだろう、と。

一方で他の大きな会社の人たちと違って、ジャニーさんはちっとも偉ぶることがなかったという。他のいばりまくる偉いおじさんたちを見てカウアンくんは「ちっちぇーな」としらけていたそうだ。すごい。

そういうおじさんたちが、果たしてジャニーさんとどっちが偉いのか? でもやはり喜多川 擴は犯罪者だという決定的事実は重い。確かに偉ぶらずしおらしくしていたのだろうけど、彼は決定的な犯罪者で、偉そうにしているおじさんたち以下の人間だということだ。

ビジネスの責任も姉や、スタッフに押し付け自分は男の子たちをあさっていた。病気だ。

私のその考えも、もちろんゆるがない。でもカウアンさんの言うことには耳を傾けたい。

そのジャニーズにずっといたままだとグループとして売り出される可能性はあっても、ソロではやっていけない。また世界にも出られる可能性が皆無。そういう結論のもとカウアンさんはジャニーズを離れる。

そのあとは自分で大変なキャリアを進んでいく。人に騙される。パニック障害の発作も起きる。が、彼はしっかり自分で生きていくことを選んだ。

一方でYou TubeやSNSを使いこなす彼のことだ。そこでの限界もしっかり直視してるんだろう。今回、本という形で自分のことをまとめることを選んだ。そこも偉いと思う。本を読む人ならわかってもらえる、そういう気持ちで書いたんだろう。

最初の記者会見のあとジュリーさんに直接会った話も書いてあった。カウアンさんの視線はひたすら優しく、私は「甘いな」と思ったけど、それも彼の優しさだし、彼の判断なんだろう。再び書くが、外野がとやかく言うことではない。

そういうひたすら冷静ながらも優しさも感じられる記述には、なんかグッときてしまった。それが決定的だったのかはわからないけどジュリー社長にカウアンさんは「顔を出して会見した方がいい」とアドバイスしたそうで、事実そういう展開となった。

ひろゆきや、ガーシー議員のカウアンさんへのアドバイスも、この本では非常に納得できるものだった。ひろゆきもガーシー議員も私は好きじゃないんだけど、世の中いろんな人がいて、どんな人でも「これは勉強になるなぁ」というところと「それはないんじゃないの」と思う部分が共存しているのだ。そこは忘れないでいたい。まぁ、たまに絶対悪みたいな保守系女性議員とかいるけど…さ。

ここでは、ひろゆきとガーシー議員の存在がカウアンさんのそばにあってよかったなと私も思った。

そして国会のでのヒアリング。すごい。57歳の私だって躊躇しちゃうことを、とまどいながらもカウアンさんは、あくまで堂々とこなしていく。彼は前を向いて生きていく。頑張れ、カウアンさん。応援してるよ、まじで。

実はもう一冊ジャニーズ関連の本を読んでいるのだけど、そっちはなんかものすごくエグい内容で、読んでいてもつらく、その本の感想書くと悪口になっちゃいそうだから、感想文は書かないでおこうかと思っている。

そっちはかなり暴露本っぽく、これ、実際裏が取れてんのかな…といちいちツッコミたくなる。そういう本だった。

…とか書きつつも最後まで読んだら、これはこれでありなのかな…と思えてきた。もしかしたら感想を書くかもしれない。もう読み終わってるんだけど、まぁ、ちょっと考える。

でもそういった微妙な本とこの本はまったく一線を画すものだ。前向きないい本だった。こういう若い人がいることが未来に希望を与える。


…とか書いてたら、こんな記事が今日出た。すごい。こんなの暴力だよ。暴力。ありえない。



告知! こっちはカウアンさんと違って半分が私より年上の還暦間近のバンドだけど、アイルランド音楽で最高にかっこいいバンドです。

そう! ルナサの来日はもうすぐ! クラウドファンディングはおかげさまで無事達成し終了しましたが、京都磔磔での3夜連続ライブのチケットは引き続き熱烈発売中! なぜか初日が一番売れていてかなり埋まってきちゃってます。早めのご予約をおすすめいたします。東京からの日帰りも可能だよ。

11月27日(月)、28日(火)、29日(水)の3日間。7時開演(8:45くらい終演予定)
チケット¥6,500+ドリンク代 3日通し券もあります(18,000円+各日ドリンク代)
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