ラウーのツアーのあと、アコーディオンのマーティンはしばらく滞在を延長し、家族を呼び寄せ、奥様、息子さん、お嬢さんと4人で日本中を観光旅行していたのですが、そんな家族旅行に1日だけ同行したので、その時のレポートをお届けします。
ツアー中にゾロゾロ家族についてこらえると、ちょっと辟易するけれど(アーティストは選べるけど、アーティストの家族は選べない苦しい立場なのです、プロモーターって)、終了した後なら、問題ない。そういう気遣い、本当に助かる。ありがとう、マーティン。
京都公演を終え、帰国していったエイダンとクリスですが、マーティンは家族の到着を待って合流。その後、家族と一緒に東京に数泊、そして京都などを観光してまわったのでした。
(その間、私はアコーディオンを預かったのだけど、これが結構な重さで、辟易したのでした…)
ちなみにラウー帰国後、すぐドリーマーズ・サーカス(プランクトンさん招聘)の公演があったので出かけていったのですが、なんとその日に「家族に焼肉を食べさせたい」というマーティンから呼び出しがありまして…(笑)。
なので、公演のあとだったのでだいぶ遅い時間のスタートだったのですが、みんなで池袋でちょっと高級焼肉をしたのでした。(マーティンに払ってもらっちゃった、ごちそうさん)
焼肉屋を出たあと、たまたまだけど焼肉屋から歩いて2分くらいだったから、東京ボブ・ディランさんのお店、ポルカドッツも、ちらっと外からのぞいたりしたのでした。(ポルカドッツさん、扉あけて、また閉めて…お店にも入らず失礼しました)
マーティンはジョーン・バエズのバンドにもいたことがあるから、もしかしたらちゃんと入店して、マスターとお話ししたら、すごいウケたかもしれないんだけどね…
で、その日の帰り道、最終日の11月7日は、また東京に戻ってくるから、その日だけはアコーディオン返却しなくちゃいけないし、また会おう、ということになっていたのでした。
マーティンの家族。ちなみに奥さんのインゲとはスコットランドの公演の楽屋で一度会ったことあるんだよね。公になっていることなので、書いていいと思うのだけど、こちらの方。インゲのバイオはこちら。フェアアイル島出身の有名ミュージシャン。フェアアイルのニット本をいただいちゃったよ!(笑)
そして息子さんにも実は先日の某スコットランドレコーディング中に会って一緒にご飯を食べたことがあるから一度会ったことがある。彼は19歳。最近、家族から離れて独立したんだって。
一方の娘さんだけは初お目見え。12歳くらいかしら。お父さんと大の仲良し。超パパっ子のお嬢さんでした。しかし仲の良い家族だなぁ。
家族旅行ということで、私は手伝うのもやぶさかではなかったのだけど、せっかくの楽しいアドベンチャーを邪魔してもいかんと思い、向こうから言われるまでは、何も言わずに黙って静観していたのでした。
で、彼らは自分たちで宿泊を手配し、新幹線に乗って京都にも行ったし、結構楽しそうだったのでした。
時々旅の途中にマーティンがメールをくれるのだけど、その報告が面白い。「ここへ行った」「あれも見た」みたいな報告や旅の感想を聞くのは、結構楽しかったりするんです。
どうやら彼らは東京に3泊した後、京都、奈良、大阪を巡り、その後「どこか何もないところへ行きたい」という奥さんのリクエストで、和歌山の海辺の街に滞在した様子。えーーーっっ? ちなみにその街の名は、私も聞いたことのないようなすごい街でした。
中でも一番笑ったのは、どうやら大阪で彼らは「アバンギャルド」で「エクスペリメンタル」なバンドのコンサート(ライブハウス)に行ったらしく、その話。
そこには対バンで、バンドが3つくらい出ていたのだけど、お客はマーティン一家と、演奏してない他のバンド2つのみという寂しい状態で、バンドたちからは、えらい歓迎されたということ。
入場料は2,000円とかで、おそらく関係者だれもお金を儲けていない。もしかしたらライブハウスがバンドにノルマを課して、集金しているのかも…だけど。でもマーティンは音楽を満喫したのだそうです。
しかも奥さんは会場でCDまで購入して、バンドからえらくびっくりされたらしい。バンドの人たち、突然英国人家族4人が現れて、びっくりしただろうなぁ。まさかマーティンがミュージシャンだということもバレていないだろうし…
と、まぁ、そういう話を、携帯の写真を見せながら楽しくしてもらい、いやー 笑った、笑った(笑)
というわけで、日本滞在最終日である11月7日は見事な快晴で、私は彼らと再会、一緒に鎌倉に行くことになったのでした。
まずは彼らの宿泊先(浅草)にアコーディオンを持っていったのだけど… とても重かったよ! でもガラガラに乗せて、振動が楽器によくないとかあるかもと思い、肩に背負っていった真面目なオイラなのであった…泣ける。
旅行といったら、事前にいろいろ調べて準備したいのが日本人だけど、英国人はそうではない。あれこれ事前にこちらから質問しても嫌がられるだろうしな…と、当日まで放置していたから、鎌倉は、それなりに詳しいつもりでいる自分なので、インプロバイズもできるであろう、と。
で、鎌倉に向かう電車の中で「ネイチャーが見たい」という奥様のリクエストがあり、うーん、久しぶりに北鎌倉から銭洗弁天からの佐助稲荷経由ハイキングコースで、最後大仏見てビーチか…と思ったのだけど、そのコース、ここ20年くらい行ってないよなぁ…。まだあるのかな、あの山道…などと考えながら旅は進む。
でも天気は最高で、青空や木々の緑が本当に綺麗でした。銭洗弁天にたどり着くまでは結構な山道を散策。これはめちゃくちゃウケた。よかった。
そして銭洗弁天。久しぶりに行ったよ。抜ける緑が本当に綺麗。こんな場所だったっけ〜? 平日だったので、それほど観光客はいないかと思いきや、子供たちの修学旅行?だったのか、とにかく子供が多かった!
で、銭洗弁天から佐助稲荷へ抜けて…と。
そして、悲しいことに佐助稲荷から大仏まで抜けるコースは今、閉鎖されているという事実を佐助稲荷で知る。とほほ。どうやら土砂崩れかなにかで閉鎖になったらしい。
仕方がないので、レジデンシャルエリアを歩きつつも、彼らは途中カマキリを見つけたりして喜んでいたのでした。長女のイーヴィーの手に乗るカマキリ。
大仏を見たあとは由比ヶ浜でまったり。…うむ。こういうのが結局一番好きらしいマーティンのファミリー。
とはいえ、円覚寺に山道、銭洗弁天に大仏と、外国人同伴コースにしては、割と効率よく回れたかも。
こちらは北鎌倉の某お寺に止まっていたコーヒーヴァン。マーティンは、昔からコーヒーが大好き。でもスターバックスは今、ラウー全員でボイコットしているんだって。
息子が見つけたこんなキットカット。どんな味なのだろう…
マーティンのお嬢さんは、12歳くらいで、おしゃれをしたいお年頃。
長い髪は朝から縦ロールにしっかり巻き(笑)、スカートは東京で購入したというふわふわのピンクのチュール素材(あぁいうのって、なんて呼ぶんだろう)で、まるでお姫様みたいな格好してた。
「こういうスカートって、どうやって洗うんだろうね」と聞いたら「日本で買ったし、初めてだから自分でもわからない」とか言ってたよ(笑)
ドライクリーニングに出すしかないのか。洗うのは洗えるだろうけど、じょうずに乾かすにはテクニックがいりそう… ふふふ、でも可愛いよねぇ。めちゃくちゃパパっ子のお嬢さんでした。
そしてどこで習ったんだか、イーヴィーは、こんな文字を砂浜に書いたのでした。
マーティン一家はお寿司が大好きで、「ビーチに寿司屋はないかなぁ」とかずっと言っていた。そんなものは、ないって(笑)
そして帰りの電車に乗る前にも、テイクアウトの寿司屋によって、鉄火巻きを買っていた。どんだけ寿司が好きなんじゃい!?
というわけで、彼らを宿泊先の浅草に送りとどけ、そこでも再び寿司を食べ(笑)、その後大きな通りに出て「これからも頑張ってバンド続けてね」とサヨナラを言ったら、なんだか私はものすごーーーーく寂しくなってしまい、鼻の奥がつーーんとした。
これで最後のお別れになるのだろうか。
1日だけだけど、仲良し家族と一緒で、なんか楽しかったなぁ。インゲに散々「 Celtic Connectionsに来い」と誘われたけれど… うーん、でもきっともう行かない。
さようなら、マーティン一家。さようなら、私のLAU。
これで本当にツアーが終わった。
さようなら、私の青春(大袈裟・笑)