試写で拝見しました。ありがとうございます。
不思議な映画だった。アジアや欧州では絶対にできないだろうなぁ、みたいな色彩感覚。不思議な世界。ドミニカ共和国の映画だそうです。80分ほどであっという間に終わる。公式サイトはこちら。
正直、言葉で説明しようとすると、なかなかに難しい。そして、いろんなアニメーターが集まって一つの作品を作っているということもあって、この、統一性のない感じが、またもやいい味を出している。
こういうの、どっかの国みたいに商業的に成功した強い監督がいるような場所では実現できないよね、きっと。それがすごく面白い。
ドミニカ共和国はカリヴの小さな国。でも東京都くらいの人口が、高知県と九州を足したくらいのサイズの領土に住んでいる。1,000万人以上いるわけだから、ヨーロッパの小国よりもずっと大きい。
ドミニカって、二つあって、その点はコンゴと一緒だね。ドミニカ共和国は元スペイン領でスペイン語が話されている。一方ドミニカ国は元イギリス領で、こっちは英語圏なんだよね。
このアニメーション、アニメというよりアート映画だと思う。世界各国からの評価がものすごく高くって、東京国際映画祭に去年出品されて話題に。その後、アヌシーやロカルノ、ロンドン映画祭などでもたくさんの賞を受賞しているそうだ。
こういうの、「いわゆるアニメ」が固まってしまった日本では、なかなか難しいかもだけど、とにかくユニーク。
正直、ストーリーはなかなかに謎で、どうしてそういう展開になる??みたいなこともたくさんあるんだけど、まぁ、面倒くさいこと考えず、とにかくこの世界を楽しんじゃおう!という感じだ。80分であっという間に終わるのも良い。
これはなんのメタファーなんだろう、みたいに考えるのもいい。テーマは、なんと男女の「愛」なのだから。
ちょっと前にここでも紹介した『オオカミの家』『骨』にも通じるものもある??? あれはチリ人の監督だったっけか。あれも確かイメージフォーラムでかかって火が着いたのだし、何がきっかけで本作もヒットしてもおかしくないのでは?
本作の監督トマス・ビチャルド=エスパイヤ監督のインタビューを資料としていただいたけど、それによると監督は『オオカミの家』には明らかに影響を受けていると発言している他、ベルイマン(!)の『野いちご』(1957)、『ある結婚の風景』(1974)なども好きな映画として名前があげられています。なるほど。
とくに『ある結婚の風景』における「学校では数学や歴史などいろいろ教わるのに、人を愛する方法、人とつながる方法は教えてくれない。だから僕たちは『感情の文盲』として社会に出ていく」というセリフは、ビチャルド=エスパイヤ監督の大好きな言葉だそう。
なるほど、それは、ちょっとこの映画につながる切なさかもね。
1月6日から公開。ぜひスクリーンで、お楽しみください。
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◎1996年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろすことにしました。公式サイトは近日中にアーカイブ化する予定。主催公演や招聘はもう行う予定はありませんが、2026年も若干雇われ案件(笑)があるので、それはゆっくりとこなしていきます。
PRの仕事は続ける「かも」しれませんが、まぁ、それはクライアントさんあってのことだからなぁ。どうなるかなぁ。しばらくはのんびりします。

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