ポール・ブレイディ 東京滞在記 DAY 5 渋谷WWW公演

 


岸野さんが素敵なイラストを描いてくれたのだった。開演前にステージに飾りました。


ポールの全てを拾うマイク。アイルランドからご持参です。ポールから見た景色。


山口さん、ありがとう。








音はいつものWAVES、小林巨匠。でもこういうマイクセットだと、ほとんどアコースティックなので「やることないや」とか余裕なこと言っていた。ま、実際そうなんだけど。でも、巨匠、ありがとうございます。

そして、写真があまり上手じゃないけれど(すべてリハ中の写真)、このライブハウスにあるまじき素晴らしい照明演出はInner Filamentsの小宮・橋本組のアイディア。私は何も言ってません。

特にステージとか、私にはセンスがないから、出来上がったものに好きか嫌いしか言えない。それにしても、このセッティング大好き!! この素晴らしい照明!! 感激! 自慢!

それにしても表周りのH恵ちゃんを含め、私は現場を助けてくれるスタッフに恵まれた。そしてO野さんを始めとするWWWのスタッフさんも、本当にありがとう。

この日のことは、もうすでによく覚えていない。なんか頭も飛んでいたし、覚えていることはただただ山口さん、ありがとう、お客さん、ありがとう、スタッフの皆さん、ありがとう、ということだけだ。

山口さんを呼ぼうと言ったのはポールだった。私は同じことを繰り返すのは、あまり好きではなく「あぁ、THE MUSIC PLANTね、よく山口さんを呼んでいるよね」とか思われるのも嫌だった。

でもポールが「洋はどうしているんだ」と言い出したのだ。

私としては、最初オープニングアクトで、スーマーさんとかありかな、ちらっと思ったりもした。というのはポールはNetflixで見たらしい『深夜食堂』の大ファンだから。

ちなみに私はスーマーさんとは面識はない。でもライブは一度見たことがある。(あぁいう食堂に一度ポールを連れていってあげたかったよなぁ… まぁ、そんな余裕もなかったけれど)

でも共演はどう考えても絶対に無理だろうから、でもオープニングアクトでお願いしてみようかな…とちらっと思っていたのだ。

で、ポールにそれを話したら、ポールは洋を呼べと言う。

私はもう最後なんだし、好きにさせてやるか(なぜか上から目線、すみません)と思い、山口さんにメールをいれたら、月曜日ということもあったのか、忙しいだろうにスケジュールは空いているということになり、晴れてお願いすることになった。

でも結果から見たら、山口さんじゃなければ、このライブはありえなかったと思う。

当日は、またもや高いワインを買って、楽屋に入れておいた。ワイン作戦だ! ワイン! ビールも欲しいと言っていたから数本入れた。

もう好きにして…! そういう気持ちだった。

チケットは高額だったのに、お客さんがよく買ってくれて、無事にソールドアウトとなった。開場したら、実は関係者的な方もチケットを買って来てくれていて、本当に心から感謝だった。

ありがとうございます。本当ならちゃんとご招待しなくちゃいけなかったのに。本当に嬉しかった。ありがとうございます。

私は会場に張りつきで、ポールをホテルに迎えに行くのは、出来る後輩のAkikoにやってもらった。もう私は集中力が限界で、ポールの相手をするのも疲れちゃってたんだわ。

前の晩、ポールはAkikoは面白いなと評価高かったし、彼女なら大丈夫だろうということで。私はもうポールとは、なるべく離れていたい、そういう気持ちだった。

サウンドチェックも山口さんが早めに会場入りし、ひと通り進めておいてくれたから、スタッフも必要以上に緊張する必要はなかったし、会場に到着したポールは、ほとんどやることがなかった。本当に助かる… こういうの、他の人だったら絶対に無理!

公演については、あまり書くことがない。というか、実は私はほとんど公演を見ていない。別にポールの演奏中、忙しかったわけではない。

もう最後と思ってスタッフは潤沢にお願いしていたし、見ようと思えば見れた。その理由はなんとなくわかってください。でもポールはとにかくすごい集中力で、力を出し切った。まさにそういうステージだった。

ここでも素晴らしいのは山口さんで、ポールのことをギターで歌で、とにかく全力で支えてくれた。ううう、本当にありがとう。

山口さんは公演が終わると、とっとと着替えて自分の荷物を車に戻すと「僕は両手が空いているから荷物運ぶよ」とか言ってくれて、女子チームだったらウチらは、ものすごい助かった。

そうそう、そもそも山口さんには当日配るチラシや即売グッズはないですか?と声はかけていた。あんなに丁寧にプロモーションもご自身でやられている方だから、もしかしたら、そこで数枚でも何かが売れるかもしれないじゃないか。

スタッフにも山口さん見かけたら折り込みや販売物はないか確認してね、と声もかけていたのだけど、でもこの日の山口さんは、ポールのサポートに徹することにしていたのだろう、HEATWAVEの大きな公演を数日後に控えていたというのにチラシすら持ってこなかった。

すごい。徹底している。ウチのスタッフも全員が感動していた。

公演が終わると、会場との精算などがあったので、打ち上げに私は後から遅れていった。駆けつけると、出来る後輩のAkikoとN本が参加してくれていて、ポールの面倒を見ていてくれた。ポールはすっかりご機嫌で出来上がっていた。私も、なんか心からリラックスできた時間だった。

すでにAkikoが気の利いたメニューを頼んでくれていて、私がパクパクすごい勢いで食べていたら、山口さんが「よく食べるなぁ」といたく感動していた。

そういや、よく考えたら、山口さんにはちゃんと病気のことを話せてなかった。私がガンになった時(というか先生から告知を受けた、まさにその日)、たまたまとある友人(友人なのか、彼女は…)二人とご飯を食べる約束をしていた。

そこで気楽に病気のことを話したら、そのうちの一人は山口さんと面識があったのだけど、数日後に会った山口さんに、なんと私の病気のことを伝えてしまったのだ。

なんというか、ちょっとありえないんだけど、まぁ、なんというか…。しかもしゃあしゃあと本人がそれをメールしてきて、私はさらりと返事を書いて交わしたけど、心の中では激怒していた。

だから、なんというか、山口さんには必要以上に心配かけたと思う。実際、病気になってから山口さんとは直接会ったりする機会がなかった。

一方、私の方といえば山口さんに会っていない感覚はあまりなかった。というのもライブには行っていたから。

でも分かってもらえると思うけど、ライブの後って、あんまり本人に話しかけたくないんだよね。だから挨拶とかしないで、帰った。音楽を聴いて感じたいことや会場雰囲気を、なんとなく大事にしたいから。

それはともかく、打ち上げの場でも、なんとなく病気の話になって、山口さんのお母さまの話になり、お母さまが亡くなった時の話題になった時、これはちょっと書いていいのかわからないけれど、

(でも山口さんは、こういう時、いつも「書いていいよ、そのまま書いていい」って言うので、なんとなくそのまま書くと)

お母さまが亡くなった時に山口さんが実行された、とあることを私が「いいなぁ、それ素敵だなぁ」「私もそれがいいなぁ」となんの気無しに言ったら、そしたら、山口さんったら「それ、俺がやるよ」って前のめり気味にすぐ言ってくれたのだった。「俺が生きてたら、俺がやる」と。

うううう…、かっこよすぎるよ、山口さん。…とか書いていて、私は泣きそうである。って言うか、これ書きながら実は泣いている。

山口さんのファンの皆さん、山口さんって、本当にそういう人なんです。

いいんだよ、洋(なぜか呼び捨て)。別に何もしなくてもいいんだよ。私の場合、葬式だって、たぶんやらないような気もしている。でもそういう風に、その場で速攻で声をかけてくれるのが友情なんだよな、と思った。

なんというか、人間の大きさと言うか。優しさで、素敵だなって本当に思った。いいよなぁ。私もそういう人間になりたい。この仕事をしていて素晴らしいのは、そういう出会いがあるということだ。この出会いは宝物。

このことはずっと覚えておく。山口さん、本当にありがとうございました。

あ、ポールが置き去りになってしまった(笑)。

ポールと私は渋谷でみんなに見送られてバイバイ。拾ってもらったタクシーで、そのまま滞在しているホテルへ向かったのでした。

ポールはタクシーに乗ったとたん寝落ちして、でも、距離は近かったので、あっという間にホテルに到着。ギターは1台は私が自宅へ持ち帰り、そのままギター屋さんへ返却ということにあった。

残り2台をフロントに預け、明日空港ピックアップの時間に拾うべく手配。いいホテル、って本当に助かる。で、私はそのまま乗って来たタクシーで自宅へ。

翌日のフライトは、かなり遅い時間で、空港出迎えは18:30 とかだった。さすが高いホテルに連泊していたこともあり、ホテルは親切にも通常10時のチェックアウト時間を午後1時にしてくれた。助かる。

山口さんはその日のうちにポールにも私にも丁寧なお礼のメールをくれた。私はと言えば、ボロボロでもうメールを書く元気もなかった。

山口さんは素敵なブログまで書いてくれた。なんていうか、そうなんだ。毎日をきちんと生きている人はこうなんだ、って思った。ひとつひとつの戦いを丁寧に終わらせ、そして次の戦いの場へと行く。

一方、私の戦いは終わったのだから、ブログはサボってしまおうと思った。それでも、山口さんにお礼のメールだけ数日後に入れた。

で、やっと今日ここにブログをアップした。写真は打ち上げで食べたお魚!


ありがとう。これもすべて音楽のなせるマジックだよね。

   

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◎1996年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろすことにしました。公式サイトは近日中にアーカイブ化する予定。自分の主催公演や招聘はもうやりません。ただ2026年も若干の雇われ・お手伝い案件(笑)があるので、そちらはゆっくりとこなしていく予定です。

◎現在リリースしたCDの販売は終了しておりますが、書籍はあいかわらず販売しております。アイルランド名盤ガイド。楽曲への配信のリンク(Spotify)や、来日時のインタビュー、エッセイなど充実の内容。ポール・ブレイディ、メアリー・ブラック、マーティン・ヘイズ&デニス・カヒルの3冊です。こちらへどうぞ。

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