グレンがもうすぐやってくる!



さーて、グレンがもうすぐやってきますよ。ホント嬉しい。またあの元気が分けてもらえる。早く来ないかなー。リクエストなどありましたら、ぜひぜひメールください。本人に渡します。もっともどこも狭い会場。リクエストは叫べばやってくれますよ、きっと。手紙書いてきてくれて、会場の受付に渡してくれてもいいし。そういや2年前の京都では歌詞を書いてもってきたお客さんもいましたなぁ(笑)

それにしてもグレンのライブにかける集中力たるや本当にすごいと思う。ステージをお客さん側から見ていると本人ビールを飲みながらのらりくらりとやっているように見えるでしょ? でもそうじゃないの,実際は。本当にステージに向けて万全を整える、その様子は端から見ていると,実はちょっと痛々しいくらいなのよ。伝統音楽系の連中がまったく自然に音楽をやっていて日常の延長でステージに出るのと比べるとすごい違いだと思う。時々ものすごい緊張してしまうこともあるらしく(今回も何せ急にデカい会場から小さくなるので、ちょっと心配)、こんなことをブログに書くとグレンが嫌がるかもしれないけど、とにかくあのステージにかける情熱は、ちょっとウチの他のどのアーティストとも比べられない。(ちなみにほんとにリラックスしたグレンは、ほとんど黙っている。ペラペラしゃべって盛り上げているのはステージ上のキャラクターだ。だから結構ツアー中、二人で落ち着いて食事をする時や移動の時などは、ずっと黙って窓の外の景色をみていることが多い。でも打ち上げでも、知らない第3者が来ると、またペラペラとしゃべり始めるので、根っからそういう2面性のある性格なんだろうなと思う)

この話,多分前にもここに書いたことがあったと思うのだけど、また改めて書きますね。グレンはもちろん、私はウチのアーティストが来れば、自分が主催でなくても(この前のケルクリみたいに)、ツアーはずっと付いて行くし、海外にも何度も観に行くし、とにかく何度も回数を観るわけだから、自分のアーティストなら「あ,今日は調子いいな」とか「うーん、いまいち」「集中してないな」とかすぐ見分ける事ができる。いつだったかの日本ツアーの時、グレンは毎晩毎晩集中力が増して、とにかくみるみる演奏が良くなっていったことがあった。でも最後から2日目はちょっと疲れがでたのか、いまいちの出来だった。そして最後の最後。ラストチャンス。ツアーの最終日という日。この日はもう最高に盛り上がるだろうと私もグレンも確信してたんだけど、実は2セットやったうちの前半の調子がいまいちだったんだよね。(いや、もちろんこのイマイチってのは、もちろん95点以上のことを言っているんですよ。こんなのに気づくのは本人と私と、全国おっかけの方くらいだと思う)

前半のステージが終わり休憩になって、楽屋に戻ってきたグレンは、いつもどおり、お部屋にこもるわけで、私も滅多な事じゃ話かけないのだけど、私がちらっと部屋をのぞいてビールを持っていったら、グレンは私に「ヨーコ、何もいうな。自分のことは自分で分ってるんだ。後半は絶対に良くしてみせるから」と私の目をみて力強く言ったのだった。

そのとき,思った。この人のライブにかける情熱はただものではない、と。こういう「絶対になんとかする根性」は、もしかすると北欧のバンドでは少ないかもしれない。アイリッシュには多少みられる。でも、やっぱりグレンほど一晩一晩のステージに100%の情熱をそそぐ人は本当にレアだと思うのだ。少なくとも、私はグレン以外には知らない。もしかしたらポールもそれに近いものがあるかな。ポールの方はステージのパフォーマンスも充分ピリピリしているから、お客さんが、本人のテンションを想像するのは簡単だと思うけど。

お客さんにとっては、6000円とか、5000円とか、2000円のチケットだから、たま〜に、お客さんからツアーを全部買いしめたんじゃないのみたいなコメントが来ると、私はムッとしちゃうのだけど(笑)、いったんステージで公表したものについては、主催者(私)も、アーティスト(グレン)も、責任をもって受け止めるしかないのだ。だから「今日は良くなかった」と言われることは、いつでも覚悟してなくちゃいけない。お客さんにとっては1回きりの貴重なライブなのだから。チケット代だけじゃなく、自分の貴重な時間も交通費も裂いて、来てくれたわけだから。だからアーティストも主催者も良いものを提供しようと必死になるわけだけど、それでもやっぱり人間だから、巧くいかない時もある。というか、巧くいかない時の方が多い。でも必死でお客さんにまた戻ってきてもらえるようにアーティストも主催者も頑張る。頑張るのだ。ウチのアーティスト、全員、みんな本当に頑張っている。めちゃくちゃみんな努力家なのだ。が、それにしても、だ。グレンの集中度は尋常ではない。グレンはいったい何を目指して歌っているんだろうか。私も自分なりの解釈があるのだけど、今だそれを人に説明するまではまだはっきりと理解していないと自分でも思っている。この人の音楽にかける気持ちは、本当に通常の人間を遥かに超えたものがある。「音楽」っていうより「ステージ」と言った方がいいかな。この人からステージを取ったら、いったい何が残るんだろう、と思う。お客が2人いれば、グレンは何も戸惑うことなくステージを作るだろう。グレンからステージを取ったら、たぶん死んじゃうんじゃないかとも思う。そのくらいステージにかけているんだよね、グレンはね。

気を付けないとホント食べ物を食べるのもストップしてライヴに気持ちが行っちゃうので、ホント身体によくない。一度ステージから戻ってきて「あぁ、なんかお腹に力が入らなかった。何か食べておけば良かった」とボヤいていたことがあったので、それ以来、必ずグレンの好きなお寿司を少しだけ楽屋に必ず入れるようにしている。で、だいたいは「食べたくない」って言われるのだけど、「いつだったか“食べておけば良かった”ってステージから戻ってきたことあったじゃない?」と言うと、グレンは無理にでも口にお寿司を運ぶ。いつもそんな感じだ。

さらに言うと、お寿司を割とたっぷり楽屋にいれてあげたら、あいかわらず「食べたくない」といってステージにあがってしまい、そのままステージをこなし、「あ〜今日のライヴも良かった。お腹すいたな。打ち上げは何かおいしいもの食べにいこう」と私が楽屋にいったら、グレンは、すでにクタびれたテイクアウトのお寿司をペロリとすべて平らげていて「もー、死ぬほどお腹すいた。倒れるかと思った」なんて言うから「なんだ、これからおいしいもの食べにいこうと思ったのに〜っっ!」ってな事もあった。

と、つまりそういう食欲のコントロールがまったくできなくなってしまうんである。ちょっと信じられないでしょ? 

そんなグレンのものすごいステージがまた日本で観られる。今回のツアーは実は前回のツアーが終わったとき、速攻で日程を押さえたから実現した。スクイーズがこんなに成功している今、次のスケジュールがもらえるかどうかは、まったく分らない。私も保障しません。ウチもこの仕事いつまで続けるかホント分らないし。なので、ぜひぜひ皆さん、これが最後と思って、ぜひ会場に足をお運びください! グレンが間違いなく会場に来たあなたに元気を分けてくれますよ。