マーティン・ヘイズはアイリッシュミュージック界のマイルス・デイヴィスだと思う



ホントに私は幸せなプロモーターだ。特に我がMUSIC PLANTの2011年のラインアップは、世界で一番すごいプロモーターと言っていいくらいだろう。すべてがトップクラス。すごいよ、自分(笑)。よくブッキングした! 偉い! 責任もものすごく重いけど,その分、頑張らないとと勇気が湧いてくる。なんてったって、こんなにすごい音楽を紹介しているのだから。

今日は今日で、全然別件でマーティン・ヘイズがどんなに素晴らしいか人に話していたら、またもやマーティンはすごいやという気持ちが自分の中で盛り上がってしまい,止まらなくなってしまった。仕方ないので,今日はずっとマーティンとデニスのCDを聞いている。

そうなんだ。マーティン・ヘイズはアイリッシュミュージック界のマイルス・デイヴィスだと思う。なんかホカと次元が違うんだよね。これぞ魂の音楽。アイリッシュ・ソウルだと思う。人間のドロドロした感情や、本能的でありながら、ものすごいはかなくて危ういものがこの音楽の中に集約されている。松山晋也さんが、すごく前にマガジンのCD評で「あまりにも官能的」とマーティンの音楽を説明していたが、「官能的」というのは非常にぴったりくる表現だと思ったよ。晋ちゃん、さすが!!

そしてデニスがいいんだ、これが。デニスがまったく弾かないんだよね。どうしたらあんなに弾かずに入れるんだろう。すごい。点描のように描かれる音の風景はギターではなく、ピアノのそれだ。そうそうデニスはビル・エヴァンスが大好きだと言っていた。ときどきワルツ・フォー・デビーを楽屋で弾いていた。確かに! 分るよ、その感じ。

この映像、途中からお客の手拍子が入るのがうっとおしいけど,ちゃんとマーティン、振り切りますので、安心して(笑)我慢して聞いてください。(その点、ウチのお客さんは手拍子しないもん、ちゃんと音を聞いているよね! ちなみにいつだったかTVでみたユーミンのコンサートでは、お客さんがはじめから終わりまで手拍子していたのに私はドン引きしてしまった)

ちなみに二人のこの音楽について、おおしまゆたかさんの素晴らしいコメントをご紹介しましょう。
「美しい音楽だ。こういう類の美しさを伝統音楽の、それもダンス・チューン演奏から感じたことはかつてなかった。たとえば……そう、こんなのはどうだろうか。衛星軌道上から見た巨大な台風、真っ青な海の上に盛り上がり、静かに渦を巻いている純白の雲の塊。あるいは数千億の星を集めて、静かに穏やかに回転する渦巻き星雲。なぜならここでは周囲の沈黙が聞こえるからだ。
(大島豊『アイリッシュ・ミュージックの森』より CD『ザ・ロンサム・タッチ』のレビュー)

そう、熱心に一音ももらさないように聞いているお客さんの沈黙が聴こえるんだよね。なんてすごい音楽。そうそう、おおしまさんが書いてくれた2年前のライブレビューも感動的。まさにおっしゃるとおり、二人と同時代に生きている事にただただ感謝したい。

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