ヴェーセンはいいな。まったく、もー!



しかしヴェーセンは本当にかっこいい! 前回の来日から2年くらいあいた。すごーく、すごーく長くあいたような気がする。前の来日は5度目の来日だった。たった5年の間に5回来日は、外タレとしては、ちとやりすぎだろうと自分では思ったのだ。だから今回は2年あけた。

でも……長い、長かったよ、長すぎたよ、ヴェーセン。2年なんて待てるわけがなかった。そうだ。ヴェーセンが、私にとっては世界一番かっこいいバンドなのだった。忘れてたよ。本当に忘れてた。

それにしても、ヴェーセンとマーティン&デニスの共演なんて、我ながらすごい企画を思いついたと思う。私はあちこちのフェスティバル形式のライブで行われる、いわゆる「カム・オール・ヤ Come All Ye」的なアンコールの大セッションが大嫌いなのであった。それは確かにビジュアル的には素晴らしいものだが、音楽的にはまったくつまらないと言っていいだろう。お客さんは大抵「あのアーティストとこのアーティストが一緒に同じステージで演奏した!」ってなだけで、えらく感激してくれる。だがそこに甘えてはいけない。お客さん、ちゃんと音を聴かないとダメですよ。

私がプロデュースするからには、音楽的に最高のものをお届けしなくてはいけない。カムオールヤには絶対にさせない。この2バンドが「ちゃんと」共演しないとつまらない。

実際自慢するわけではないが、こういうちゃんとした共演はフォークの世界ではあまりない。一つは皆に予算がないことが上げられる。みんな実際、ものすごい忙しいし、リハーサルのためにスケジュールをあけるのは至難の技だ。ツアー中にリハの日なんてわざわざ取れない。当日サウンドチェックの合間にちょいちょいとやってしまうのが実際なのである。そして、まぁ彼らが普段からものすごい才能で曲を記憶し演奏する技術を兼ね備えていることから、ある程度、なんとかなってしまう……というもまた理由の一つ。

だからちゃんとした共演なんて、レコーディングを一緒に行ったバンドでなければ、ありえない。ヴェーセンもマーティン&デイスも実際「ちゃんと」共演するのは初めてだ。いつだったかマーティンは「ほら、ヴェーセンの曲、俺だって弾けるんだよ」と言って、確か「キャプテンキャプシール」だかなんだかを楽屋で弾いてくれたけど、そんなのユニゾンでやってもつまんないんだよ。

ちなみにリハの時間の設定についても、ちゃんと作戦をたてた。たぶんアイリッシュ側に「リハどのくらい必要?」と聞いたら絶対に「当日でいいよ」と流されちゃう可能性が高い。なのでヴェーセンの連中に仕切らせることにした。ちょうどマーティンとヴェーセンが、スェーデンだかどっかのフェスで一緒にやっている日があったので、そのタイミングでヴェーセンの方に「そっちでマーティンたちと話し合って,何時間くらい必要かだけ確認しておいて」とメールを入れた。

で、出た答えは5時間。なのでみっちり前日にリハーサルルームを取って5時間リハーサルをする。ふふふ。見ておれ、お客さん!! おそらく世界中のコンサートプロモーター、誰も作りえなかった最高の音楽を私はあなたにお届けすることができるだろう。そして、あなたはそれを体験することになるのだ。

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