ツアー終わって、ほっ… KANを総括

KANのツアーが終わった。すっごくホッとしている。昨年以上に彼らはパワーアップしてた。いろんな意味で…

5月のメアリー・ブラックの公演がホントに心あたたまる、音楽的にも内容的にも最高のツアーで、「ホント彼女は完璧だな」「人生こうでなくっちゃなー」といろいろ感動していた、その直後であった。メアリーの公演は2日間で4回あった。初日の1回目は私はほとんどずっと泣いてた。あとの3回はそうでもなかったけど、「ノー・フロンティアーズ」を娘のローシンが途中から歌う瞬間。あれはホントに何度聞いても泣けた。メアリーは最後の最後に私がリクエストした「Don't Say Okay」をやってくれた。最後しんみりとせずに明るく元気に終わったのが良かったと思う。メアリーに25年間のお礼を言いたかったのだけど、なんだか言うと泣けてきそうで、普通に、普段の、普段通りのツアーとして終わった。それがなんだか素敵だった。そして公演のあとに出た朝日新聞と毎日新聞のレビューがまたもや最高だった。こんなにパワフルなレビューが大きな新聞に2つも出て、こんなに名誉なことはない。メアリー、25年間、私を引っ張って来てくれたのは、あなたとあなたの音楽です。本当にありがとう。本当に心から誇りに思える公演だった。私ももういつでも引退してもいいや、と思った…あぁ、なんて幸せは私。

………と幸せに浸っていたところに……奴らはやってきた。KAN。そして彼らはパワーアップしていた。いろんな意味で。昔こそ、あれこれ手のかかるバンドをすべて神様のような心で許し、強靭な精神力と若さでツアーしてきた私だったが、今やわたしも48歳。体力もなくなり、かつ何事においても優秀な北欧勢にチヤホヤされ、甘やかされ、もうそういう低レベルのツアーには関わるまいと最近は決めている…そんな身体に、こういうツアーはホントにきつい。でもハメを外した翌朝、メンバーが嬉しそうに「昨日は初めて〜〜した」「〜〜に行った」「そしたらあ〜だった、こうだった」とか楽しそうに話すのを聞くたびに、地元のツアーでは彼らも苦労は多いんだし、日本にいる時くらい好きにさせてあげようと思ってしまうのであった… まぁいいや、多くは語るまい。でもホントに大変でした。今回も。前回以上に。

でもって、何が一番すごかったかというと、実は音楽が最強だったんだわ…。こんなに素晴らしいバンドは今、どこを探してもいない。これは断言できるだろう。ブライアンやエイダンの、こういうクールでホットな感じとか…! ホントにすごいバンドだよ。そしてやっぱりドラムが最高にいいんだよねー。本当にこんなにかっこいいバンドは他にはいないだろう。

いわゆるバンドのなりたちがトラッドではなく「ロックバンド」っぽいからこんなに手がかかるのだろうか。ウチの手のかかるバンドの一つにアラマーイルマン・ヴァサラットってのもいるのだが、あそこはそれでもスタクラがリーダーとして一定の恐怖政治をひいているので、バンド内にまとまりがありハンドルしやすい。「バンドだから手がかかるのかねぇ…」とつぶやけば、スタッフで来ていたNミカが「先日来てたフィンランドのメタルの皆さんは全然手がかかりませんでしたよ」と言う(爆)。ありがとう、Nみか。そうだよね、昨今はヘヴィメタだってみんなちゃんとしてるよね…

あぁ、KAN。メンバーの一人から「もうこのバンドやりたくなくなっちゃったでしょ」と同情される。いずれにしても今の私にはリハビリが必要だ。でも、こういうバンドがいると、しょうがないけど、やっぱり私がやんなくちゃダメなんだろうな、と思う。これが苦労してもお金がすごーくもうかるならいいよ、でもまったくもって全然ダメダメなんだもの。そして疲労度マックス。でも音楽は…ホントに音楽は最高にかっこよかったんだわ! 非の打ち所もなかった。この音楽のためだったら、なんでも出来る!!!ってホントに心からそう思ったよ。この音楽の前にはすべてが小さい!!って。

次の来日はあるんだろうか。今の私には分からない。バンドの状況も変わって行くだろうし、私にはリハビリは必要だ。でも… あのすごい音楽を聞くともう他のことはどうでもよくなっちゃうんだよね。いや、本当にミュージシャンってずるい! ずるすぎるよー(涙)

ペッテリを見送った日の午後、駒込の温泉で2時間ほどゆっくりしマッサージ。この費用はKANの方のツアーにつけておこう(ニヤリ)。それが私の小さくてささやかな奴らへのリベンジだ!?

でも誤解しないでください。結局のところ、いろいろあってたとしても、今の日本で彼らを一番愛しているのは私であることは間違いないのだから。他の誰がこんなリスクをおって彼らを日本に呼ぼうというのだろう。

絶対に断言出来るのは「また彼らを日本で見たい」と一番強く思っているのは、他の誰でもなく私だって事。だから簡単に「野崎さん、また呼んでください」とか言わないように(笑)「名古屋願いします」とかメンション投げないように。「ちくしょう〜札幌こないのかよー」とかつぶやいてもいいけど、私にばれないようにつぶやいてください(笑)

あ、でも「ウチでチケット100枚買い取りますから福岡来てください」って言ってもらえるなら嬉しいです!!…って、私、お客さんに甘えてどうする?!    でもいつも言うようにネットがここまで発達し、いろいろ個人でも発信できるようになった今、早くそう言う動きになって、インディーバンドがもっと気軽に日本に来れるようにならないもんかといつも思っています。それが本音。

でも音楽は…最強に良かった。こんなにすごい音楽やってて、なんでもっと売れないんだろう、と思った。私の力が足りないんだな、きっと。ホントに悔しいけどこんなに素敵なバンドは他にはいない。ありがとう、KAN。そうね、一応、また来てね、と書いておく(笑)

しかしペッテリのものすごい公演がマンダラであって、あっちはソールドアウトだったし、いろんな意味でビジネス的なことはまだまだでも、内容が200%充実で、ペッテリは手のかからないホントにいい子で、最高中の最高で、何一つとして文句はないのだが… 

ただ残念ながら…あえて残念ながら、と言ってしまおう…音楽のことを言ってしまうとKANの方が圧倒的に私の好みであり、私のすべてがあそこに凝縮されている感じがするのはいなめないのだ。これも20年ちかくこのテの音楽をやってきたせいだろうか。もう身体にしみついちゃってるのかもしれない。いや、比べるのも申し訳ないよな。でもペッテリがある程度まで言ったら私の手を離れるだろうなと感じるのに対し、KANはやっぱりウチのバンドであり続けていくしかないのだろう、とも思う。プランクトンさんが面倒みてくれれば、それに越したことはないんだが… 正直このテのジャンルにはほとほとくたびれたよ、私は。でもって何とか他のエリアに手を伸ばそうとするのだが、結局ここへ戻ってくる…そういう感じか? 

正直今後このバンドをどうやってやってやって行けばいいのか、まったく想像がつかない。今回やったこのツアーの結果が現在のバンドの動員力であり、実力だ。正直、思ったような結果は出せていない。そしてこれ以上大きく飛躍することはほとんど可能性としてはないと言って良いだろう。地道に続けて行く以外まったく方法はない。一方で同時期に来日してたペッテリは、あれもやりたい、これもできる…と想像が限りなく広がる。内側のバタバタではなく外に向かうことに時間が使える。だから仕事がものすごいクリエイティブで楽しいのだ。あぁいう仕事だったら赤字だろうが、なんだろうが絶対に続けて行きたい。

すみません、まとまりませんが、リハビリ期間が終わったら私もまた力をふりしぼって次の日程を決めます。今は、しばらくほおっておいてください(爆)

KANありがとう。最高の音楽だった。チケットを買ってくれた人は、自分の使ったチケット代の1枚、1枚がこの小さなツアーを支えていたことを忘れないでください。本当にありがとうございます。これからも彼らを応援してやってください。

 この写真好き。なんかバンド、って感じがするんだよね。
エイダンがくれたチーズが実は最高に美味かったんですよ。感動!! やっぱりいい音楽と食べ物は大事だ。