イスモ・アランコ(from Finland)来日決定!

今日は一つ面白い企画をご紹介します。北海道在住の工藤静華さんという方から連絡を受けたのはもう半年以上も前、11月のことでした。そこには工藤さんが自分の大好きなフィンランドのIsmo Alankoさんを日本に呼んでほしい、という事が書かれていました。

私は基本お客さんからのメールには必ず返事を書く方針なのですが、正直このテのメールには辟易していました。「いや〜、気持ちは分かりますけど、ウチも大変なんで。だいたいこういうメールよこす人って、結局のところ何も真剣に考えてないんですよね」と今,思えばかなり失礼な返事を書きました。

つまりホントに心からそのアーティストを呼ぼうなんて誰も考えておらず、皆ちょっとプロモーターにこんなアーティストもいますよと言ってみたいだけなんだ、と。

実際、ウチに来るこのテのメールの99.99%はそれです。誰も自分で何らかの責任を取る覚悟で物を言ってない。まぁ世の中、全部そんなもんなんです。そんなのにいちいちカリカリしてたら、身が持ちません。

メールを書いた人たちは「なんだよ、ちょっと話しかけただけで、なんでそこまで言われなくちゃいけないのかよ」と思われるかもしれませんが、私が普段そのくらい真剣に仕事やっているって事なんです。

そういう私に「〜呼んでください」って言える人物がいるとするなら、例えばウチのお客さんでほぼ100%チケットを毎回買ってくれているSさんなら私にそれを言う権利はあるかもしれない。

まぁ、でもこれファンの人だけじゃなくて、業界の人も同じだから、無理もないね。みんな、驚くほど簡単に「(自分の好きな)誰々呼んで〜」とか、「ソロじゃなくバンドで呼んで〜」「関西はないの?」とか、本当にびっくりほど簡単に言ってくる。相手がどんなに大変な気持ちで本当は大阪も名古屋も広島も福岡も札幌も全部回りたいのに出来なくて悔しく思っているか知らないくせに簡単にあれこれ言ってくる。

子供な私はそういうのに、いちいちカチンと来てるんです。私の気持ちなんて誰にも全然伝わってない。まぁ、でも世の中、概してそういうもんなんです。そして、まぁ、こう言う気持ちは、他のどんな職業においても言えることなので、私も簡単に人のやっている事に口を出さないようにって、いつも気をつけようって思うんですけど…。

でも私も人の仕事に余計なことを言って、イライラさせているかな、と。まぁ、世の中そんなもんなんです、ハイ。

前振りが長かった。それはともかくそんなわけで私は工藤さんに返事を書きました。「ウチのやってる音楽とはだいぶテイストが違うしウチの看板でプッシュするには無理がある。でも工藤さんが責任を持つ、というなら私は全力で応援しますよ」と。

だいたいはここで返事も来なくなり終る…というのが通常なんですよね。ホーレ、見た事か。誰も真剣に考えちゃいないのよ。とっとと退散しなさい。でもこっちは貴重な時間使って返事書いてんだから、お礼くらい言いなさいよ…といつも思いますけどね。でもそういう人がホントにほとんどなんです(笑)

ところが工藤さんの場合は違ってた。工藤さんは、もう何度もフィンランドに行ってイスモとも交流し、絶対に彼を日本に呼びたいと考えていた。つまり、すごく真剣だったのです。

そんなこんなで工藤さんの真剣度が理解できた私は、これはバッサリ切ってしまうのではなく、真剣に何かすることを考えなくちゃ、と思いました。正直、仕事仲間でもないのにタッグが組めるのか。仕事仲間だって、何らかのプロジェクトを組めば、相手がプロだったとしても普段一緒にやっていない人とは何らかの違和感が発生することが多い。

また一番大きな懸念は、ウチとテイストが違うものに手を出してウチのお客さんの信頼を裏切るものにならないのか、という事です。まぁ、どうだろ…別にアコースティックな伝統音楽だけやってるわけじゃないですけどね。で、ものすごく頑張って何かいいアイディアはないかと真剣に考えました。

なんとかこれを実現できる方法はないか…と。偶然にも昨年から「のざき塾」ってのをやっていたし、またウチは今年は6月以降、年内の主催公演がありません。つまり自由になる時間は結構あります。そして工藤さんとの数回のメール交換&スカイプ・ミーティングの後、数段階に交渉を分け、お互いストレスのない方法を捻りだし、現地のイスモさんに交渉。最終的にウチで公演制作のお手伝いをすることに決めたんです。

またお客さんには、この公演はこういう経緯で製作してます、というのを正直に話すことにしました。

イスモさんの公演は、来年1月に東京と札幌で行なわれます。なんと無料という形です。 今回、我ながら、なかなか面白い企画だなと思いましたが、いや、実際、今後世の中はそういう流れになっていって当然だと思うんです。今やSNSやインターネットを使って,誰でも情報発信が出来る時代です。「誰々呼んでください」とか「名古屋に来てください」とか言う前に、自分で行動を起こしてみましょう。

私はこの工藤さんとの企画を通して、それを皆さんに伝えたい。「あなたが真剣なら、私も真剣にお手伝いします」ということです。っていうか、あなたが真剣になれないのに、いったい他の誰が真剣になれるんですか?って事なんです。

今から来年の公演がホントに楽しみ! というわけで,この公演の詳細はこちら。小さな会場で人数は限られていますから、お早めにお申し込みください〜。

経緯はどうであれ、公演周りはウチがお手伝いしますし、当日の会場はどちらも私がとても信頼している会場です。また現場には私も立ち会いますから、きちんとした公演になることは間違いありません。どうぞ安心していらしてください。

すべての詳細はこちらの特設ページへ。