高野秀行さん「世にも奇妙なマラソン大会」を読みました。爆笑です。

 こちらも出張中に読んだ高野本のご紹介。最初の「世にも奇妙な〜」はポーランド出張の帰り道に読んだ。その後に収録されている作品は、ノルウェー出張の帰り道に呼んだ。飛行機の中って、せっかくだから観てない映画を観なくちゃと思うのだが、ついついKindleの中の高野本をよみ始めると止まらなくなり、ついには1冊読破してしまう。そんな事象は、東京で自分の部屋で読んでいて夜明けをみてしまうのにちょっと似ている。

最初の「世にも奇妙なマラソン大会」は中編。他は短篇。どれも爆笑爆笑爆笑の渦だ。たった15kmしか走ったことないのにいきなり過酷な砂漠でフルマラソンに参加してしまう表題作。そして特に(2)のおじさんにナンパされ「女性として大切にされる感覚」というのは笑った。爆笑。ゆるゆる飲む高野さんとおじさんの絵が浮かぶ。他にも戦争体験が語られる(語られそうになる)「人体実検バイト」や、「犬好きの血統」など短いながらもシャープな短篇が収録されている。アジア・アフリカ奇譚集の中でも「竹村先輩」の夢がかなった「二十年後」はちょっとグッとさせられる。こういう感覚は多くの人が普段あまり自覚せずに多くの人が感じている感覚じゃないか?

さすがである。どの作品もさすがである。そして、とっても気軽に読める。高野本の中では一番気楽に読める本ではないだろうか。まだ高野本を一冊も読んだことのない方にもお薦めです。 

編集は「本の雑誌」の杉江由次さん。さすが高野さんの相棒。これからも楽しい本をたくさん出してください。本当に幸せになれる一冊でした。