明日の朝10時から登録フォームをオープンにします、ナヌークのライブ公演。
ぜひ皆さん、奮ってご登録ください。なにせ無料なので(ドリンク代のみご負担いただきます)。
しかしもうすぐ来日というタイミングで、なんとあのニューヨークタイムズにナヌークのインタビューが掲載されて、びっくり!
確かにトランプのあの発言があってから、取材が殺到してて忙しいよ、とクリスチャン(ナヌーク、兄の方)に聞いていたのですが。すごい!
掲載された彼らの発言は、近いうちにまた改めて紹介したいと思っていますが、彼らの音楽活動の意味を私なりに、ここでご紹介したいと思います。ぜひお読みください。
まず、グリーンランドって、どんな国なんでしょうか。
あそこは本当に特殊な場所なんです。基本的にには氷で覆われていて植物はほとんど育ちません。樹木も背の高いものはない。南の方では多少じゃがいもが取れる地域もあるようですが、これはかなり限られている。
なので基本は輸入ですべて賄っている「秘境」に分類されます。
だから物がおそろしく高い。またお金を払ったからといって、良いものが手にできる北欧各国と違い、お金があっても、たいしたものが得られないというのがグリーンランドです。基本的に、ここは人間が住んではいけない場所なのかもしれません。
島は氷で覆われ、道路などできるわけもなく(あったとしても首都ヌークでさえ、メンテナンスが大変です)、集落から集落へは船、飛行機、ヘリコプターなどで移動します。当然鉄道なんぞあるはずもありません。
首都ヌークは、基本的にはデンマークからの入植者の街と言っていいと思います。人口は1万人ほどで、大きなビルが1軒ありますが、ほとんどはあの可愛らしいカラフルな小屋みたいな家がたちならぶのみ。
よく「野崎さん、グリーンランドの音楽シーンってどんな感じなんですか?」と聞かれるのですが、シーンなどありません。個々人のバンドや音楽があるだけです。
一方伝統音楽というと、これは宗教儀式の枠を出ないものです。太鼓を打ち鳴らしながら、「あーよ、あららー」みたいな感じで歌う「祈り」のようなパフォーマンス。過去にはイゴン・シキバットというすごい人もいましたが、基本観光客向けの人が多い。
それが現在のイヌイットの音楽です。(でもこれがまたかっこよかったりするんですよね!)
一方で、デンマーク本土で活躍するシンガーソングライター的な存在の人もいます。あともちろん70年代に活躍したスミというバンドも。(これについては
映画もあります)
また若者はナヌークのようなバンドを作ったり、結構人気があるのがヒップホップのグループ。彼らのパフォーマンスを現地で見たことがありますが、ラップは怒りのメッセージを伝えるのに非常に向いているなぁと思いましたね。会場盛り上がってた。かっこよかったです。
一方でかなりアメリカ志向な
ニーヴィー・ニールセンみたいな女性ヴォーカルもいます。彼女はモデルとしても人気の存在。ただ英語で歌っています。彼女はアメリカで成功したいんだろうなとは思います。
そんなグリーンランド。首都はヌークといって、どちらかというとデンマーク人=入植者の街です。
私は他にもシシミウトという街にも行きましたが、こちらはこちらで入植者・先住民、半々くらいかなという印象でした。
だから冒険家の角幡唯介さんや他の人が描く先住民=イヌイットの世界と、私が紹介するナヌークの存在がうまく消化・理解できない人は多いと思います。
でもなにせ点と点で散らばるように存在しているグリーンランドの集落ですから、それも無理もありません。隣町と交流=外国と交流くらいのギャップがある。
ただただひたすら「今を生きる」「今のことしか考えない」「予定をたてない」という狩猟民族イヌイットの精神と、ヌークを中心とする入植者の考え方は、まったく違う。
その二つが混在しているわけですから、なかなか複雑なものがあります。
おそらく生粋のイヌイットの皆さんは、独立しようがしまいが関係ないと思っていることでしょう。そもそも「
なるほいや」のイヌイットに、未来をうれう、そんな思想はありません。ある意味、かっこいいです。
しかし。入植者が入ってから、何年もたつ今のグリーンランドには、この二つの文化がミックスした不思議なバランスの世界が存在しているのです。
そして、ここにナヌークという音楽バンドの存在意義がある。
昔イヌイットは、アザラシ狩猟ができないといけないとされてきました。犬ぞりを自由に操れないとイヌイットではないとされてきました。
でも今や氷が溶けて、犬ぞりも難しい。アザラシ猟も難しくなってきている。おそらくそういった文化は、もう途絶える運命にあるのかもしれません。
そんな中、グリーンランド人とは何か? 何をもってしてグリーンランド人だと世界は認めるのか?
グリーンランド人をグリーンランドたらしめているものは何か?
諸説考え方はあると思いますが、私は、それはグリーンランド語だと思っています。グリーンランド語を話す人たちこそ、グリーンランド人なんです。
言語こそ、文化。文化=言語なんです。
ナヌークは、だから、絶対にグリーンランド語でしか歌わない。これまでも、そしてこれからも。そこが私がこのバンドを応援したい最重要ポイントです。
初めて彼らが来日した時、とある意地悪な(笑)インタビュアーさんが質問しました。「グリーンランド語は5万人しかしゃべっていない。グリーンランド語で歌って、日本の聴衆に通じると思いますか?」と。
そしたらクリスチャンが速攻で「絶対に通じる」って言ったんです。
私はその瞬間、このバンドと恋に落ちた!と思いました(笑)。やばい!
ちなみに、ナヌークのフロントをつとめるエルスナー兄弟ですが、見た目はデンマーク人の雰囲気です。
彼らの父親方のおじいちゃんはデンマークからの入植者、おばあちゃんは先住民だったのだ。二人には四人子供がいました。全員男の子(だったと思う)。
で、そのうち彼らの父親であるパパ・エルスナーだけが、割と白人のルックスで生まれました。他はイヌイットの顔をしてた。ご存知のとおり、ちょっと日本人にも似たイヌイットのルックスですね。
今でこそそんなことはあまりないと思いますが、白人にとっては、子供がどういう「色」で生まれるかはビックイシューらしいんですね。
有色人種と白人が混在する世界では、そういうことが非常に大きい。それは、今でも結構そうかもしれない。メーガンとハリーvs英国王室など、そういう事例は今でもあります。かなり保守的な考え方だとは思いますが。
で、ナヌークのお母さんママ・エルスナーはデンマークから来た人。ママは今でもグリーンランド語は、ほとんど話すことができず、なので彼らにとっては家での言語はデンマーク語だったのだそう。
でも学校に行けば、友達とはグリーンランド語という世界だった。想像できますでしょうか。
そんなふうにデンマークとグリーンランドは共存してきたわけです。でも彼らの生活スタイルや物の考え方はあまりにも違う。
そんなことを考えながら、私はシシミウトの彼らの公演に行きました。そして、そこで、彼らの音楽の意味をやっと理解した。
彼らのコンサートには、イヌイットの人たちも、デンマークからの入植者も、みんなが集まります。本当に聴衆はミックスされていました。(アメリカでチーフタンズのコンサートにいくと白人=アイリッシュ系しかいない。それと対象的です)
そして一緒にみんな大きな声でナヌークの歌をグリーンランド語で歌っているんです。
つまり、そういうことなんです。グリーンランドの住民、グリーンランドに住んでいる人みんなをひとつにするのが彼らの音楽ということなんです。
今回のグリーンランド騒動が巻き起こった時、当初、トランプは、ベネズエラみたいな国でもないグリーンランドを、どう手に入れるんだろうと私は思っていたのですが、グリーンランド人にひとり1500万払うと発表した時は、私もどきりとしました。
そうです、彼は国の分断を狙っている、と。もともとグリーンランドは、そんなふうに脆い国です。
生粋のイヌイットには貯金をしろとか未来の予定を立てるという考えは、そもそもありません。1,500万円に飛びつくグリーンランド人もいるかもしれない。
そもそも何もなかったところに、いきなりインターネットが入ってきたり、もともと北極圏では存在しえないアルコールとかが入ってきたら、イヌイットの人たちは一発でやられてしまう。そういう場所なんです。
入植者とイヌイットの溝は、まだまだあります。でもそれを乗り越えて、ここ数年、みんなが一緒に国を作ってきた。それがグリーンランドなんです。
デンマークのやり方に文句を言いたい人もいることでしょう。でも現在デンマークは非常にグリーンランドのことをよく面倒みている。一度計算したことがありますが、グリーンランド人一人あたりに100万円くらいの援助を出している計算になります(今はもっとかもしれない)。
一方で、グリーランド語が、これだけグリーンランドに残っていることにおいて、デンマークの功績は非常に大きい。これは他の地域と比較してみても明らかです。
そして、さらに、国にそんなふうに危機が訪れた時、みんながみんな一緒に歌えるコンテンポラリーな歌がある。今の気持ちを歌える歌がある、ということが、どんなに重要か。それがどんなにすごいことか。
日本語の歌をたくさん持っている我々には普段まったく気づかないことかもしれません。
加えて、彼らを応援することで、私がすごく嬉しく思うのは、彼らが日本での活躍が5万人のグリーンランドの人たちをとても励ます、ということなんです。
私がナヌークのfbで紹介されただけで、ヌークの郵便局で並んでいたら「あら、あなたナヌークの友達でしょ」と声をかけられました。他にも私が滞在した時は、グリーンランドのテレビ局が「ナヌークの大ファンが日本からわざわざやってきた」(ちょっと違うけどね)と取材に来ました。
だからナヌークの来日公演が成功することは、ひいてはグリーランドの人たちを励ますことになる。
あなたたちの大事なバンドは、日本でも頑張っていますよ、と。
New York Timesの記事でも語られていましたが、今回のトランプ大統領の発言に、グリーンランドでは動揺が国中に広がっている。
皆さん、ぜひナヌークのコンサートを盛り上げてください。私たちの責任は重大です。どうぞよろしくお願いいたします。
登録フォームは明日の朝10時にオープンします。
こちら。
2026/2/25 (水)& 2026/2/26 (木)
18:30開場/19:00開演
月見ル君想フ 港区南青山4丁目9−1 シンプル青山ビル 地下1階
*English Info - please email
me.
両日見たい方は、両日登録ください。
*開場は18:30です。オールスタンディング 先着順入場となります。開場時刻の【15分前】以降に会場前までお越し下さい。それより前の時間帯は会場前でお待ち頂けませんのであらかじめご了承ください。
*入場は無料ですが、ドリンク代(700円)のみ、会場にて直接お支払いください。
*同行者がいる場合は、それぞれ1名ずつお申し込みください。
*2日間ご来場される場合は、それぞれ別々にお申し込みください。
*収容人数が限定のイベントです。何らかの理由で、お申し込み以降、ご参加できなくなった方は、必ず
ご連絡ください。無連絡キャンセルについては、今後の当方が主催するイベントへの申し込みを受け付けません。
*会場の様子は公式カメラマンによって、写真撮影されます。それらの写真は、のちほどバンドのソーシャルメディアで公開される可能性もありますので、ご了承ください。写りたくない方はスタッフに事前にお申し出ください。
<NANOOK>
Christian Elsner クリスチャン・エルスナー - Vocal, Guitar
Frederik Elsner フレデリック・エルスナー - Vocal, Guitar
Mads Røn マス・ロン - Keyboards Andreas Otte
アンドレアス・オテ - Bass Martin Zinck
マーティン・ジンク – Drums
クリスチャンとフレデリックのエルスナー兄弟を中心に 10 年ほど前にグリーンランドの首都ヌークで結成される。国内ツアーが恐ろしく困難な広大な氷の大地、グリーンランドで精力的にライブ活動を行い、着実にファン層を固めてきた。
2011 年、映画に主題歌を提供したことがきっかけとなり、彼らの CD はグリーンランドの人口の5人に1人は買うような大きなヒットとなる。 グリーンランドの代表として多くの国際フェスティバルに参加する現在でも、彼らは地元での活動をもっとも重要視し、多くのチャリティ活動や国の PR 映像に楽曲を提供している。
歌の内容は祖国のことを歌ったもの、友達を励ますものがほとんどで、グリーンランド語の不思議な響きと、兄弟の息のあったコーラス、1曲の中で何度も行われるリズムチェンジ、ユニークなエフェクトがかかったギターサウンドは、唯一無二のものだ。
★
◎1996年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろすことにしました。公式サイトは近日中にアーカイブ化する予定。
自分で作る主催公演や招聘はもうやりませんが、2026年も若干雇われおよびお手伝い案件(笑)があるので、そちらはゆっくりとこなしていく予定です。これからはのんびりと。
宣伝の仕事は続ける「かも」しれませんが、まぁ、それはクライアントさんあってのことだからなぁ。どうなるか…。年に1本くらいならやってもいいのかな…。
この日記も自分のペースで続ける予定。fbページは適当なタイミングで閉じて個人アカウントに集約していきます。大好きなTwitterは以前と変わらない自分ペースで続けてます。
◎で、さっそく2026年のお手伝い案件。今話題の(?)のグリーンランドからナヌークがグリーンランド自治政府のサポートを受けてやってきます。もちろんこの企画半年以上前から決まっていたのですが、当初11月にやる予定が、2月になりました。
上記ライブの他に、2月24日には恵比寿のYEBISU GARDEN CINEMAにて、『サウンド・オブ・レボリューション グリーンランドの夜明け』を上映。そこでトークイベントとちょっとしたミニライブもあり。詳細はここ。MC通訳は大好きなキニマンス塚本ニキさん。チケット発売は2月4日。劇場のサイトにて。
◎そのナヌークは23日、高円寺こんなイベントにも出演します。詳細は
こちらのサイトにのちほど掲載予定。
気象神社で、グリーンランドの音楽を聴きながら気候変動を考えよう! こちらはアコースティック・セットです。こちらも入場無料。
◎その日向さんは、91年の大ヒットドラマ『東京ラブ・ストーリー』のサントラを手掛けていたわけですが、そちらが2月に35周年記念のリイシューされることになりました。
詳細はこちら。◎ショパンコンクールのドキュメンタリー映画『ピアノフォルテ』のPRのお手伝いしております。東京での上映は一旦終了しましたが、これから公開になる地域もあるようです。みんな見てね! 公式サイトはここ。
◎アイルランドのフォークホラー(?)映画、2月6日公開。 映画『FRÉWAKA フレワカ』詳細はこちら。