いや〜、重厚な映画でしたな。ジム・シェリダン監督の新作『ローズの秘密の頁』(原題:The Secret Scripture)。試写で拝見しました。ありがとうございます。
いわゆるヨーロッパ黒歴史もの。カトリックが女の人を虐待してきた、その悲劇が描かれた圧巻の内容でした。さすがジム・シェリダン。
この内容では最高なのが、やはり重いテーマを扱ったのにポップで、しかもアイルランドの強さも描かれている傑作『あなたを抱きしめる日まで』 、そしてひたすら暗い、でも主演の女の子が抜群だった『マクダレンの祈り』だと思うが、その中間くらいに位置する作品かも、と思った。
それにしてもルーニー・マーラは素晴らしいわー。『キャロル』も良かったけど、本当に彼女はこの役にぴったりだ。もう彼女が「きっ」と視線をあげるだけで説得力抜群。これ、今後彼女の代表作になっていくんじゃないかな。あと『シングストリート』のお兄ちゃんが相手役だったのも良かった。アメリカ生まれらしいんだけど、いいわぁ〜。いじわるやっかみ牧師も適役だったね。
宗教、アイルランドの北/南など、あれこれ事前に知識がないと理解するのが難しい箇所もあるかも。資料で頂いたプレス資料にそえられていた大野光子先生の文章に悶絶。これは映画のパンフレットにも掲載になるんだろうか。
もっとも最後のオチはちょっとフィクションならではな気がしたけど、とにかくヒヤヒヤドキドキ、最後まであっという間でした。
ところで、そんなことよりアイルランド・ファンを狂喜乱舞させるマニアック・ネタがこの映画には仕込んである。ぼーーーっと観ていると見逃しちゃうような小さなシーン。しかも彼女はほとんどシルエットと声だけ。でも… わたしたちの誰もが見間違うことは絶対にない。あの声と、あのヘアスタイルは……そう!!! 「ミセス・ドイル」だ! ミセス・ドイルが、こっそり、しかしちゃんとミセス・ドイルとして登場しているのだ。めっちゃシリアスなシーンだったけど、もう1人で超爆笑しそうになったよ。「ミセス・ドイルだよお!!!ミセス・ドイル。間違いなくミセス・ドイルだよーーー!!」
あれ,めっちゃ受けたんじゃないかなぁ、アイルランドと英国の一部で。監督、やるなぁ!! しかしミセス・ドイルの日本デビューがこれかぁ! なんか感慨深いものがある(笑)
PS
こんなのを発見!!(ミセス・ドイルの姿も!)
PPS今朝紹介した「ローズの秘密のページ」❤ Ah go on: Fans of Father Ted will be tickled to see Pauline McLynn chatting to a priest https://t.co/BjydgGeM7v via @DailyMailCeleb— 野崎洋子 (@mplantyoko) 2017年12月22日
ナオコガイドさんのこれも必読!! 北と南のあやうい関係の影響をもろに受けるスライゴーという位置など、さらに詳しく適格な解説など。チェキラ! http://naokoguide.com/blog-entry-2535.html
ところで、ナオコさんが指摘している各種ロケ地ですが、ベルファーストにある空爆を受けている劇場という設定のあの劇場は間違いなくダブリンのオリンピア・シアターだと思うんだけど、違うかな(笑)