角幡唯介『探検家とペネロペちゃん』を読みました。泣けて笑える最高の1冊。




こんなニュースも記憶に新しい今日このごろ。子育てパパの苦労はつきない。

角幡さんの新刊『探検家とペネロペちゃん』読みました。

いや〜、感動した。角幡さんの本で泣くほど感動したのは、これが最初かもしれない。もしかしたらこれが角幡さんの最高傑作かもしれない… とまた思ってしまった。やばいな…

しかし『極夜行』もそうだけど、今、角幡さん、すごいことになってる。物書きとしてたぶん最高に脂がのってる時期なんじゃないだろうか。

今出ている角幡さんの探検本以外の本としては、私はこれをベストにあげたい。(あ、探検本としては『極夜行』より最近また『アグルーカ〜』が好きで、トイレで何度か読み返しています)

とにかく、これはすごい本だ。角幡さんの本としてもそうだけど、いわゆるパパの子育て本としては歴代最高じゃないだろうか。この本もなんか賞を取っちゃいそうで心配である。角幡さんがますます遠い人になってしまいそうだ。とにかくすべてのお父さんに読んでほしい。

読み進めるにつれ、もう爆笑につぐ爆笑である。角幡さんの本はシリアスな探検本でも爆笑ネタが多く、シリアスに読んでいると不意打ちをくらうので要注意なのだが、この本は特に爆笑につぐ爆笑。電車の中で読むのは大変危険。それにしてもほんとに角幡さんの本は読むのが楽しい。2,000円弱でこれだけ楽しくなれるんだから、普段本を読んでない人にも本当に読んでほしい。

もちろん、これは某文芸書での連載をまとめたものなので、大ファンとしては連載している時から全部ではないにしろほとんど読んでいたが、こうしてまとめて読むと、感動もひとしお。特に最後の章は泣けた、泣けた。

それにしても笑える本だ。こんなに爆笑ネタ満載なのも、きっと本人の「照れ」があるんじゃないのかなとも思う。角幡さんのユーモアはだいたいが自虐ネタで、読者は角幡さんが失敗したり馬鹿なことを考えたりするたびに嬉しくなっちゃうのであるが、それが今回はなんだか振り切れている感じすらある(爆)

そして角幡さんが認めているとおり、女というのはたとえ自分の娘であってもわかりにくい相手なのだなというのを認識する。女から言わせれば、DNA螺旋がどうしたとか、こうしたとか屁理屈をこねて、直球で「愛してる」と言えない男がまたここにもいるな、という感想だ(笑)

でも、そんな不器用さも最高に心を打つ。うん、だから全国のお母さんにも読んでほしい。ほんと泣けたよ、泣けたよ。これは角幡さんが書いた本の中で一番本音やご自身の深い気持ちが書かれた本じゃないか、と感じる。

いや〜、本当にこんなに素敵な本ができるだなんて、お嬢さんのあおちゃんに感謝だ。そして奥様にも感謝。正直、普段の探検本においては家族のことは極力ドライな感じで書いている角幡さんだが(空港での別れなど、こんなにウェットだとは想像もつかなかったよ。でもよく考えりゃそうだよね…。送り出してあげる奥様、本当に素晴らしい)、すべての家族ネタはここに取っておいたのか!?と思うほど、愛にあふれるている。

こんな風に書くとご本人は照れるばかりかもしれないけど、本当にこれだけ愛されて、あおちゃんが大人になった時、嬉しく思うはあれど絶対に怒りはしないと思う。それにしても角幡さんのお嬢さんだけあって「フリーダム!」って感じのあおちゃん。このあとの成長も楽しみ。角幡さんの本も楽しみ。ぜひペネロペ本第2弾、第3弾と出してほしいものだ。ティーン編なんて最高に面白いものになりそうだし、下手すれば数々のすごい賞を取った探検本を押しのけて、本当に売れまくる大ベストセラーになるかも。

それにしても、幻冬舎の本はもう書いたくなかったけど… 仕方ない。




こちらの下のリンクに貼った記事もあわせてどうぞ〜。写真がいいですよ。

写真といえば、このペネロペ本の装丁も素敵である。カバーを剥がすとペネロペをだっこする角幡さんの写真が出てきたり芸が細かい。編集者さんもデザイナーさんも丁寧な仕事だよなぁ。