シャロン・シャノン物語 後編

シャロン物語ですが、前編中編に続き、本日は後編をお送りいたします。
いつかのケル・クリ・セッションパーティでカルロス・ヌニェスと。今年もあるよ、セッション!

懐かしー! 「チューンズ」を試聴機に入れていただきました。タワーレコードさん。

新幹線のホームにて。たぶん5、6年前の来日時。

ウォリス・バードがゲストで出演。すでに3年前?…かな。

自分がヘッドライナーの「ケルクリ」公演。PA席から満員のお客さまを嬉しそうに撮影するシャロン

ちょうど『ゴールウェイ・ガール』が空前のヒットとなっているころ、シャロンを悲劇が襲いました。

2008年、長年のパートナーであった恋人のレオが突然46歳という若さでなくなったのです。どうやら愛用していた持病の薬が心臓に影響があるものだったらしく、心臓発作が原因だったらしい。いずれにしても、あまりに突然なことで、本当に呆然。当時のシャロンのMy Spaceは… 当時はMy Spaceが全盛期で、シャロンは自分でそれを自分でアップデートしているようでしたが…亡くなった恋人の写真で埋め尽くされ見ていてかなり辛かったです。シャロンいわく「あまりに悲しいことが起きると人間は無意識にそれを受け付けないように心をロックしてしまうのよね」「レオのお葬式をしていても何故レオがここにいないのか、上手く認識できなかった」と話しています。心配した友人たちが次々と彼女の家に泊まりに来て、3週間以上、シャロンの家では音楽がずっと絶えなかったようです。「本当に辛くてこの事実を受け入れるまで時間がすごくかかった。同時に友人たちの優しさも沁みた。音楽はもちろん最高の癒しとなった」とシャロンは振り返ります。まぁ、もう12年前のことですが。本当に辛かったと思います。セラピー本もたくさんたくさん読んだそうで「大切な人が亡くなっても、地下に埋められているとは考えないこと。毎日なにかちょっといいことがあった時、それはその人が送り込んでくれたさりげない幸せだと考えると良い」という考え方が、とても役にたったという話をしていました…  まぁ、いずれにしても本当にこの事実を受け入れるまで、長い長い時間がかかったんだ、とシャロンは認めています。彼の死から6年後くらいに初めてこの件でインタビューを受けてそのように話しているのをアイルランドの新聞で読みました。

そして2014年には、今度はお母さんが亡くなりました。81歳だったので十分高齢ではあったと思いますが、シャロンはお母さんととても仲が良かったので、大変なショックだったというふうに話しています。お母さんとの思い出として、シャロンはこんな話を新聞に語っています。子供のころシャロンとメアリーはものすごいお転婆で、屋根にのぼっては、お母さんに心配をかけていたそう。一番ひどい悪戯は大きなテディ・ベアに自分たちの服をきせて屋根から転落させ、自分たちが落ちたとお母さんを騙すこと。お母さんは叫び声をあげ大パニック状態になったそうですが最後には大笑いしてくれたそうです。でもあれはやりすぎだったと大人になったシャロンは、この件を猛省しているらしい。お母さんは編み物が大好きでセーターなどはもちろん毛糸のパンツもたくさん編んでくれたんだ、とシャロンは話します。

楽しいシャロンのお母さん。素敵な映像です(笑)



そしてさらにレオの死後、数年たって付き合い始めた新しい恋人(亡くなったレオの兄弟なんだって)も昨年、肝臓の病気で大変重篤な事態に陥ります。家族が呼ばれ本当に瀕死の状態でした。しかし運良くそこに臓器提供者(ドナー)があらわれ、現在は元気になった様子。こちらは新聞に掲載された彼の写真。かなりショッキングな写真ですが、シャロンはこの写真を公開することによって、1人でも多くの人が臓器提供に興味を持ってくれたらという願いをこめてボーイフレンドとこれを公開することに決めたんだって。シャロン、本当に勇気がある。

そして、最近のシャロンといえば、やっぱりワンコ! 愛犬家としての活躍ぶりが目立ちます。レスキューされたワンちゃんを何匹も飼っているシャロン。犬は買うんじゃなくってぜひ養子にもらってね、というキャンペーンにも積極的参加しています。「新しい犬を飼いたいと思ったら、ぜひ地元の施設を訪ねて養子にもらってね。基本的なしつけも済んでいるから初めて飼う人にも楽だし、たくさんの素敵なミックス犬たちがあなたを待っているわよ」


これが昔あまりにシャイで人前で全然しゃべれなかったシャロンでしょうか? 昔は気心のしれたスタッフ以外としゃべる時、シャロンは必要以上の愛想笑いして妙に落ち着かず知らない人と普通に話をすることができない子でした。でも、今は違います。今は、堂々と自分の意見をのべて、それを音楽と一緒にたくさんの人たちに届けることを積極的に行っているのです。

多くの人生の荒波を経て、本当に立派でしっかりした素敵な女性になったシャロン。もちろん彼女の伝統音楽を「めっちゃ楽しいものにする」というゴールウェイの宴会部長パワー(笑)は昔から衰えていません。でも最近では、そこにさらなる深みが加わり、本当に素晴らしい音楽家として成長しました。年下の彼女だけど、わたしは心から彼女を尊敬しています。ずっとずっと応援したい。



そして犬ばかりじゃなくて、牛もシャロンの演奏が大好き! この動画は新聞に取り上げられ大きな話題となりました。



そういえばシャロンの言葉で印象的なものがあります。わたしなんぞはツアーに出ると、いつも「はぁ〜、ツアーは疲れるなぁ、もう家に帰りたいなぁ」と思い、家にいると「そろそろツアーに出たいなぁ、飽きたなぁ」と思うわけですが(それが普通だと思います)、シャロンがいつぞやインタビューに答えて「ツアーに出たら楽しくてずっとツアーしていたいと思い、家にいれば楽しくてずっと家にいたいと思う」と話していたんですよね。これって、めちゃくちゃポジティブで素敵なシャロンの性格をあらわしてる発言だと思いませんか? ほんと、それが音楽にあらわれているよね。
アイルランドでもっとも権威のある音楽賞を受賞。おめでとう! 2009年かな…

オーケストラとも共演!


学校はさぼっちゃったけどゴールウェイ大学から名誉博士号いただいちゃったよ! 昨年の写真

「わたしからのアドバイス? 自分の好きなことを続けていきなさい、そしたら素敵な人生が送れるから」と…



なおシャロンですが、今回の来日にともないプランクトンさんから2枚組のライブ盤がリリースされるようですよ。ぜひみなさん、会場でお買い求めください。詳細はここです。

あ、そうそう、わたしたちも、すみだトリフォニーホールでは「ケルト市」としてテーブルを出してますので、ぜひ寄っててくださいね。

では、みなさん、ケルティック・クリスマスの会場でお会いしましょう。詳細はこちら



シャロン・シャノン物語 ▶︎前編を読む ▶︎中編を読む ▶︎後編を読む