響いた〜 めっちゃ響いた。折しも世間の話題はMDなんとかという薬の所持で逮捕された女優さんの話題でいっぱい。そして数日前に見たこの新聞のコラム(すごくいいからぜひ読んでみて)
朝刊より。— ユノ次郎ଘ(੭ु*ˊ꒳ˋ)੭ु*.°♡#TrueColors (@028554) November 5, 2019
〜ファンは残酷です。相手が自分を知らずとも、一方的に好きな感情を止められない。そして、自分の都合で突然応援出来なくなったりするのですから。しかし、そんなファンに演者は支えられている。〜
「命を削り、身をさらす仕事を選んだ責任がある。」
肝が据わった尊い言葉です。 pic.twitter.com/wmDqtqq3UC
これが女優、俳優という生き方なのか、と改めて考えさせられるとともに、昨日ブログに書いた湯川先生の記事。
「結婚も子育ても仕事も、全部やりなさい」 音楽業界60年を迎える湯川れい子氏が考える女性の働き方(オリコン) - Yahoo!ニュース https://t.co/hR71FOA5Ft— 野崎洋子 (@mplantyoko) November 18, 2019
あれこれ考えていたことが、この映画ですべて完全にクロスオーバーしてしまった。ものすごい良いタイミングでこの映画を見れたと思う。
是枝裕和監督最新作『真実』。
いや〜 場面はフランスなんだけど、是枝ワールド全開。そして今までの作品の中で、もっともポップで明るい作品かも。観終わったあとの満足感ったら半端ない。すごくいい映画だった。
カトリーヌ・ドヌーブって綺麗な人だな…って以外、印象なかったけど、この大女優の役をすごくチャーミングに演じている。っていうか、この主役=本人じゃないか、と思うくらいハマっている。娘役のジュリエット・ビノシュもすごくいい。
ドヌーブ演じる国民的大女優が主人公なんだけど、その彼女が自伝を出版し、それが嘘だらけの内容だと、家族や熱心に働いてくれていたスタッフとの人間関係にまで影響を及ぼす…というところからスタートするこの物語。
実際、監督はこの映画を作るにあたって、2人の大女優に散々インタビューをとったそうですよ。すごいね。そして彼女たちの言葉がそのまま台詞になっているところがある、と監督は告白している。うん、妙に納得。
正確な言葉は忘れちゃったけど「チャリティとかに走るのは、本業である女優業が負けてるから」みたいなことを言う主人公が言うシーンがあったり、女優として生きていくという、ものすごい覚悟が見られるんだよね。(それが冒頭の渡辺えりさんの文章にもつながるんだけど)
ついでに劇場で購入したパンフレットに書いてあったのだけど「台詞が入るまで3週間かかるから、当日その場で脚本渡すとかやめてほしい」と是枝スタイルに異をとなえていたビノシュとの約束は、軽々と監督に破られてしまった話とか、結構笑える(笑)(最後ビノシュは「諦めた」と言っていたそーな)
そして真実というのは1つではなく、誰にもわからなく、当事者でさえにもわからなく、それをますます描いていく是枝ワールド。
すごいよなぁ。
そしてパパ役のイーサン・ホークがいい感じで演出の手助けをしてくれたとか(なんで彼女は旦那と一緒に母の家に行ったのだろう、みたいな部分に疑問を持つところから彼は突っ込んできて、脚本にあれこれアイディアをくれたのだそうだ)、とにかく彼のおかげで孫娘役の子供もすごくリラックスしていい味だしてるし、うーん、本当に素晴らしい。
今回も役者の能力を最大に引き出し、彼らの「アンサンブル」が素晴らしい、ということだろう。誰1人として、この人じゃなかったらダメだっただろうと思わせるほど各自のキャラクターが活かされている。そもそも是枝監督、言葉の通じない中で、どうやって演出していくんだよと思ったけど、いやいやなんのその。是枝ワールドはすごい。世界に通用する。っていうか、すべての、世界中の女優さん、俳優さんが是枝監督に演出してもらいたがっているんじゃないだろうか。
パンフレットを買ったら、樹木希林さんに関する言及がすごくされてて、内田也哉子さんが文章を寄せられていたりしたが… うーん、樹木さんは私もすごく好きな女優だけど、この映画をみている時、失礼ながら樹木さんのことは思い出さなかった。そもそも是枝作品の最新作だからという理由でこの映画を見に行くことを決めた時、私は樹木さんのことを思い出しもしなかった。映画はやっぱり作品中心で見るので、樹木さんはすごくいいと思うが、彼女の出ている作品だからという理由で彼女が出演する作品を見に行ったことはない…という程度の距離感が、1視聴者の私と樹木さんとの間にはある。…などと、1ウォッチャーが言っているのを聞いて樹木さんが天国で「うん、そうよね」って笑ってくれているのが分かるんだ。でもって、そんな樹木さんみたいな女優さんの存在を通して、クリエイターたちは自分の夢を描く。それが映画の世界なのだ…とまぁ、灌漑深いわけなのだが、 まぁ、それはさておき…
本当にこの作品は素晴らしいわ。台詞がいい。台詞がいいのかもしれない、是枝監督の作品は。舞台が秋のパリっていうのもいい。あ、そうそう、おじいちゃん=亀っていう不思議な話も。あぁいうところ、本当に最高である。あと、2、3回みて細部を味わいたい… そう思わせてくれる温かい作品だった。大推薦。迷っている人がいたら、絶対に観に行って。
PS
あ、あと1つ書き忘れてたけど「(主人公のライバルであった)サラの再来」と言われているという設定の若手女優さんを演じた新人の若い女優さんも、めっちゃよかった。すでに大物の風格もあり、インテリ風で、綺麗で、かっこいい感じだった。ファンになったよ。彼女はこれからいろんな映画に出てくるんじゃないかしら。