めっちゃ愛情のこもった装丁。薄いカバーを取ると(私はよくお風呂で本を読むのでカバーを外して読むことが多い)表紙の内側は真っ赤でツルッツル。それを撫で撫でしながら読み始め、あっという間に読み終わってしまった。いや〜 読ませるなぁ。
ご存知だろうけど、能町さんは『オカマだけどOLやってます』というセンセーショナルなエッセイが大ヒットし、TVやラジオでも大活躍のエッセイスト・イラストレーターだ。週刊文春の連載とかもされていて、私も時々読み、激しく同意してしびれまくっている(特に今週のやつはシャープで良いからチェックしてみて)。特に昨年出た『私以外みんな不潔』は子供時代の鮮やかで研ぎ澄まされた世界が描かれ、本当に素晴らしかった。
で、こちらは最近「結婚」されたサムソン高橋さんとの経緯や同居生活の様子を始め、能町さんの恋愛遍歴…じゃないな…なんて言ったらいいんだろう…赤裸々な交際の歴史が描かれている新しい本。と言っても、ブログで連載されていたこともあって、結構読んだ記憶がある文章が出てくるのだが… それでもやっぱり忘れているもんだね… 最初から最後までワクワクしながら一気に読んでしまった。ちなみに冒頭の部分はここでも読めます。最初から●●●ネタで引くよねぇ(笑)
まずはサムソンさんとの初デートからして感動。一度しか会ったことない、でも十分にTwitterで育まれていく愛(なのか?)。そして別れ際のプロポーズのシーン(?)のところで、ひとりでベットの中で読んでいたのだが、絶叫してしまった。「きゃ〜❤️❤️❤️」
いや〜、なんてロマンチックなんだろう… これ、めっちゃロマンチックでしょう!!!とワクワク読み進む。
かと思えば、過去の回想では、意外にあっけない最初の性体験(と言っていいのだろうか?)までの流れなど、うわーーっっと思う箇所も多数。すごい。能町さん、なんて自由なんだ?!と思いつつも、多くの人がそうであるだろうに、若さのエネルギーにまかせて「好き、好き、好きー」で初体験しちゃう普通の人(私を含む)とは、まるで違う、不思議な能町パワーが、その非凡さを感じさせる。いや、こんなに自由ですごいなぁと思ったり…。いや、でも身体が自由ではなかったわけだから、その分、こういう風に心や魂が自由に羽ばたけるのだろうかとも思ったり。分析してみるがよくわからない。
また雨宮まみさんが亡くなったところは、めっちゃ心が揺さぶられた。実は雨宮さんの著書は全く読んだことがないし、よく知らないのだが、これは本当に辛いわ…。能町さんの哀しみというか、悔しさというかが本の中から湧き上がってくる。あぁ…。雨宮さん、いくつかアマゾンでチェックしてみたけど、まぁ、今、積読本がひどいからいつ読めることやら。(誰か詳しい人、私が好きになりそうな雨宮さんの著書を推薦してください。どれから読んでいいかわからない。やっぱり『女子をこじらせて』だろうか)
それにしても感動は、やっぱりサムソンさんとの一連の流れ。先日読んだ『人生に詰んだアイドル〜』もそうだけど、こういう同居のあり方もいいんだなと思わせてくれるんだよね。それが何より素敵だと思うし、そこを積極的に人に薦めたい。
あ、そうそう、サムソンさんの800万円で衝動買いした家、相当ウチと距離が近いんだよなぁ。私も元気な時は新岩淵水門までジョギングしていた。旧岩淵水門のところなんかは桜が植っていて、とっても可愛いんだ。あそこまで走って往復すると、ちょうどウチから5kmくらいなので、よく走ってた。サムソンさんが屋上で育てているバラの写真をTwitterにあげるのを見て「家、近いなぁ、もしかして…」と思ったりしていたのだが、そうかー。こりゃ相当近い。そうそうサムソンさんのTwitterには、家の壁の改装画像もリアルタイムでサップされており結構楽しんでいたのであるが、この本で読んでやっと全貌が明らかになった。あらためてサムソンさんのTwitterをチェックする。改装の腕はプロだ…
ご存知のとおり能町さんとサムソンさんは恋愛関係、肉体関係なしの夫婦なのであるが、能町さんは自分ひとりでいる時は、お湯も沸かさない人なんだそうで、これじゃいいかんと人間バイアスが働き、こういう形態の同居にいたったらしい。私も一人暮らし歴が長いし、相当ズボラだが、そこまでは…とは思う。でもなんとなくわかる。ひとりでいると、どうにでもなるから、ついつい自分を大切にする作業がおっくうになるんだよね。人間としての暮らしを取り戻すために誰かと住む、って、すごく納得できる。
それにしても、気持ち、わかる(というか、わかったような気になる)。私は能町さんよりだいぶ年上だけど、この歳になると、恋愛も正直面倒くさい。いや、今でもなんとなーくそういう気持ちにならないわけではないけど、だいたいは相手の幸せを願って「これは良くないだろう」「自分も今の生活手放したくないし」「相手の幸せを願うなら相手が私じゃダメだろう」とあっという間に消えてしまう、というのが大抵のオチだ。
そういや自分の人生で最後に「この人となら一緒になってもいいなぁ」とかなり真剣に具体的に思ったのは15年くらい前で相手はミュージシャンだったが、当時その人の在籍していたバンドは私にとっても大事なバンドだったし、私とバンドの素敵な人間関係を壊すわけにはいかなかったからやめておいた。絶対にあの時、私が一歩踏み込めば、自分は結婚してたと…というか、ブリッコじゃないんだし、いい大人なんだから、相手がどう思っているかとかくらいすぐ自分で分かるよね。絶対にあれは両思いだった。だが、残念ながら当時はお互い仕事の方が大事だったのさ。でもその後、彼が恋人を見つけた時も、結婚することが決まった時も、真っ先に私の携帯にテキストしてくれたので、あぁ、やっぱり私にも可能性があったんだな、と思ったんだけど、今思えば、それって悲しすぎません? ちょっと淡い恋物語(笑)
…みたいなことをここに書く気になったのも、この本のマジックかもしれない。それにしてもいろんな同居、結婚、夫婦のあり方があっていいんだ、というわけです。
というわけで、誰かウチの家賃、ちょこっと負担して、一緒に荒川土手に住みませんか? ただしここで寝るのは週に1日程度にしてほしいけど(笑)。もちろん恋愛感情は家に持ち込まないようにお願いいたします。
能町みね子「オカマだけどOL」からの大転換人生 行き着いたのは「恋愛関係のない」結婚生活 | 「非会社員」の知られざる稼ぎ方 - 東洋経済オンライン https://t.co/I8zeELNKQ3 #東洋経済オンライン @Toyokeizaiさんから— 野崎洋子 (@mplantyoko) December 29, 2019