読んだ! 小泉文夫のことをやっと理解した。すごいなぁ、すごい人だなぁ!
実はこのちょっと前に読んだ、こちらの本からの反動がすごい。「世界史の構造的理解」
この本は、未来に待ち受けるGAFAなんかよりももっと怖い「見えない皇帝」に支配された世界を構造的に読み解いていく本だ。それを読んで、未来はもうディストピアでしかないのか…とちょっとうなだれていたのだけれど…
そうじゃない!
いや、違う! 絶対に違う!というのを、全くジャンルの違うこの本が教えてくれた。すごい。
音楽って素晴らしい。ありがとう、小泉文夫、ありがとう、ひのまどか先生!!
小泉文夫も、数年前の私と同じく極北(小泉の場合、カナダだけど)に興味を持った。人間の極限としての生き方があそこにはある、そこにいけば音楽の意味がわかるのではないか… という小泉文夫。
わかる、わかるよー 私も北極に惹かれるってそこだもの!!
そして私も見たことあるんだけど、カナダのイヌイットの喉歌(女性二人で向かいあって歌いあう)とか、誤解を恐れずに言えば、ほんとに原始人なんだよ。あれは何万年も前から間違いなく人類はこうやってきただろうという、そういうものをリアルに感じさせてくれるんだけど…
小泉もそんな風に人間の根源を求めて北極に行き、凍死しそうになったり、とにかく探検家も真っ青な苦難を乗り越えつつ、フィールドワークを続けていく。
そしてたとえば同じエスキモーでも鯨を獲って生活しているアラスカの人たちは一緒に歌うことができる…とか、世界的な研究に到達するのだ。
歌はみんなで「力を合わせる時」に使うものなのだ。「歌は人間の生活そのものだ」と!
ぬあーーーーっっ、人間ってすごくないか?
そして日本に帰ってくると珍しい小泉の話を聞きたくて、メディアからは出演を請われることが本当に多かった、と。「大モテの教授タレント」元祖は小泉文夫らしい。
そしてキングレコードで膨大なテープを「ナイルの歌」としてリリース(ここで出てくるプロデューサーの西田さんって私も名前を聞いたことがある!!)
そして小泉の場合、奥様が本当に献身的に、小泉の活動に理解を示していたのだそうだ。それもなんか泣ける。お嬢さんは障害がありながらも、小泉を訪ねてくるお客に珍しい楽器を紹介したりと、とても社交的で明るい性格だったらしい。
芸大学生のために三波春夫に学校に来てもらって歌ってもらたことが原因かで学長から大目玉をくらったり、他にも今でも民音の人たちの口から頻繁ににあがる「シルクロード・プロジェクト」とかを実現させていく。
このプロジェクトの独自調査、製作陣、本当にすごい! 私たちみたいにヨーロッパの確立したステージにすでに上がっているアーティストを引っ張ってくるのとは訳が違う。小泉の場合はゼロから作ってステージに上げちゃう! す、すごい!
そして小泉文夫の講義は本当に本当に楽しかったんだそうだ。生きるのが楽しくて仕方ない、人間が、音楽が大好きといったパワーにあふれる小泉文夫。
でも一方でそんな小泉に対する個人攻撃や、メディアなどの派手な活動はやめろという風当たりもものすごかったらしい。
他にもすごいエピソードの連続。芸大の楽理科の入学試験で全盲の生徒が非常に優秀な成績を収めた時、教授会はその生徒を入学させるか大揉めに揉めたそうだ。「前例がない」と。
それを声をあらげて抗議したのは小泉文夫だったのだという。そういうエピソードがとにかく続いていく。
そして最後の最後まで音楽プロジェクトにかかわりつつ、56歳、膵臓がんで亡くなったそうである。(当時は肝不全と報じられていた)
なんとひの先生には、先日リアルでお会いするチャンスがあった。『親愛なるレニー』の吉原真里さんがひの先生と対談をしたのだった。うううう、ひの先生、素敵すぎる。素晴らしすぎる。その時読んでいた「バーンスタイン」と「バルトーク」の感想をお伝えしながら、汗、汗っっ。
あぁ、先生にこの「小泉文夫」の感想もお伝えしたいなぁ!!そう思いながら、今日も仕事を頑張るのであった。
PS
ひのまどか先生、トランスワールドミュージックに登場! バーンスタインについてお話しされています。今週いっぱい聞けるよ。
ひのまどかさんが著書『バーンスタイン』をめぐってゲスト出演したTOKYO FM「#トランスワールドミュージックウェイズ」はradikoのタイムフリーで4月16日朝4時半まで聴けます。https://t.co/HppFEpyUmJ https://t.co/trtInWaxg0 pic.twitter.com/RIyqJDvVub
— 田中美登里 (@midoritanaka) April 9, 2023